他人と比べ始めたとき、仕事は途端に難しくなる。「才能」という言葉は、その引き金になりやすい。その言葉に振り回されず、自分がやりたいと思うことと向き合えれば、片岡凜のように純度の高い仕事ができるのかもしれない。

  • 片岡凜 撮影:佐藤容平

    片岡凜 撮影:佐藤容平

染島乃愛はどんなキャラクター?

ドラマ『キンパとおにぎり〜恋するふたりは似ていてちがう〜』(テレ東系 毎週月曜23:06〜23:55)で片岡が演じる染島乃愛は、海外留学に行きたいという夢を抱きながらも、家族や恋人を優先せざるを得ない現実の中で生きる人物だ。

「乃愛は海外に留学して語学を勉強することに憧れを強く持っているのですが、家族のために働かないといけないような状況にあります。また、パチンコが好きな彼氏がいて、乃愛にお金をねだってくるのを断りきれずにいるので、自分のためにお金を使えない。夢と現実の狭間で葛藤を抱えながら生きているキャラクターです」

劇中では、主人公・大河(赤楚衛二)にとって相談相手のような存在でもある乃愛。年齢差のある2人は、どのような関係性として描かれていくのだろうか。

「年齢は離れてるんですけど、近所のお兄ちゃんみたいな感じのポジションにいるような、遠慮がなくガツガツ行くような関係性です。奥手な大河というキャラクターに対して、乃愛ははっきりとした性格なので、迷っている彼に対してアドバイスをして、背中を押してあげるんです」

染島乃愛役を演じ、「愛」に対して感じたこと

ドラマの公式サイトで、片岡のキャストコメントにはこんなふうに記されていた。

「乃愛を演じて、他人のために尽くすところは素晴らしいですが、その方向を間違うと周りも不幸になる、手を差し伸べる愛より、見守る愛や見捨てる愛が、時には大事だと感じました」

SNSでつづる文章もそうだが、彼女の言葉は痛快で美しい。つい、少し踏み込んだ問いを投げかけてみたくなる。愛とは何か、と。

この問いに対しては、「私もまだ未熟なので……それがいつかしっかり分かって、はっきりと言葉にできるようになるまで時間がかかりそうです」と留めたが、ファンから受け取る愛については明確に言葉にした。

「私の活動をいつも見てくださってる方がいて、たとえばSNSで何かを発信するたびに、たくさんポジティブな言葉をくれて応援してくださる。それがすごくうれしくて。彼らが直接目の前にいるわけではないのですが、それでもすごく温かい気持ちと愛を感じる瞬間というのはとても多いです」

片岡凜が「才能」を意識しないようにしている理由

このドラマを観ていると、愛と並んで、才能という言葉もまた、一つのテーマとして浮かび上がってきた。大河は大学生のころに陸上で挫折を経験しているし、アニメーションを学ぶため韓国から留学しているリン(カン・ヘウォン)も、漫画誌で連載する作家の実力に圧倒される場面が描かれた。

努力や憧れだけでは埋められない差を突きつけられる瞬間は、決して特別な世界の話ではない。俳優という仕事とも、どこかで地続きの言葉だと思われるが、才能というものをどう捉えているのだろうか。

「俳優の仕事を始めてから、私は正直そこまで才能という言葉を意識したことは特になくて。才能って、生まれ持っていて元々備わっているような能力というふうに捉えることのできる言葉だと思うんですけど、それを言ってしまったら、せっかくやりたいことに対して疑問を抱いてしまうような場面も出てくるのかなと。なので、私はあまり意識しないようにしています」

とはいえ、多士済々の世界。才能を目の当たりにするような場面もあるのでは。

「もちろん尊敬している方はたくさんいます。でも、私は元々あまり怯まない性格なので、そういう方を見ても、自信を失ったりしたことは今まではないですね」