FODとPrime Videoで配信中のドラマ『にこたま』(毎週金曜20:00最新話配信)に主演する橋本愛。出会って12年、なんとなく幸せな日々を過ごす温子(橋本)と晃平(瀬戸康史)に、晃平の同僚である高野ゆう子(比嘉愛未)も絡んだ3人の葛藤を描く作品だ。

“あっちゃん”こと温子という人物に重ね合わせたのは、「感情的になるより理性的に思考を練る」生き方と、恋愛や出産にどこか居心地の悪さを抱えながらも、自分の軸で決断していく強さ。さらに、「自分以上に人のことを愛せない人がいたとしてもいい」と語り、“誰かのため”だけではない人生の原動力も肯定する――。

  • 橋本愛 撮影:泉山美代子

    橋本愛 撮影:泉山美代子

願いを込めて演じる「現実を生きる皆さんに」

――橋本さんは、この作品にどんな感想を抱きましたか?

恐ろしいのが、この漫画が描かれたのは10年以上前なんですよね。当時は今より多様性が表に出ていない時代で、「恋愛するのが当たり前」とか、「完璧で幸せな家族像」みたいな共通認識が、もっと強かった気がします。そこをこじ開けて描いた渡辺(ペコ)先生の先見の明がすごいと思いました。

だからこそ、「今の時代にこのドラマを作る意味も考えないといけないな」とも感じています。原作とドラマで表現が少し変わっているところもあって、制作チームみんなで一生懸命考えながら作りました。私自身も、「この作品が、現実を生きる皆さんに少しでも届いたらいいな」という願いを込めて演じました。

――橋本さんは、台本にびっしりと書き込みをするそうですが、どんなことを書いているのでしょうか。

あっちゃんの心情です。例えば、晃平のセリフを聞きながら、あっちゃんが何を感じているか。自分のセリフのときに、その“裏側”で何を言いたいのか。そういうサブテキストを1行ずつ書き込んでいきます。大変だけど、これをやらないと演じられないんです。現場で段取りや演出が変わることもあるので、メイク中などに書くことが多かったです。

――温子という人物を象徴していると感じたセリフはありますか?

一番仲のいい親友から、「あっちゃんは冷めてるもんね」と言われるんです。あっちゃんは、「自分は冷たい人間なんじゃないか」「人と違っておかしいんじゃないか」みたいな疑問や違和感と一緒に生きてきたんだろうな、と想像できるセリフでした。この言葉に対して、「傷ついた」とか「ショック」ではなく、「ざらっと残る」という表現が絶妙で、彼女の強さや背景が伝わってくる点でも印象的でした

  • (C)渡辺ペコ/講談社/フジテレビ

ぬいぐるみとの印象に残るシーン

――温子や晃平の相談役として、ぬいぐるみの“むるたん”が登場します。印象に残っているシーンはありますか?

むるたんが、いつから温子と一緒にいるのかが明かされるシーンです。原作では気づかなかったので、初めて知って驚きました。むるたんと温子には深い絆があるんですけど、ドラマではむるたんと一緒のシーンは晃平の方がずっと多いので、ちょっと嫉妬しちゃいました(笑)

――撮影現場では、どのように過ごしていたのでしょうか。

苦しい作業が多いので、リフレッシュとして、何も考えずに笑える動画を観て爆笑していました。

――おいしそうな料理がたくさん登場しますが、どのメニューが特に印象的でしたか?

うどんですね。あっちゃんが晃平に作るんですけど、彼は食べないんです。だから私が撮影後にいただきました(笑)。「なぜ食べなかったのか」は、ドラマを見ていただけると分かると思います。