テレビドラマやCMで、まるでプロの役者のような演技を見せる動物たち。彼らはどのように選ばれ、緊張感あふれる撮影現場で期待に応えているのだろうか。
今回は、数々の話題作にペットモデルを送り出してきた「アニマルプロ」でトレーナーを務める細波麻裕美さんと石井敏樹さんにインタビュー。不動の人気を誇る犬種の傾向から、知られざる撮影現場の舞台裏まで、話を聞いた。
犬や猫がメインのドラマで活躍
――まず、「アニマルプロ」がどのような事業を展開しているのか、改めて教えてください。
細波さん:私たちの事業を一言でいうと、ドラマや広告などの撮影依頼があった際にペットモデルを現場に派遣することですが、うちの場合は必ず「トレーナーが現場に行く」というのをセットにしています。そこが大きなポイントですね。
石井さん:最近は特にドラマの出演が増えてきましたね。広告やドラマ系にはかなり強い自負があります。
――具体的には、どんな作品に出演されているのでしょうか?
細波さん:最近だと猫のドラマが2つありますね。3月5日から始まった『旅と僕と猫』(テレビ東京)や、柏木由紀さん主演の『元カレの猫を、預かりまして。』(東海テレビ)です。あとは日曜劇場の『アンチヒーロー』(TBS)や映画『少年と犬』、NHKの『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』なんかもそうですね。
――『シバのおきて』はタイトルの通り、柴犬がメインなんですよね。
細波さん:むしろ犬が主演という感じでした。実は、ワンちゃんの中で一番お仕事が多いのは柴犬なんですよ。「日本人は本当に柴犬が好きなんだな」って思います(笑)。「普通のよくいる犬がいい」と言われると、大体は柴犬の依頼になります。柴犬でお仕事がないってことは、まずないですね。
石井さん:猫ちゃんだと雑種、三毛猫とかが人気です。日本人はやっぱり、日本らしい犬、日本らしい猫が好きなんだなという印象です。
――ワンちゃんや猫ちゃん以外の動物が活躍することもあるのでしょうか?
細波さん:うさぎは意外と多いですよ。アパレルのスチール撮影やムービーで、モデルさんの横にちょこんといたり。ヘビもミュージックビデオなんかでよく呼ばれますね。スタイリッシュで強い雰囲気、または怪しい雰囲気を出したいときに重宝されています。



トレーニングにやってきた「ゆゆ」(チワワ、6才)。「お座り・伏せ・立って」の3ポーズを5分以内でこなせるかチャレンジ。惜しくも5分は回ってしまったが、ほぼ合格ラインに達しているとのお墨付きをもらっていた
撮影現場はトレーナー同伴、リピートされる理由
――アニマルプロに所属するためには、厳しいオーディションがあるそうですね。
細波さん:そうですね。まずは「フレンドリーチェック」といって、初めての人が触っても嫌がらないかを見ます。ただ触るだけじゃなく、足先やお腹を触ったり、抱っこしたときにどう反応するか。その次に能力審査で、「お座り・伏せ・立って」の3ポーズを5分以内で、決められた位置と向きでできるかを確認します。これができないと、やっぱり現場では厳しいですね。合格率はだいたい20~30%くらいです。
石井さん:弊社のオーディションは他社さんと比べて厳しいというお声はよく頂きます。
――他社さんと比べて、アニマルプロさんの「ここが違う」という強みはどこですか?
細波さん:よく制作側から「無駄吠えされたら困る」「おしっこされたら困る」と言われるんですが、私たちからすれば「そんなのは当たり前ですよ」って思うんです。でも、わざわざ言われるってことは、今までそういうトラブルがあるということですよね。うちは飼い主さんに対しても「ペットモデルである自覚を持ってください」と伝えています。撮影に遊び感覚で来ている飼い主は一人もいません。
石井さん:あとは、トレーナーが現場の気持ちを汲み取れることです。「このシーンでこういう動きをさせたいなら、こういう場所を作ってください」と事前に打ち合わせをして、現場をスムーズに進める提案ができます。他の事務所さんだと、トレーナーが現場に立ち会わず、飼い主さんに任せっきりのところもあるので、その点ではうちは安心してご利用いただけると思います。
細波さん:制作サイドの思いを理解しつつ、動物たちにも無理をさせない。そのバランスが取れるからこそ、リピートしていただけているのかなと思います。


