
住宅街の片隅から山に入っていくと、森の中に小さな石造りのお社が姿を現します。
今回は、こちらの熊野権現社(くまのごんげんしゃ)を紹介。その小さな境内には、奥深い魅力が詰まっていました。
熊野権現社の歴史
その創建時期は不詳で、一説には極楽寺の鎮守であった那智社(なちしゃ)が由来と考えられています。
また、熊野三山(本宮大社・速玉大社・那智大社)になぞらえて、熊野新宮(極楽寺の熊野権現社)と熊野本宮(十二所権現)が祀られたとされますが、残念ながら本宮は現存していません。
明治時代の地図を見ると、かつてこの付近に那智滝(現存せず)があり、那智社は熊野那智飛瀧権現(くまのなちひろうごんげん)とも呼ばれました。
那智の滝にも比せられる、立派な滝があったのでしょうね。さすがに本場ほど大きくはなかったと思われますが、風格をたたえていたと偲ばれます。
詳しい歴史は不明ですが、永らく那智信仰の聖地として、多くの者が修行に励んだことでしょう。やがて明治時代に入ると、神社から仏教的性質を排除する神仏分離が行われます。
多くの神社で仏教的性質をもつ「権現」号が廃止される中、こちらの熊野権現社では社号を守り抜きました。よほど権現様の名前に愛着が強かったのでしょうね。
かくして熊野権現社は人々から厚く崇敬され、令和の現代に至ります。
熊野権現社の御祭神
こちらの熊野権現社の御祭神は、社号が示すとおり熊野権現が祀られてきました。
熊野権現とは、熊野三山に祀られる三柱の総称です。
家都御子神(けつみこのかみ)…… 熊野本宮大社速玉男神(はやたまおのかみ)…… 熊野速玉大社牟須美神(むすみのかみ)…… 熊野那智大社上からそれぞれ須佐之男命(すさのおのみこと)・伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の別名とされます。
また、その正体は仏様であり、それぞれ阿弥陀如来(あみだにょらい)・薬師如来(やくしにょらい)・千手観音(せんじゅかんのん)と考えられました。
これは「仏様が人々を救うために現地で信仰されている神様に姿を変える」という本地垂迹(ほんじすいじゃく)の思想に基づいており、日本では神様と仏様が融合していたのです。
熊野権現社は、日本古来の信仰を現代に伝える聖地と言えるでしょう。
熊野権現社の見どころ
山は高きゆえに貴からず、境内は広きゆえに貴からず…… というわけで、こちらの境内には見どころが凝縮しています。
神気をたたえる鎮守の杜(もり)
住宅街の裏山に一歩踏み込むと、そこには非日常の世界が広がっていました。面積にしてそう広くはないものの、鳥の歌や風の声、そして小動物たちの気配や息づかいが感じられます。
極楽寺方面へつながる山道も、冒険心をそそられることでしょう。お時間の許す方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
成田山の不動明王
社殿の傍らに鎮座する不動明王(ふどうみょうおう)の石像。その土台には成田山と刻まれ、眷属(けんぞく)たちが威厳をもって控えていました。
彼らは向かって右側が矜羯羅童子(こんがらどうじ)、左側が制多迦童子(せいたかどうじ)と言い、どちらも不動明王の忠実な従僕です。
不動明王がいつも憤怒の形相をしているのは、迷える衆生を救いたい、断固たる決意の表れと言います。
朽ちかけた石の祠(ほこら)
不動明王の背後に、傾いて埋もれかけた石造りの祠がありました。
いつ建てられたか、どんな神様が祀られていたのかもわかりません。おそらくお稲荷様ではないかと考えられますが……
生者必滅(しょうじゃひつめつ)、生まれた者は必ず滅ぶ。それは人間も神仏も同じで、信仰が絶えれば神仏は単なる形骸と化すのです。
この祠の存在は、世の無常と限りある生の尊さを感じる縁(よすが)となることでしょう。
可愛いリスに会えるかも!
今回の取材で、鎌倉の名物?と化しつつあるリス(タイワンリス)に出会えました。
距離感は2~3mほど。警戒心が強いため、いつでも会えるとは限りませんが、結構な確率で会えるのではないでしょうか。
地元では特定外来生物として困りもの扱いされているものの、彼らを連れて来たのは人間の都合であり、彼らに罪はありません。
餌付けしたり虐めたりしてはいけませんが、その愛らしい姿をぜひ観賞してください。
熊野権現社への道のり
江ノ電「稲村ヶ崎駅」から北へ13分ほど歩いたところに熊野権現社はありますが、ひたすら住宅街なので、不安になってしまう方も少なくないでしょう。
この道を進んでください。左手に見える建物は下水ポンプ場です。
この先に神社なんてあるの?と思ってしまいそうな細い階段。不安な気持ちをぐっとこらえて先へ進みましょう。
ちなみに境内から山の奥へ進むと、月影地蔵など極楽寺方面に出られます。
まとめ
今回は鎌倉市稲村ガ崎に鎮座する熊野権現社を紹介しました。気軽に行ける感じではないものの、一度足を運ぶ価値は十分にあるでしょう。
次のお休みに、ちょっとディープな鎌倉散策はいかがでしょうか。
稲村ガ崎 熊野権現社
参拝時間
24時間
※ただし照明が不十分なので、夜間の参拝は危険です。
休務日
社務所はありません。連絡やお問い合わせは管理元神社へお願いいたします。
アクセス
所在地:鎌倉市稲村ガ崎5-38
江ノ電「稲村ヶ崎駅」から徒歩13分(850m)
駐車場:なし。公共交通機関のご利用がおすすめです。
連絡先
管理元神社:御霊神社(鎌倉市坂ノ下)
電話:0467-22-3251
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