富山県射水市に本社を置くスーパーマーケット「アルビス」は、日清食品と共同開発した「完全メシ弁当」を9月6日より全店で発売した。

  • アルビス 太閤山店に設けられた「完全メシ弁当」のコーナー

    アルビス 太閤山店に設けられた「完全メシ弁当」のコーナー

日清食品とアルビスが共同開発した「完全メシ弁当」は、日清食品の「完全メシ」シリーズ同様、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求。栄養バランスが整っていて、しかもおいしい弁当として好評を博している。

このユニークな弁当は、どのようにして誕生したのか。狙いと背景について、開発に携わったアルビスの担当者3名に話を聞いた。

アルビスに「完全メシ弁当」爆誕! 「正直、トントン拍子ではなかった」

  • 左から梅本恭平さん、高野洋佑さん、山本昌保さん

    左から梅本恭平さん、高野洋佑さん、山本昌保さん

――まずはどのような業務を担当しているか、それぞれ簡単にご説明をお願いできますか?

山本さん 営業本部第一商品部の部長です。主に生鮮部門、海産・青果・精肉・惣菜などを担当しています。

高野さん 第一商品部の惣菜・ベーカリー部門の課長です。惣菜とベーカリー全体のマネジメントを担っています。

梅本さん 第一商品部で惣菜のバイヤーをしています。冷惣菜、サラダ、煮物、レンジ商品など幅広いカテゴリーを担当しています。

――さっそくですが、アルビスの「完全メシ弁当」はいつ、どのようなきっかけで生まれたのでしょう?

山本さん 最初に日清食品さんからお話をいただいたのは4月ごろだったと思います。もともとアルビスでは、グロッサリー(常温保存できる加工食品)カテゴリーで「完全メシ」の商品を販売していましたが、ご提案いただいた際に「完全メシ」に弁当があることを初めて知りました。そこから共同開発を進め、今年9月6日に4種類のラインナップを発売しました。

アルビスには、“おいしさ”や“お値打ち・お買い得”などいろいろな商品軸がありますが、そのひとつに“健康”もあります。例えば、塩分・糖質を抑えた商品や、たんぱく質・ビタミンなどの栄養素を手軽にとれる商品です。

  • 「完全メシ弁当」には鮮やかな青い容器を採用。惣菜コーナーでもひと際目立っていた

    「完全メシ弁当」には鮮やかな青い容器を採用。惣菜コーナーでもひと際目立っていた

――「1日の1/3の野菜がとれる」といったコンセプトの商品などでしょうか。

山本さん そうです。これまでもそういった健康軸の商品はありましたが、それらと「完全メシ弁当」とではコンセプトが全く異なります。「完全メシ弁当」は、栄養バランスが整っていながら、普段の食事と変わらないおいしさを実現していることが最大の特徴です。一般的に、健康に配慮した商品は味が薄いなど物足りなさを感じやすいのですが、“ジャンクなおいしさ”のある「完全メシ弁当」なら、食べる楽しみも損なわれないので、面白い挑戦になると思いました。

お客様の中には「おいしいものを食べたいけれど、栄養バランスも気になる」という方が多くいらっしゃいます。健康に配慮した商品に馴染みのない方にとって、「完全メシ弁当」が最初の“入り口”になればいいと考え、販売を決めました。

――日清食品から提案を受けて、開発はスムーズに進んだのでしょうか?

山本さん 正直に言うと、トントン拍子とはいきませんでした(笑)。新しい挑戦となる商品でしたので、ひとつひとつのステップを丁寧に確認しながら進める必要がありました。おいしさを担保しつつ、自社工場で量産が可能なレシピを設計するための原材料選定など、課題は多かったですね。また、日清食品さんに栄養バランスの設計をお願いする必要があったため、密に連携しながら開発を進めていきました。

梅本さん 通常の弁当なら約1ヶ月で開発できますが、「完全メシ弁当」は開発に3〜4ヶ月はかかりましたね。

「今でも信じられない。このおいしさで栄養バランスが整ってるの? って」

――具体的に開発で苦労したポイントについて教えてください。

梅本さん 1つ目は価格設定です。「完全メシ弁当」は、栄養バランスが整っていて、しかもおいしいという付加価値がありますので、どうしても価格は高めに設定せざるを得ません。しかし、他の弁当との価格差が大きすぎると手に取っていただきにくい。そこで、原材料の仕入れ先との交渉や、製造プロセスの見直しを行い、最終的には通常の弁当との差を100円ほどに抑えることができました。

