近畿日本鉄道は、名古屋線、山田線、大阪線などに新型一般車両「1A系」を導入し、1月16日から運行開始する。これに先立ち、1月9日に報道関係者向け試乗会・撮影会を実施。1A系デビュー後の運用や、名古屋線・大阪線系統における一般車両の今後についても聞いた。
1A系は名古屋線・大阪線系統に導入する4両編成の新型車両。先に導入された8A系は「伝統の赤」だったが、1A系は「進化の青」と位置づけ、青色・白色のツートンカラーに。近鉄の掲げた「伝統を守りつつ進化していく」という思いを表現している。
車内はロングシートとクロスシートの切替えが可能なL/Cシートを採用し、1両の中でロングシートとクロスシートを混在させた配置も可能。ベビーカーやキャリーバッグ・スーツケース等の大型荷物を持った利用者向けに「やさしば」も設置する。名古屋線・大阪線系統の一般車両では初という、バリアフリー対応の多目的トイレも。8A系との違いとして、山間線区を安定的に走行するための機器を搭載した点も挙げられる。
名古屋線系統において、クロスシートを備えた4両編成の車両(5200系や5800系など)は急行を中心に使用しており、ロングシート2両編成の車両と組んだ6両編成での運用が一般的とされる。1A系もそれに準じ、名古屋線系統でデビューした後は急行中心の運用を予定しているという。名古屋線では2025年度の1A系(4両編成×3編成、計12両を導入)に続き、2026年度に1B系(3両編成×3編成、計9両を導入)が運行開始する予定だが、1B系については名古屋線系統で使用している3両編成の従来車両と同様、準急や普通を中心に運用するとのことだった。
大阪線系統の1A系(4両編成×2編成、計8両を導入)については、トイレを設置した車両のため、長距離を走る急行系の種別で運用する機会が多くなる見込みだが、4両編成で普通運用に入る場合もあるという。なお、1A系の導入車両数とほぼ同数の車両を置換え対象として、廃車にする計画との説明も。8A系や1A系といった新型一般車両の導入は、昭和40年代(1965年以降)に製造され、近鉄の各線区で長年活躍してきた約450両の老朽化に伴う代替更新を目的としている。1A系の導入に伴う置換え対象の形式として、大阪線を中心に名古屋線でも急行用として活躍している2610系(1972年以降に製造)が挙がった。
名古屋線系統の急行で活躍する従来車両のうち、5200系は片側3扉の車両。これに対し、新たに導入する1A系は片側4扉の車両で、1A系デビュー後も引き続き片側3扉・4扉の車両が混在する状況と見込まれる。近鉄名古屋駅の3番線(おもに急行が発着)で2026年度中に設置予定の大開口ホーム柵は、片側3扉・4扉のどちらにも対応した設計になるという。
1A系を導入した後、従来車両も4年後をめどに順次、現行の赤色から青色に塗り替えるとの報道もあった。これに関して質問したところ、いまは検討段階であり、期間も具体的に決まったわけではないが、従来車両の塗替えを計画しているとのこと。名古屋線・大阪線系統の車両を対象に、青色を基調としたカラーリングに塗り替える計画と説明があった。
新型車両1A系の導入は、名古屋線の車両更新においてひとつの節目といえる。従来車両の塗装変更が進めば、路線全体のイメージも徐々に変化していく可能性がある。
一方で、将来的なホームドア設置を見据えて車体仕様の統一を図る事業者もある中、近鉄では片側3扉・4扉の車両を併存させ、それぞれに対応した大開口ホーム柵を採用するとしている。こうした選択に、設備更新と既存資産の活用を両立させつつ、柔軟に対応していこうとする姿勢も感じられる。近鉄の掲げた「伝統を守りつつ進化していく」という考え方が、今後どのような形で具体化するのか。引き続き注目したい。






