代表曲「忘れじの言の葉」(スクウェア・エニックス『グリムノーツ』主題歌)で知られ、海外では「日本のゲーム音楽カルチャーの後継者」と呼ばれる注目アーティスト「未来古代楽団」が、2025年10月18日(土)、東京・有楽町のヒューリックホール東京にて、5thライブ「未来古代楽団 祝祭あるいは断章4『聖なる月と魔なる星』」を開催した。

未来古代楽団は、「千年後の古代音楽」をコンセプトに掲げる、作家・作曲家の砂守岳央を中心とした音楽ユニット。ストリングスを活かした民族調の楽曲、多重コーラスを中心としたサウンド、そして砂守の作詞による独自の世界観が世代を超えて支持を集めており、楽曲提供、ゲーム音楽、舞台・映像の劇伴など幅広い活動を行っている。

前回、未来古代楽団としては異例のオールスタンディングでのライブとなったが、今回は通常のホール会場。会場に集まった観客は、座席にゆったりと腰掛けながら、静かに開幕の時を待つ。そして、ステージ前に張られた紗幕に映し出された案内役たる人形が紡ぐ未来古代語が、静寂を切り裂くように会場内に響き渡る。

未来古代楽団のライブは、ストーリーにあわせて展開される。ストーリーテラーとしても稀有な才能を持つ砂守が紡ぎ出す世界観こそが、唯一無二のステージを組み上げ、そして音楽と融合し、観客を日常から切り離す。さらに今回は不知火フレアが語り手の精霊としてゲスト参戦。いつもとは異なる新たな世界に彩りを添える。

今回のストーリーは、一度文明が滅んだ後の森の世界が舞台。全てを失った人間の王子セレノスと、力を持たない精霊人の少年セレンとの出会いから物語は始まる。そして、観客のいる「劇場」と物語本編の「文明崩壊後の森」が交錯する瞬間、観客は物語の観測者としての決定が求められる。

オープニングを飾ったのは田野アサミによる「月蝕」。未来古代楽団によるライブに初参戦の田野の歌声が、これから始まるライブの展開を予感させるように会場を支配していく。そして、セレノスとセレンによる掛け合いが生み出すおごそかな雰囲気が、続くゲストボーカルのLuciaに受け継がれ、「銀の糸」「エデンの揺り籃」、そして「もろびと」を披露。観客の心を「文明崩壊後の森」に縛り付けていく。

今回のライブにおける未来古代楽団の構成は、主宰の砂守岳央を筆頭に、松岡美弥子(ピアノ)、吉田和人(ギター)、吉田篤貴(ヴァイオリン)、田中教順(パーカッション)、豊田耕三(アイリッシュフルート/ティンホイッスル)、そして初出演となる竹岡きなり(コントラバス)らが名を連ねる。ストリングスを中心としつつ、ピアノやフルートの音が音に厚みを加えていく。そんな未来古代楽団による「踊踊踊レ」「捨てられたもの捨てるもの」が会場の空気を次のステージへと誘っていく。

そして、「火火火」が謎のボーカルの力強い声によって会場に拡散。客席もペンライトを赤く灯らせて反応する。そして「約束のプリムラ」の演奏が続く中、ストーリーも大きく転換する。禁忌の古代兵器《ゴーレム》を巡り、セレノスとセレンが対立。「銀の旧約」でふたたび田野の声が響き渡り、「吸って、吐く」「探し人の紡ぎ歌」の演奏がストーリーの展開と相まって、会場全体を包み込み、観客は選択の時を待つことになる。

ライブもラストスパートの瞬間を迎え、未来古代楽団の象徴とも言える代表曲「忘れじの言の葉」を安次嶺希和子が歌い上げる。そして安次嶺が歌う「見ル見エル」の後、観客は選択を突きつけられる。観客を巻き込んだインタラクティブな演出は、前回ライブから取り入れられた未来古代楽団の新境地。観客が振りかざす色を変えられる輝く棒(ペンライト)の光に、物語の結末が委ねられる。「力による血塗られた平和を望むもの」は赤、「穢れなき遠き理想を望むもの」は青。観客の決断を見届けるように安次嶺による「光あれ」が会場を満たし、選択の結果が告げられる中、アンコールの「止まり木の歌」が安次嶺のボーカルで会場に響き渡り、ステージは終幕を迎える。

そして、あらためて紗幕に映し出される人形が団長・砂守に代わって感謝の言葉が告げる。砂守からの「先に謝らせてください。はじめての平日です」という謎のメッセージに続いて、「未来古代楽団次回ライブ開催決定」のニュースが飛び込んでくる。砂守の言葉どおり、次回ライブとなる「祝祭あるいは断章6『巨いなる神のオブリビオ』」は、2026年5月7日(木)に、Zepp DiverCity(Tokyo)にて開催。ゲストボーカルとして、安次嶺希和子、新居昭乃、戌亥とこ、霜月はるかの参戦が予告される。チケットの最速先行は、10月18日(土)19:30~10月29日(水)23:59までの受け付けとなっている。

なお、「未来古代楽団 祝祭あるいは断章4『聖なる月と魔なる星』」の模様は「ZAIKO」でのオンライン配信が実施されたが、配信チケットを購入することで、10月28日(日)23:59までアーカイブ視聴が可能となっている。ライブに参加できなかった人はもちろん、ライブに参加した人もあらためて未来古代楽団が描き出す世界、「未来と古代の交わる場所」を楽しんでほしい。

●「未来古代楽団 祝祭あるいは断章4『聖なる月と魔なる星』」セットリスト

M01. 月蝕 / 田野アサミ
M02. 銀の糸 / Lucia
M03. エデンの揺り籃/ Lucia
M04. もろびと/ Lucia
M05. 踊踊踊レ / Instrumental
M06. 捨てられたもの捨てるもの/ Instrumental
M07. 火火火/ ???
M08. 約束のプリムラ / Instrumental
M09. 銀の旧約/ 田野アサミ
M10. 吸って、吐く / Instrumental
M11. 探し人の紡ぎ歌 / Instrumental
M12. 忘れじの言の葉 / 安次嶺希和子
M13. 見ル見エル / 安次嶺希和子
M14. 光あれ / 安次嶺希和子
【アンコール】
M15. 止まり木の歌 / 安次嶺希和子