キリンビバレッジは1月22日、「2026年 事業方針発表記者会見」を開催した。人口減少や物価高、気候変動など先行き不透明な環境が続くなか、同社は「おいしい飲みもので、ヘルスサイエンスリーディングカンパニーへ」を掲げ、健康・環境・コミュニティにまたがるCSVを経営の中枢に据えた成長戦略を示した。

  • (左)キリンビバレッジ 代表取締役社長の井上一弘氏、(右)キリンビバレッジ 執行役員 マーケティング部長の鈴木郁真氏

    (左)キリンビバレッジ 代表取締役社長の井上一弘氏、(右)キリンビバレッジ 執行役員 マーケティング部長の鈴木郁真氏

ヘルスサイエンスを成長軸に据えるキリンビバレッジの事業方針

最初に登壇したのは、キリンビバレッジ 代表取締役社長の井上一弘氏。まず井上氏は2025年の事業を振り返り、清涼飲料市場の数量が前年比97%程度と厳しい環境にあった一方で、同社の売上収益は前年比100%を確保し、なかでもヘルスサイエンス飲料は前年比111%と伸長したと説明。季節ごとの訴求を通じて「プラズマ乳酸菌」入り飲料が拡大し、“免疫ケア”市場の広がりを牽引した点を成果として挙げた。

社会的価値の創出についても言及。コミュニティ領域では「午後の紅茶」ブランドがmottainaiプロジェクトに参加し、地域社会の活性化や国内原料農園の持続的発展を支援。さらに紅茶の原産地であるスリランカにおいて、子どもたちへの教育支援や豪雨被害に対する復興支援などにも取り組んできたと紹介した。

続いて井上氏は、2026年の戦略方針を説明。人口減少により市場規模は中長期的に縮小が見込まれる一方、超高齢化や健康意識の高まりを背景に、健康カテゴリーは引き続き成長が期待できるとの見方を示した。また、SDGs意識の浸透により「企業が社会的価値をどう創出するか」が重要になると指摘した。

  • キリンビバレッジのパーパス/ビジョン

    キリンビバレッジのパーパス/ビジョン

こうした状況の中、同社はパーパス「お客様の毎日に、おいしい健康を。」を軸に、健康・環境・コミュニティの3領域でCSVを推進。2026年は売上収益前年比100%、ヘルスサイエンス飲料で同115%を目標に掲げ、高収益化をさらに進める方針を示した。中長期では2035年に向け、ヘルスサイエンス領域を次なる成長の柱として育てていく考えだ。

免疫ケアを“日常の習慣”へ

後半では、キリンビバレッジ 執行役員 マーケティング部長の鈴木郁真氏が登壇し、2026年のマーケティング戦略を説明した。鈴木氏は「おいしい飲みもので健康を実現するCSV戦略」を基軸に、ブランド育成と市場創造を加速させると強調。重点領域としてヘルスサイエンス、紅茶、無糖茶を挙げた。

なかでも注力するのがヘルスサイエンス領域だ。プラズマ乳酸菌を中心に、免疫ケアを「特別なとき」ではなく「日常の習慣」として定着させることを目指す。子ども向けには、プラズマ乳酸菌入りの子ども健康飲料「キリン つよいぞ! ムテキッズ」を3月17日から全国展開。子どもが自ら手に取りたくなるパッケージ設計と、親の安心感を両立させた商品として、子ども健康飲料という新カテゴリーの創出に挑む。

  • 3月17日から全国展開する「キリン つよいぞ! ムテキッズ」

    3月17日から全国展開する「キリン つよいぞ! ムテキッズ」

iMUSE(イミューズ)では、新シリーズ「フルーツリフレッシュ」を4月14日に発売。果実のおいしさや前向きな気持ちを後押しする情緒価値を掛け合わせ、水分補給の延長線上で免疫ケアを取り入れられる提案を強化する。さらに「おいしい免疫ケア」では、免疫機能に加えて肌のバリア機能(保湿力)をサポートする「おいしい免疫ケアセラミドプラス」を3月3日に投入し、夜の飲用など新たなシーン拡大を図る。

  • 4月14日発売、iMUSE新シリーズ「フルーツリフレッシュ」

    4月14日発売、iMUSE新シリーズ「フルーツリフレッシュ」

  • 3月3日発売「おいしい免疫ケアセラミドプラス」

    3月3日発売「おいしい免疫ケアセラミドプラス」

無糖茶カテゴリーでは、同質化が進む市場に対し「価値提案」で勝負する構えを示す。象徴となるのがヘルシアのリブランディングだ。トクホ茶のパイオニアとしての信頼を生かしつつ、“日常の健康習慣”として選ばれるブランドを目指す。4月7日発売の「キリン ヘルシア うまみ緑茶」は、確かな機能と飲み続けやすいおいしさを両立させた商品だという。

  • 4月7日発売「キリン ヘルシア うまみ緑茶」

    4月7日発売「キリン ヘルシア うまみ緑茶」

紅茶カテゴリーでは、2026年に40周年を迎える「午後の紅茶」を軸に、日常的に紅茶が選ばれる文化を育てていく。原材料産地への支援を続けながら、紅茶のおいしさや楽しみ方を改めて提案し、ブランド力の強化を進めていく。

最後に鈴木氏は、「物価高が続く時代だからこそ、生活者が納得して選びたくなる価値が求められる」と語り、ヘルスサイエンスを“おいしい健康”を軸に、免疫ケアの習慣化から子ども領域の市場創造までを一体で推進していく決意を示した。同社は、生活者の毎日に寄り添う提案を積み重ねながら、市場そのものを広げていく考えだ。