風を切って走る爽快感はオートバイの魅力のひとつですが、それも春や秋の話。冬は走行風で身体が冷え、無理をすれば体調を崩したり、運転ミスなどのリスクが高まります。
しかし、バイク好きなら雪でも降らない限りはツーリングを楽しみたいと思うもの。そこで今回は冬のライディングを快適にするアイテムをテストしてみました。
小休憩時に便利なヘルメット&曇り止めシート
ヤマハ発動機が展開するライディングギア「ワイズギア」のオープンジェットヘルメットが「YJ-22Ⅱ ZENITH(23,100円)」。さまざまな車種や年齢・性別にマッチするジェンダーレスなデザインと、買いやすい価格ながらも脱着内装やインナーサンバイザー、UVカット&ハードコートのシールドなどの装備も充実しています。
<実走インプレッション>
「YJ-22Ⅱ ZENITH」は派手なエアロ系やクラシック系とは違うシンプルなフォルムが魅力。ラインが入ったグラフィックモデルも控えめなデザインですが、ベースカラーはソリッドではなく、さりげなくメタリック色を採用しているのもオシャレです。ブラウンの内装色はファンデーションの付着を気にする女性ユーザーに配慮したものですが、男性でも違和感はありません。
オープンジェットは顎や首に走行風が巻き込んでしまう製品もありますが、この製品のシールドは顎が隠れる程度の長さがあり、エッジはスポイラー状になっています。ほかのオープンジェットよりも曲率が強いシールドの形や、顎ヒモと連動して締まるチークパッドの仕組みも関係しているのか、ほとんど寒さは感じませんでした。
また、冬場は顎まで隠れるフルフェイスの方が暖かそうに思えますが、小休止でメンバーと会話をしたり、暖かい飲み物を飲んだりする際にヘルメットを脱がずに済みます。チンガードが跳ね上がるシステムタイプでも同様のことが可能ですが、オープンジェットはさらに軽いので首に負担がかかりません。
そのほか、「YJ-22Ⅱ ZENITH」にはオプションの「ピンロックシート」(3,410円)を装備できるホックがついています。これはシールド裏面に貼ることで二重サッシのような断熱層を作り、吐いた息や蒸れなどによる曇りを防止する製品です。昔からあるスプレー式の曇り止めは定期的な吹付が必要ですが、「ピンロックシート」は数年以上も効果が持続します。筆者も使用していますが、これは一度使うと手放せなくなる画期的なアイテムです。
※Pinlock®Original Insert Lensは、Pinlock® fog-free system社の商標登録です。
気温にあわせて3wayで着こなせるウィンタージャケット
同じくワイズギアの「RY2003」(49,500円)は 着脱式で単体でも着用できるインナーを装備したウィンターロングジャケットで、気温に応じて『アウター+インナー』、『アウターのみ』、『インナーのみ』という3通りの使い方が可能です。それぞれ表地、中綿、PEフィルム、熱反射保温機能を持つグラフェンシートの4層構造で高い保温性を実現し、冷たい風を防ぐフロントファスナー部のダブル前立構造や、袖部分には手首を覆うストームガードも装備しています。
<実走インプレッション>
表地にレインウエア並み(初期耐水圧20,000mm、初期透湿度20,000g/m2/24h)の初期耐水圧/初期透湿度を持つ素材(CYBERTEX)を採用し、ファスナーにも止水処理がされているため、急な雨も防ぐ防水性能を持っています。肘・肩・背中のプロテクターはアールエスタイチ製と互換性があり、胸部にも別売りのプロテクターを取り付けできるスナップボタンを装備。そのほか、肘や肩部には防火衣や防弾ベストにも使われる強靭なケブラー製ニットを織り込んだ「High protection 3 layer」の採用や、視認性の高いリフレクターパイピングなど、防寒だけでなくライディングウエアとしての安全性能にもこだわった作りです。
バイクメーカーが監修したウィンタージャケットということもあり、外気温が10度程度ならまったく寒さを感じることはなく、15度以上では汗ばんでしまうほどの防寒・蓄熱性能を発揮します。アウター+インナーの状態ではかなり厚めになりますが、ウエアの形状はライディングの姿勢に適したもので、長めの裾もダブルジップで開けられるため身体の動きが阻害されることはありませんでした。インナーを外した状態ではフィット感が緩めになりますが、ウェスト部のドローコードを締めればバタつきや裾から入る風を防ぐことができます。
冬は街着のダウンジャケットやウィンタースポーツ用ウエアで代用する人もいますが、バイク用ジャケットは風速100km/h以上の走行風をものともせず、転倒時に身体を守る構造になっているため、耐久性や安全性の高さは比較になりません。長時間走っても疲れにくく、ファスナーやポケットもライディングに適した形状になっているのも大きなメリット。3wayなら秋から春までカバーできるので、一着持っておけばとても便利なはずです。
一番冷える指先を完璧に防寒する電熱グローブ
