現地体験や実物などのオフラインや、SNSをはじめとするオンラインを横断して、プレーヤー自身が現実の中に仕掛けられた“物語の断片”を発見し、自らストーリーを体験できるARG(Alternate Reality Game=代替現実ゲーム)。テレビ局でいち早く参戦した日本テレビが昨年リリースしたのが、『503号室の郵便物』だ。
このほど行われた同局の番組『SENSORS』(19日25:35~)の公開収録では、『503号室の郵便物』をプロデュースした日テレのARGプロジェクトリーダー・岩崎林太郎氏が登壇。謎解きクリエイターの角谷進之介氏、ARGクリエイター/ホラー作家のdrikara氏、ARGエンジニア/ほぼ日CTOの清木昌氏とともに、“日常に侵食する”ARGの魅力を語り合った。
日常に届く郵便物から始まる物語体験
『503号室の郵便物』は、購入した実物の郵便物と、ウェブ上の情報を手がかりに、503号室で起きた“ある事件”の真相を調査していくという内容。郵便物には、公的な文書から私的な手紙まで全10種以上が封入され、それらの断片的な情報から、ブログやニュース記事、YouTubeなどをたどり、さらにはチャットサービスで登場人物と連絡を取ったりしながら、隠された真実を解き明かしていく。
実際にプレイしたという角谷氏は「レターパックのような郵便物が届くという、日常的によく見かけるものが“侵食”されているというのが、最初から物語に引き込まれるような作りで特徴的だと思いました」と感想をコメント。
謎解きとARGの違いを問われると、「謎解きは謎を解くのにノイズになる情報を削いでいくんですけど、ARGは現実感を増すためとして、いろいろ情報を増やしますよね。すごいなと思ったのは、登場人物に連絡すると15分ぐらい待たないと返事が返ってこないとか。こういうことをするコンテンツはあまり見ないので、大きく異なっている点だと思います」と解説した。
映画『近畿地方のある場所について』と世界観を共有するシェアードユニバース作品でもある『503号室の郵便物』。ディレクターとして参加したdrikara氏は「『近畿地方のある場所について』の原作も、読者がまるで登場人物の一人であるような構造になっているので、非常に作りやすかったです」と親和性の高さを語った。
日テレ独自のARGブランドへ…次なる展開に意欲
岩崎氏がARGに触れたきっかけは、日テレを2年間休職してゲーム会社にいた際、クリエイター集団・第四境界の存在を知り、「これをテレビと掛け合わせたら面白いことができる」と直感したこと。「日常に完全に浸透しているテレビという存在に、どうやってフックをつけて遊んでいくことができるのか。そういうことができるメディアだと思うので、炎上しないように配慮した上で、地上波のバラエティやドラマと絡めたエンタメとしてパッケージして届けることができるのではないかと考えています」と構想を語る。
『503号室の郵便物』は、第四境界との共同ブランドとして展開したが、「第四境界さんにはブランドの強い色があるので、日本テレビオリジナルのARGブランドも立ち上げて、テレビのエッセンスを上手く入れながら僕らなりの形を構築していくということも頑張っていきたいなと思います」と意欲を示した。

