神奈川県・横浜エリアのJR関内駅前と横浜スタジアム(通称ハマスタ)の間に、大規模複合街区『BASEGATE横浜関内』が3月19日(木)オープンする。この街区の特徴は、2025年に「横浜市認定歴史的建造物」に指定された旧横浜市庁舎行政棟をコアに「新旧融合」の景観を作り、ホテル・ライブビューイングアリーナ・商業・産業振興を一体にした新エリアを成していることだ。
当記事では、開業前に実施されたメディア向け内覧会に筆者が参加した様子をレポートする。横浜に新しく誕生するランドマークは、どのような姿なのか。
近代建築の巨匠・村野藤吾氏設計の旧庁舎をニュースポットに転用
BASEGATE横浜関内は、2019年から横浜市で進む「旧市庁舎街区活用事業」により誕生したスポットだ。プロジェクト推進役は三井不動産株式会社を代表として、横浜DeNAベイスターズの運営母体である株式会社ディー・エヌ・エーのほか、IT建設・鉄道・保険・ホテルの計8社。JR関内駅の南口からほぼ直結とアクセス良好である。
敷地内は旧横浜市庁舎行政棟をホテル等に転用した『ザ レガシー』をはじめ、様々な商業・ビジネス施設の入るタワー棟、飲食中心の『グリーンウォークテラス』『スタジアムサイドテラス』、後述の『THE LIVE』に分かれる。働き・学び・楽しみ・くつろぎ・観光など機能を一体化し、通年で市民に愛用されるスポットにすることが狙いだ。先述のとおり横浜スタジアムの隣にあるため、試合観戦前後での利用にも便利である。
歩道や壁面は所々に赤レンガを用い、最新施設のモダンさと同時に、横浜らしい文化の香りも両立したデザインだ。特にタワー棟とザ・レガシーの間の細い通路は、旧横浜市庁舎としての歴史を伝える『継承の道』となっている。ミニ博物館的な展示スポットも設けられているので、観光ついでに見学しておいて損はない。
旧横浜市庁舎行政棟の重厚かつ穏やかな構造にも注目である。ここを設計したのはモダニズム建築の巨匠・村野藤吾氏。細部がリノベーションされつつ全体ではほぼ原型を保った、貴重なモダニズム建築の粋に触れてみよう。
幅約18mのライブビューイング画面に踊る「ホームラン」の文字
BASEGATE横浜関内で最大の見どころは、「スポーツ・ライブ体験」&「映像テクノロジーによる没入型体験」という2大エンターテインメントだ。その一つ『THE LIVE Supported by 大和地所』は、野球観戦などに用いられる日本最大級のライブビューイングスポットである。
1階メインフロアの吹き抜けに幅約18m・高さ約8mの9面式巨大ビジョンを設置し、プロ野球などのスポーツや、音楽やお笑いのライブといったエンタメが、ハイエンド設備で最大限に演出される。
THE LIVEはエンタメ性だけでなく「食」にもこだわった点が特徴だ。1階には大型ビジョン周囲に飲食9店舗が並び、巨大ビジョン前のテーブル席で、ライブビューイングと合わせてフードコートのように利用可能。スポーツ観戦と合わせて軽食やドリンクを楽しんだ経験のある人ならば、きっと気にいるだろう。3階にもテラス付きのバーベキューレストランが出店する。
天井には波打つ曲線のような青いLEDライトが配置され、青をチームカラーとする横浜DeNAベイスターズだけでなく、青い波=港町・横浜も想起させる。2階部分には横浜DeNAベイスターズのフラッグシップショップもあるので、ファン必見だ。
ライブビューイングの実演では、1階から見上げるような大画面に横浜スタジアムの様子が大きく映し出され、スコアボードや選手名簿も表示されて見やすさ抜群。横浜DeNAベイスターズの選手がホームランを決めたり、チームが試合に勝利した際などは、画面全体でゴージャスな演出を行う。モニター下部にはステージがあり、ハマスタとTHE LIVEが連動した様々なイベントも行われるという。ベイスターズのファンにとって新たな「聖地」となることだろう。
カラフルな動物達が観客を誘う没入型体験スポットも
もうひとつのエンタメスポットは、タワー棟の3〜4階にある『ワンダリア横浜 Supported by Umios』である。ここでは観客を色鮮やかで幻想的な映像と音響で包み、空間全体で驚き&不思議の没入型体験を提供する。ウォークスルー型の6ゾーンに分かれ、観客は高原・深海・原生林・洞窟・大空といった大自然を動物達が行き交う光景を仮想体験し、最後に大都市≒人間の世界へ帰還する流れだ。
