円谷プロダクションは、この度、アメリカVES(Visual Effects Society)の生涯功労賞である“Half of Fame”(殿堂入り)に円谷プロダクション創業者・円谷英二が選出され、11月8日に表彰式が行われたことを発表した。さらに今回の円谷英二の殿堂を受けて、VFX特別賞受賞経験をもつ山崎貴監督よりお祝いコメントも到着した。
過去殿堂入りした映画監督には、ウォルト・ディズニー、スタンリー・キューブリック、ジョルジュ・メリエスなどが名を連ねており、日本人として史上初となる殿堂入りとなり、日本映画史・VFX史においても歴史的な快挙だ。
表彰式では円谷英二が手掛けた作品の映像とともに、その偉業が称えられた。円谷プロダクション代表取締役社長 永竹正幸氏が登壇すると、会場には突如バルタン星人が登場。突然の登場にどよめく観客の前を悠然と歩くバルタン星人でしたが、そこへ我らのヒーロー・ウルトラマンが姿を現し、会場の熱気は一気に最高潮に達した。
ウルトラマンとバルタン星人の戦いが目の前で繰り広げられ、ウルトラマンが必殺技・スペシウム光線を放つと、バルタン星人を見事に退ける。その後、ステージの中央でウルトラマンと永竹社長は固い握手を交わすと、会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こった。
ウルトラマンが同席する中、永竹社長はスピーチを行い、「今回の殿堂入りは、円谷英二の功績を、単に技術的な面にとどまらず、国境や時代を超えて未来のクリエイターたちに影響を与え続ける普遍的なインスピレーションの源泉として位置づけ、称えるものです。」と感謝の言葉を述べた。
株式会社円谷プロダクション 代表取締役社長 永竹正幸のスピーチ
皆様、こんばんは。円谷プロダクション社長の永竹です。 本日、円谷英二のVES(Visual Effects Society)殿堂入り(Hall of Fame)という歴史的な瞬間に立ち会わせていただき、大変光栄に思います。円谷英二が60年以上前に創業した円谷プロダクションを代表し、ご家族の皆様、VESの関係者、そしてこの殿堂入りに関わった全ての方々に、心よりお祝いと感謝を申し上げます。
「観ている人たちに喜びや驚きを与えたい。その喜びや驚きを糧に、想像する喜び、未来に向かう希望、平和や愛を願う優しさなどを育んでもらいたい。」円谷英二は、常に作品を通じてこの想いを伝えようとしていました。
この想いを形にするために、彼は「空想の力」を駆使し、1954年の『ゴジラ』や、1966年に始まり今なお続く『ウルトラマン』シリーズなど、革新的な作品を数多く生み出しました。彼の作品は、世界中の映画制作者に多大な影響を与え続けています。
今回の殿堂入りは、円谷英二の功績を、単に技術的な面にとどまらず、国境や時代を超えて未来のクリエイターたちに影響を与え続ける普遍的なインスピレーションの源泉として位置づけ、称えるものです。
改めまして、VES関係者の皆様に感謝申し上げますとともに、この素晴らしい栄誉に心よりお祝い申し上げます。ありがとうございました。
山崎貴監督のお祝いコメント
――円谷英二の殿堂入りを受けて
偉大な先人ですし、日本では“特撮の父“と呼ばれている人ですから、VESの方たちが認めてくださったことが本当に素晴らしいことだなと思いました。
――現在ゴジラ新作映画の準備中となる山崎監督として、円谷英二さんから学んだこと、参考を受けたことは?
やはり“本物に見えること”ですね。それは光の当て方であったり、アングルであったり、いろんな技法において、どうやって本物に見せようとするかをとても意識していたと思います。特撮で作りながらも実物に見せようとするという努力はものすごく参考にしていますし、今のやり方でそれができるようにするにはどうしたらいいか、常々考えています。
――山崎監督が思う、円谷英二さんの魅力は?
