松山ケンイチが主演を務めるドラマ『テミスの不確かな法廷』(NHK総合 毎週火曜22:00〜22:45)が1月6日にスタートする。このドラマで、ある事件をきっかけに東京の大手法律事務所を辞めて前橋にやってきた弁護士・小野崎乃亜役を演じる鳴海唯にインタビュー。脚本を読んだ印象や役づくりについて話を聞いた。(全3回の1回目)

鳴海唯 撮影:佐藤容平

鳴海唯 撮影:佐藤容平

原作者の直島翔氏からもらったメッセージ

――ドラマでヒロイン役を務めるのは今回が初めてとのことですが、出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

以前から弁護士役に挑戦するのは夢だったのでその念願が叶い、とてもうれしかったです。それと同時に、ヒロインを任せていただいたからにはその期待に全力で応えたいという思いでした。

――最初に脚本を読んだとき、どのような印象を持ちましたか?

主人公がASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)を抱えていて、そのことをカミングアウトしていない裁判官という設定が、今までにない作品だなと思いました。ただの法廷ものではなくて、その特性があるからこそ切り込める視点で事件を解決していくところがすごく面白いなと。事件だけじゃなく、人と関わることで主人公自身も周りも変わっていく、そのヒューマン性も惹かれました。

――公式サイト記載の役紹介によれば、小野崎は最初、松山ケンイチさん演じる安堂清春の特性を利用しようと彼に近づきますが、安堂の抱える苦悩や孤独に触れ、いつしか自身も思わぬ影響を受けていく……という役どころです。鳴海さんご自身は、小野崎がこのドラマでどのような役割を担う人物だと捉えていますか?

撮影中、原作者の直島翔先生がサイン入りの小説を届けてくださったのですが、そこに「安堂を支えてください」というメッセージを書いていただいたことが、すごく印象に残っていて。その一言が小野崎を演じる上での指針になりました。

安堂と小野崎は一見相性が合わないような二人なんですが、お互いの足りない部分を補い合っていて、小野崎は猪突猛進ながらも、みんなを引っ張っていく存在なのかなと思っています。

小野崎という役を通して「勇気を与えることができたら」

――鳴海さん演じる小野崎、第1話からとても魅力的でした。役紹介をただ読むだけでは分からない人としての奥行きを感じられて、改めて俳優という職業はすごいなと思いました。鳴海さんご自身は、この小野崎という役をどんなふうに見せたいとお考えですか?

等身大で共感性の高いキャラクターになればいいなと思っています。小野崎は自分が思い描いていた理想と現実とのギャップに押しつぶされて、父親の地元の前橋にやってくるのですが、社会で大人になって生きていく中で、誰しも一度は小野崎と似た経験をしたことがあるのではないかと思っていて。

小野崎は安堂と出会うことで、その挫折をポジティブに変換して、強みに変えて、また事件に立ち向かっていく。そういった、彼女の仕事への向き合い方が、見てくださる方に共感を生み、勇気を与えることができたらいいなと思っています。

――第1話では、小野崎がなぜ前橋にやってきたのか、詳しくは描かれていませんでした。その過去は今後明かされていくのでしょうか。

はい。第2話が小野崎メインのお話になっていて、第2話の予告で小野崎が酔っ払って「裁判って誰のために、何のためにやっているんですか」と、門倉さん(遠藤憲一)にぶつけるシーンがあるんですけど、そこはまさしく小野崎の核心を突いたセリフだと思っています。

何が正義なのか……被告人のことを守りたい、救いたいという思いで弁護士になったはずなのに、刑事事件では起訴された時点で有罪がほぼ確定してしまう。そのもどかしさや葛藤が第2話では描かれているので、観てくださる方にとっても、自分の中の葛藤が少し晴れるような、そんなメッセージ性のある回になったらうれしいです。

――第1話の小野崎は、自分のことをあまり語らない分、その表情から何を考えているかを読み取らないといけませんでした。でも第2話では、そこに言葉が乗っていくわけですね。

そうですね。実は、第1話のとき、小野崎はもう弁護士をやめようと思っている状態なんです。そこから、やっぱりまだ続けたいと思って、安堂と一緒に事件を解決していく中で、どんどん成長していく姿が描かれていくので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

■プロフィール
鳴海唯
1998年5月16日生まれ、兵庫県出身。2019年に連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)でドラマ初出演を果たす。2021年には『偽りのないhappy end』で映画初主演を務めた。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)、映画『アフター・ザ・クエイク』、ドラマ『MISS KING / ミス・キング』(ABEMA)、ドラマ『シナントロープ』(テレビ東京系)など。