福士蒼汰が主演するフジテレビ系ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』(毎週火曜21:00~ ※全話放送終了後、FODでseason2独占配信)の第8話が、17日に放送された。
今作は数多く制作されてきた“警察ドラマ”の中でも、知られざる「警視庁広報課」を舞台にした完全オリジナル作品。これまでが、現実を突きつける“暗澹(あんたん)”だったとするならば、今回は一転して一筋の“希望”を提示する回だったと言えよう。
“美しすぎる”ほどの解決へ
第8話は前回から続く汚職事件の行方が描かれた。以前も触れた通り、“金の事件”をドラマとして描くのは難しい。勧善懲悪に振れば振るほど、現実の生々しさと乖離し、安っぽい絵空事になってしまうからだ。
実際に劇中では、事件を握りつぶそうとする大物政治家の圧力や、捜査一課への復帰を餌にした主人公・今泉(福士)への懐柔など、一筋縄ではいかない現実が重苦しく立ちはだかった。しかし、その決着は意外なほどに鮮やかだった。巧妙なトリックで大逆転を狙うような外連味(けれんみ)に頼るのではなく、広報と二課の面々が抱く泥臭い熱意、揺るぎない正義感、そして現場ならではの小さな機転…それらが積み重なることで、ある種“美しすぎる”ほどの解決へと導かれたのである。
これまでのエピソードが、どんなにエンターテインメントの形を取っていても、常にどこかで視聴者に割り切れない不快感や、喉に小骨が刺さったような後味を残してきたことと比較すれば、今回の描写はあまりに理想主義的に映ったかもしれない。だが、この“描きすぎた希望”には、現代における重要なメッセージが込められていたのではないだろうか。
それは、今作と同じ火曜21時枠で放送されていた警察ドラマのバイブル『踊る大捜査線』(フジテレビ)が提示した「正しいことをしたければ偉くなれ」というテーゼに対する、現代版のアンチテーゼ、あるいはアップデートだ。
組織の硬直を打ち破る最短距離
『踊る』が提示したのは、現場の信念を貫くためには組織の上に立ち、権限を持つ必要があるという、いわば組織の階段を上ることを前提とした希望だった。しかし、それから約30年が経過した現在、その希望の先にある現実はどうだろうか。
今、私たちが目撃しているのは、上を目指した者たちが権力の座に就いた後の、さらなる混迷と腐敗ではないか。もし「正しいことをしよう」と上り詰めた人々が現在の組織の上層部を形成しているのだとすれば、もはや“上に立つ”ことだけでは世界を変えられないという限界が露呈している。
そこで今作の今泉が見せた選択が、深い意味を持ってくる。かつての常識ならば、一課への復帰という出世の階段に手をかけることこそが正解だったはずだ。しかし彼は、提示されたそのカードに対してほとんど逡巡を見せなかった。そこにあるのは、“何者かになる(=偉くなる)”ことへの執着ではなく、“自分が今いる場所(=広報)”で何をなすべきかという強固な覚悟だ。
かつてはいつか偉くなって組織を変えることが正義への遠い回り道だった。しかし今は、今いる場所で、自分にしかできない職務を全うすることこそが、組織の硬直を打ち破る最短距離になっているのではないだろうか。
広報という現場で正義を貫こうとする今泉の潔さ。その熱意の伝播こそが、停滞した組織を動かす唯一の鍵となる。第8話の清々しいほどの決着は、そんな現代的な“現場の希望”を象徴していたに違いない。
しかし、この美しい結末が最終章へと突入する直前のエピソードであるという点には、一抹の不安がよぎる。なぜならこの充足感は、クライマックスで待ち受けるであろう、これまでにない巨大な“暗澹”を際立たせるための“振り”のようにも思えるからだ。いよいよ次回から、初回から伏せられてきた縦軸の謎が動き出すのか。ただのハッピーエンドで終わらせてくれないのは目に見えている。最終回まで、一瞬たりとも目が離せそうにない。