内覧会当日は最後のゾーン6(都市)が公開前だったので、ゾーン5までを実際に体験した。いずれのゾーンも壁や天井、時には床面まで最大限活用して高精細のビジュアルを投影し、没入感は抜群。特にゾーン2(深海)と5(大空)は全方位が仮想映像に囲まれることで、独特の浮遊感や移動感を味わえる。映像に登場する動物達も造形自体はリアル寄りながら、体色や細部の所々に非現実的なアレンジがあり、地球の自然とファンタジー作品が合わさったような世界に観客を誘い込んでくれる。
ワンダリア横浜では専用スマートフォンアプリもあり、アプリ画面に動物を映すと、その動物のデータを収集することができる。これも「ポケモン」のような楽しさがあり、若年層やファミリーは特に喜ぶだろう。アプリ使用を前提として、観客側も積極的に仮想体験へ関わっていく、良くできたイマーシブ演出だ。
ゾーン出口の先にはショップとカフェが設置されている。ショップでは映像中に登場する動物達をモチーフにしたぬいぐるみが多数販売されており、非常にキュート!子どもに買ってあげたくなるほか、近年の「ぬい活」需要も押さえていそうである。カフェの室内は白く爽やかで、広々とした窓の向こうに見える横浜スタジアムを眺めながら、幻想世界の余韻に浸れそうだ。
「有隣堂」「バル街」などショップ・飲食も充実
BASEGATE横浜関内は各所にショップや飲食店舗があり、初進出9店(関東・神奈川エリアへの初も含む)、新業態は17店に及ぶ。特にザ レガシー1階部分とスタジアムサイドテラスにまたがる飲食店街『スタジアム横バル街』は、路面店や屋台村のような通路沿いにバラエティ豊かな34店が連なる。先述のとおり横浜スタジアムからも訪れやすいので、試合観戦前のランチや試合後の打ち上げに重宝されるだろう。
タワー棟とザ レガシーの間にある継承の道にも、旧庁舎の歴史展示に加えて、上質なカフェやスイーツショップが連なる。そうした中、『横浜ハーバースタジアム』では店舗マスコット「ハーバーくん」をモチーフにした軽食やグッズを販売しているのがコミカルだ。
一方、ザ レガシーの地下1階~2階の書店『有隣堂』も見逃せない。BASEGATE横浜関内の有隣堂が他地域のものと大きく違うのは、書籍販売以外にも多様なサービスを提供していること。店内にコワーキングスペース、ギャラリー、セレクトショップを併設し、ナチュラルで文学的なライフスタイルを提案する場所だ。
かつて有隣堂の伊勢佐木町本店にあったという洋食屋『有隣食堂』をベースにしたダイニングも地下1階で営業しており、横浜ゆかりの洋食文化に裏打ちされたハンバーグやスパゲティは絶品である。
また、ザ レガシーには宿泊施設『OMO7横浜 by 星野リゾート』も4月21日(火)開業予定。歴史的建築物内で宿泊し、ルーフトップテラスで横浜の風を受けつつ地ビールを飲み、ジャズの演奏を聞くという上質な一日を味わえる場所だ。横浜エリアの案内展示やサービスもあり、このホテルを起点とした横浜巡りが捗りそうである。
一方、タワー棟には多くのオフィステナントのほか、科学者の研究支援のイノベーション・発明を進める横浜市最大の新産業拠点『一般社団法人STELLAR SCIENCE FOUNDATION(SS-F)』のほか、シェアオフィス、コワーキングスペース、ジムやクリニックも設置される。横浜エリアのビジネス振興や産業創出にも貢献していく。
関内が横浜全体をいっそう盛り上げる「要所」となる
報道発表会では、主催者である三井不動産の代表取締役社長・植田俊(うえだたかし)氏らが、BASEGATE横浜関内に寄せる願いについて深く語った。
このBASEGATE(ベースゲート)という名前には「新たな創造の起点(ベース)となり、街の歴史と未来、人と人、街と街を結ぶ架け橋(ゲート)になりたい」という思いが込められているそうだ。関内は横浜スタジアムの所在地ということに加え、周辺の大通り公園・馬車道・横浜中華街といった観光地や散策スポットからも至近距離。この各地を観光客が回遊するハブとしてBASEGATE横浜関内を位置付け、立地的な強みを横浜全体の発展に活用していくという。
同時開催のDeNA記者発表会でも、スポーツコンテンツと街づくりを積極的に結ぶ「スポーツ・スマートシティ事業」の場として、BASEGATE横浜関内を発展させることへの熱い意欲が述べられていた。横浜DeNAベイスターズとBASEGATE横浜関内の、街づくりという大試合はまだ一回の表。旧横浜市庁舎行政棟の歴史を背負った新街区は、未来に向けて満塁ホームラン級の成果を出せるのか、今後の活躍が待たれる。






