まず、それまでと一線を画すリアリティで、ものすごく壮大なものをスクリーンの中に、特撮という技術で作り出していたことですね。革命的だったのではないかと思いますし、それが日本だけにとどまらず、世界中の人たちがそれに魅了されるものを最初に作った方だと思います。パイオニアとして色んなことを円谷さんが初めて行ったことはたくさんあるので、0から1にするって本当に大変なんです。なにかを参考にするというよりは、表現したいことを0から作り出したことは、本当にすごいと思いました。
――最後に、現代の映像クリエイターやVFXを志す人たち、また日本の映像業界に円谷英二さんの殿堂入りが与える影響は?
素晴らしい仕事をすれば、世界が見てくれているんだなと、改めて感じられたことが大きいですね。VESは一流の人たちが、ちゃんと円谷さんという存在を見ていて、そしてそれを認めてくれたということが、我々後進の者たちにとって、一つの輝かしい実績がちゃんと評価されることが、ものすごく励みになって、みんなのやる気をさらに上げていくのではないかと思います。
VESとは
「VES(Visual Effects Society)は、視覚効果(VFX)の専門家を網羅的に代表する、エンターテイメント業界唯一の国際的な名誉専門職団体。世界50カ国以上に5,000人を超える会員を擁するVESは、映画、テレビ、コマーシャル、アニメーション、特殊会場、ゲーム、ニューメディアといった、エンターテイメントのあらゆる分野に貢献している。今年2月には、俳優・映画監督の真田広之氏が「VES Award for Creative Excellence」を、山崎貴監督が「VES Visionary Award」を受賞し、日本国内でも話題となった。
今回開催された表彰式「2025 VES Honors Celebration」は、米国時間2025年11月7日18時30分(日本時間11月8日11時30分)より、アメリカ・ロサンゼルス ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスMiracle Mile Campusにて行われた。登壇者は、円谷プロダクション 代表取締役社長 永竹正幸(円谷英二ご遺族の代理として登壇)、ウルトラマン、バルタン星人。
殿堂入りについて
VESが授与する「Hall of Fame(殿堂入り)」は、VFX業界に永続的な影響を与えた偉大なパイオニアたちを称える、最も権威ある生涯功労賞。過去には、ウォルト・ディズニー、スタンリー・キューブリック、ジョルジュ・メリエスなどが名を連ねている。日本人初となる円谷英二の殿堂入りは、「VFXの礎を築いたパイオニア」として世界の映画業界にその功績が認められたことを意味する。
円谷英二(つぶらやえいじ) (1901-1970)
「特撮の神様」として知られる円谷英二は、1919年に撮影技師の助手として映画キャリアをスタートさせた。
1923年にカメラマンに昇進すると、当時最先端の撮影技術を探求し、日本映画界初の鉄製の撮影用クレーンを制作する。この頃、映画『キング・コング』(1933年)に感化された英二は、特殊撮影技術を最大限に生かした作品作りを志向し始め、その後、彼が在籍したJ.O.スタヂオなどが合併して東宝が設立されると、そこで特撮技術の研究と開発が開花した。彼は、ミニチュアワーク、多重合成、スクリーン・プロセス、スーツメーション(俳優にクリーチャースーツを着せる手法)、マットペインティング、光学合成など、特殊撮影技術の先駆者となった。真珠湾攻撃を再現した山本嘉次郎監督の壮大な映画『ハワイ・マレー沖海戦』(1942年)は、国内で大ヒットを記録し、特撮表現の可能性が広く認知された。
英二は戦後もキャリアを積み重ね、1954年に本多猪四郎監督、東宝製作の『ゴジラ』での特撮により、世界的にその名を知られることになる。『ゴジラ』は、劇場映画として史上最長となるゴジラシリーズの礎を築き、史上最高の怪獣映画の一つとして認知されている。彼は精力的に後進の育成や技術継承に取り組み、1963年に自身の会社である円谷特技プロダクション(現:円谷プロダクション)を設立。そこでテレビ番組『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』などのウルトラマンシリーズを立ち上げた。創業者・円谷英二の「空想の力」は、現在も円谷プロダクションの企業活動の源泉、基盤として受け継がれている。
(C)円谷プロ



