藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(主催:共同通信社、日本将棋連盟)は、挑戦者の2勝1敗で迎えた第4局が3月15日(日)に栃木県日光市の「日光きぬ川スパホテル三日月」で行われました。対局の結果、相掛かり持久戦の中盤から抜け出した藤井棋王が126手で勝利。カド番を凌いでフルセットに持ち込みました。

先後同型の相掛かり

ともに後手番で勝利してここまで挑戦者の2勝1敗。初タイトルの期待がかかる増田八段は得意の先手番相掛かりに命運を託します。角交換が行われて盤上は先後同形の持久戦へ。左右をにらむ自陣角で打開を図ったのが増田八段決断の一手で、角のにらみを生かす形で1筋の端攻めを敢行しました。局面がにわかに動き始めるも、形勢互角のまま両者持ち時間1時間を切ります。

先手が右辺から、後手が左辺からの突破を図って激しい攻防は続きますが、リードを奪ったのは後手の藤井棋王のほうでした。守りの銀を取らせる代償に、得た桂を金取りに打ったのが急所の反撃。スムーズな飛車の成り込みが確約され攻め手に困らなくなりました。増田八段としては結果的に、銀取りを保留して相手に制約を与える「もたれ指し」が優りました。

藤井棋王が快勝でタイに

優位に立った藤井棋王は安定した指し回しでリードを拡げます。敵玉への王手を急がずに自陣に眠っていた桂馬を跳ねて増田玉の逃げ道をふさいだのが「玉は包むように寄せよ」の格言を地で行く決め手。この手は自玉の逃げ道も確保しており、爽快な遊び駒の活用にファンも「勝ち将棋、鬼のごとしだ」「(最近の)不調は一体…」と舌を巻きました。以降は藤井棋王の一人舞台に。

終局時刻は19時15分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた増田八段が投了。終局図で藤井玉には詰みがなく、また増田玉は受けても一手一手の寄り形でした。貴重な後手番勝利につないだ藤井棋王はこれでスコアを2勝2敗のタイに。注目の最終第5局は3月29日(日)に鳥取県鳥取市の「有隣荘」で行われます。

水留啓(将棋情報局)

  • 藤井棋王は局後「最後は玉が詰むかどうかの勝負だったので形勢は最後まで分からなかった」と熱戦を振り返った(提供:日本将棋連盟)

    今年から常務理事も務めている糸谷八段、多忙のなか自身初となる名人挑戦に向けファンの期待も高まる(提供:日本将棋連盟)