アールエスタイチの電熱シリーズ「e-HEAT」のグローブは、走行風で冷えやすい指の周囲と甲の部分に発熱ユニットを配置した電熱グローブです。TAICHIオリジナルの防水・透湿素材"ドライマスター"を採用した全天候型で、「RST656 e-HEAT グローブ」(17,600円)はソフトタイプのプロテクションを持つスタンダードモデルですが、ほかにもカーボンやハードプロテクターを装備したスポーティなモデルもラインアップされています。給電方法はグローブの手首(カフ)に収納した専用バッテリー式のほか、車両のバッテリーから行うキットが用意されています。
<実走インプレッション>
ウィンターグローブは生地が厚いため操作感の悪い製品もありますが、オートバイ用ギアを知り尽くしたアールエスタイチの製品らしく、スロットルやレバー、スイッチなどの操作性はとても良好でした。また、今どきのグローブには必須のタッチパネルに反応する素材も親指と人差し指に配置されています。手首(カフ)内側に収納するバッテリーは片側で170gほどの重さですが、乗車姿勢では下側にぶら下がる形になるため走行中は気になりませんでした。ただし、女性や長距離を走るため負担を軽くしたい方は車両バッテリー給電式の方がよいかもしれません。
電源オン/オフと発熱レベルの変更は手の甲に設置された発光インジケータースイッチで行います。発熱レベルは赤(ハイパワー)、オレンジ(ノーマル)、緑(エコノミー)の三色で表示され、バッテリー残量の確認も可能です。スイッチは2.5cm角ほどの大きさで点灯するため、グローブでの操作や夜間の確認も良好でした。電熱オンで1分もしないうちに指と手の甲が温かくなりますが、走行風の当たらない手のひらや手首は発熱しないため、無駄に熱くなることはありません。
グローブ自体がウィンター用としてしっかり作り込まれているため、気温が10度以上なら電熱がオフでも十分な保温性がありました。バッテリー持続時間は発熱レベルによって約3時間半から約7時間ですが、車両バッテリーから給電すれば時間に制限なく使えます。ただ、風よけのナックルガードが装備されている車種なら、かなり寒くてもエコノミーモードで十分ではないかと思います。
前から当たる冷たい走行風を防ぐインナーウエア
デイトナの「防風防寒インナー」は走行風を受ける「前面」を防風仕様にしたライディング用インナーウエアです。表側の防風生地がジャケットの隙間から入り込む風をブロックし、裏側はフリースタイプの起毛生地で体温を保ちます。
<実走インプレッション>
胴体前面や腕に入っている防風素材は若干固めですが、襟まわりから入り込む風や、ジャケットから伝わる冷たさをしっかり防ぎます。対して背中と脇下はストレッチ素材を使っているため、ライディング時の身体の動きを邪魔することなく、背中が出ないように丈は長めになっています。そのほか、手首もリブ袖で風の浸入を防ぐ工夫がされています。
「防風防寒インナー」は、今回試着したハーフジップタイプ「DI-001FA」(6,380円)のほか、フルジップやネックウォーマータイプ、インナーパンツのラインアップもあり、それぞれブラック単色のほか、ステッチ部にデイトナのブランドカラーであるオレンジをあしらったタイプがあります。ハーレーやKTMにも合うオシャレなカラーですが、複数の黒いインナーを持っている方なら、こちらの方がクローゼットで見つけやすいのではないでしょうか。
つま先と足首をダブルでガードするアイテム
ラフアンドロードの「ウインドガードトゥアンクルウォーマー」(2,860円)は、つま先から脛までをカバーする防寒アイテムです。使い方はとても簡単で、靴下の上からつま先にひっかけて足首に巻くだけ。つま先は滑りやすい素材とフリース素材の間に防風フィルムを挟んだ「ウィンドガードフリース」を使い、足首から脛は保温性の高いネオプレンを採用し、走行風による足先の冷えや裾から巻き込む風をブロックします。
<実走インプレッション>
足先の防寒対策に厚手の靴下を履く方もいると思いますが、生地が厚すぎるとシューズがきつくなったり、足裏の感覚やペダルの操作感が気になったりすることはないでしょうか。これに対してこのトゥアンクルウォーマーは、走行風で冷えやすいつま先と甲だけをカバーしているので、シューズを履いても窮屈さを感じることはなく、履いていること自体を忘れてしまうほどでした。
エンジンやアンダーカウルが横に張り出したバイクでは不要かもしれませんが、シングルやツインのネイキッドやオフロードモデルなど、車幅が狭くて走行風が足に当たりやすいバイクに乗られている方や、末端が冷えやすい女性ユーザーなどにはおすすめの製品です。ただ、ふくらはぎで重ねる部分は厚くなるので、タイトなデニムと組み合わせる場合は事前に確認した方がよいでしょう。
防寒対策ができても、冬のライディングは慎重に!
今回は5つの冬用アイテムを使用してみましたが、いかがでしたか?
かつては大変だった冬の走行も、現在はハイテク素材や電熱グッズの登場でとても快適になりました。これらを使えば冬のツーリングが楽しくなるだけでなく、寒さによる操縦ミスを防ぐため安全性も高まります。ただし、路面やタイヤは冷えて滑りやすいので油断は禁物です。絶対に無理はせず、“安全第一”で冬のバイクライフを楽しんでくださいね!
