2つ目は味わいの調整です。塩分やカロリーを「完全メシ」の栄養設計基準内におさめるためには、使用できる原材料に限りがあります。その制限の中で多くの方に“ちゃんとおいしい”と思っていただける味わいを実現するのは大変でした。

3つ目は容器の選定です。既存の弁当や惣菜と見た目が似てしまうと“特別感”が薄れてしまうため、色や形状など、いくつものバリエーションを検討してオリジナリティが出るよう意識しました。

――最終的に4種類のラインナップが完成したと。商品の特徴や味わいなどについても教えていただけますか?

山本さん いずれのラインナップも「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素のバランスが調整されているほか、カロリーはおおよそ500キロカロリー前後、塩分は3.0g未満に抑えています。

梅本さん カレーについては、「スパイシーカレー」と「オニオンカレー」のどちらにするかで悩みました。最終的には、「完全メシ」を初めて手に取るお客様にも親しみやすく、世代を問わず好まれる味の「オニオンカレー」を採用しました。

「ビビンバ」は、どなたでも食べやすいよう適度な辛さにしました。具だくさんでボリュームがあるため、他のラインナップより100円ほど高い価格ですが、それでもお得感を感じていただけると思います。「ナポリタン」も非常に人気が高いですね。

  • 「完全メシ弁当」の「オニオンカレー」。非常に人気があるそうだ

    「完全メシ弁当」の「オニオンカレー」。非常に人気があるそうだ

――実際にみなさんが「完全メシ弁当」を食べてみて、印象はいかがでした?

山本さん 正直、今でも信じられないんです。「このおいしさで本当に栄養バランスが整ってるの?」って(笑)。健康に配慮した商品にありがちな味の物足りなさを心配していたのですが、「完全メシ弁当」にはしっかりとした“ジャンクさ”があって、おいしいんですよね。私のお気に入りは「カレー」です。純粋においしいと思います。

高野さん 「完全メシ」のシールが貼られていなかったら、普通に「ただのおいしい弁当」として食べていたと思います。お客様に「完全メシ弁当」のすごさを伝えるのは難しいのですが、頑張っていきたいです。ちなみに私は「ナポリタン」派です。ボリュームもありますし、本当においしいと思います。

梅本さん 私は「ビビンバ」が一番好きです。健康系の惣菜なのに全く違和感がなく、本当においしいと思いました。野菜もたくさんとれて、罪悪感が一番ないと思います。

今必要なのは、リピーターを生み出すための「次の一手」

――「完全メシ弁当」の販売を始めて以降、お客様からの反応はいかがですか?

梅本さん 発売初日に試食会を実施したのですが、予想以上の反響でした。「完全メシ」というブランドは知っていても、「弁当があるなんて知らなかった!」という声が多く、たくさんの方が興味を持ってくださいました。

高野さん 地元のハンドボール部の試合でも試食会を実施したのですが、「おいしいね」「どこで売ってるの?」といった声をいただきました。

  • 売り場のPOPはあえてユニークな表現に。真面目に栄養バランスについて説明するのではなく、お客様の関心を引きやすいデザインで勝負に出た

    売り場のPOPはあえてユニークな表現に。真面目に栄養バランスについて説明するのではなく、お客様の関心を引きやすいデザインで勝負に出た

――それでは最後に、今後の目標や展望について教えてください!

山本さん 新しいラインナップの開発も検討しながら、「完全メシ弁当」のファンを増やしていきたいと思っています。これから寒くなってくるので、季節感のあるメニューも取り入れていきたいですね。

高野さん どんどんラインナップを入れ替え、お客様を飽きさせないことが大事だと考えています。来店された方が「『完全メシ弁当』の新作、出てるかな?」とワクワクしながら総菜コーナーを見に来てくれるようになると嬉しいですね。

梅本さん 毎日食べても飽きないくらいのラインナップをそろえ、サブスクのようにご利用いただけたら面白いですよね。お客様の健康意識にいい影響を与えられる商品になったら嬉しいです。


「完全メシ弁当」は、栄養バランスとおいしさを両立させた新しい“ライフスタイル惣菜”として日々進化している。今後は、季節感のあるメニューを拡充するなど、お客様の生活に寄り添った展開に期待したい。