テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、23日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第45話「その名は写楽」の視聴分析をまとめた。
「あ、手前どもはこれで十分にございます」
最も注目されたのは20時33分で、注目度81.3%。喜多川歌麿(染谷将太)が浮世絵に対する情熱を感じられない本屋たちにいら立つシーンだ。
「何か申せ…とは?」難しい顔の歌麿に、本屋たちはおずおずと問い返した。「何かしらあるだろう。もっとこうしてほしいだの、ここが違うだの」歌麿は促すように視線を向ける。「あ、手前どもはこれで十分にございます」2人の本屋は戸惑いながら頭を下げた。どうやら歌麿の不満の理由が分からないらしい。「俺ゃ納得がいかねえんで納得がいくまで描き直します!」歌麿は激しい剣幕で広げられた絵をかき集め、勢いよく座敷を後にした。「たかが浮世絵1枚にどうかしちゃいないかね…」座敷に残された本屋たちは愚痴を漏らす。
日が明けても、歌麿は一心不乱に筆を走らせる。2本の筆を持ち替えながら黙々と描き続けた。周りには多くの下絵が散乱している。やがて歌麿は、筆を打ち捨てるように置くと、勢いよく立ち上がった。いら立ちを隠しきれぬまま、縁側の障子を荒々しく開け放つ。そんな時、門人の菊麿(久保田武人)が来客を告げた。
歌麿と蔦重の仕事上の相性にコメント多数
注目された理由は、浮世絵に対する歌麿の情熱が、本屋たちに理解のこだわりの差に視聴者が注目したと考えられる。
蔦重(横浜流星)と決別した歌麿は、別の本屋と組んで絵を発行する準備を整えていた。しかし新しく組んだ本屋たちは蔦重とは違い、歌麿の仕事に全く口を挟むことはなかった。歌麿には何も言わない本屋たちの態度が我慢ならない。逆に本屋たちには歌麿の厳しいプロ意識を理解することができなかった。江戸中に名を響かせる大家となった歌麿の仕事に、口を挟むことは畏れ多いと思っていたのだろう。
SNSでは「リテイク出しまくる編集と凝り性の作家って相性が良かったんだな」「歌は芸術家肌だからどうしても普通の編集者とは合わないんだよね。根掘り葉掘り疑問を突き詰めてくれる人じゃないと」「蔦重は江戸一の目利きっていわれてるもんね。普通の本屋から見たら歌が何に不満なのか分からんよね」と、歌麿と蔦重の仕事上の相性にコメントが集まった。
江戸時代の浮世絵は絵師、彫師、摺師、版元の分業によって作られていた。特に重要な位置にいたのが版元だった。版元は企画の立案、絵師への依頼、彫師・摺師の手配、資金の調達、完成品の流通と販売、町奉行への検閲対応など、多くの役目を担っていた。絵師は基本的に版元に雇われる形で作品を描いていた。
絵師は原画料を受け取ったが、完成品の売り上げは版元の収入になった。絵師への支払いは原画1枚につきいくらという定額制が一般的で、浮世絵がどれだけ売れても絵師の収入は変わらないのが普通だった。版元が気に入らなければ原画が採用されないこともあったようだ。しかし、歌麿ほど圧倒的な人気絵師となると版元の方が頭を下げることもあり、絵師の希望が通ることもあった。

