アリナミン製薬はこのほど、睡眠研究の権威である柳沢正史教授と2024年度から進めてきた「疲れと睡眠の関係、および抗疲労成分の効果」に関する共同研究プロジェクトにおける、研究成果発表会を開催した。

  • 「疲れと睡眠の関係」共同研究の成果を発表

    「疲れと睡眠の関係」共同研究の成果を発表

疲労による睡眠状態への影響を検証へ

同社は1954年に日本初のビタミンB1誘導体製剤「アリナミン糖衣錠」を発売して以来、70年以上にわたり「疲れ」に向き合い、多様化するニーズに応じた製品を提案し続けてきた。近年は「明日の元気を変えていく」をコーポレートメッセージに、疲労対処だけでなく「睡眠」の重要性にも着目し、「アリナミン ナイトリカバー」シリーズや「ベンザブロックYASUMO」を展開している。

生活者が悩む「疲れと睡眠の関係」については、自覚指標もブレやすく、科学的なメカニズムが十分に解明されていない。一般的に「疲れると眠くなる」と言われる一方、「疲れすぎると眠れない」という声もあり、疲れと睡眠の関係性は未だ明確ではなく、壮大な研究テーマとなっている。

こうした背景から同社は、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)および、脳波測定デバイスを用いた睡眠測定サービスを提供するS’UIMIN社と連携し、2024年9月より「疲れと睡眠の関係、および抗疲労成分の効果」に関する3か年計画の共同研究を開始した。昨年9月3日に共同研究開始の発表会を開催した際には、「疲れすぎて眠れない、は本当か?」といった話題が広まり、「研究が進めば、スポーツ医学や産業医学にも役立つ成果が期待される」等のコメントも寄せられた。本研究の第1段階では、「運動様式・強度の違いによる、疲労と睡眠への影響」を検証することを目的に、睡眠の質については、主観的な調査に加え、S’UIMIN社が提供している脳波測定デバイスを用いた客観的なデータも取得し、研究をおこなった。

  • 左:アリナミン製薬 森澤代表取締役社長/右:西窪常務執行役員

    左:アリナミン製薬 森澤代表取締役社長/右:西窪常務執行役員

運動様式・強度によって、睡眠への影響が異なる

研究の結果、高強度のレジスタンス運動を行った日は、主観的および客観的な疲労度が高く、睡眠の質が良好となることが明らかとなった。一方で、高強度の有酸素運動を行った日は、主観的および客観的な疲労度が高いのは同様だったが、主観的および客観的な睡眠の質は低下する傾向が示された。なお、どちらの運動様式も中強度であれば、疲労度にも睡眠の質にも変化はなかった。

すなわち、「疲れすぎて眠れない」という事象について、運動による疲労に関して言えば、高強度の有酸素運動では確かに「疲れすぎると眠れない」現象が確認されたが、レジスタンス運動では確認されず、運動の強度や様式によって異なることが初めて明らかとなった。

  • 左:筑波大学 柳沢教授/右:大藏教授

    左:筑波大学 柳沢教授/右:大藏教授

抗疲労成分フルスルチアミンの効果検証へ

本プロジェクトは、長期的な計画で3年間の研究期間を設定し、スタートした。第1段階で得られた研究成果を基に、第2段階では抗疲労成分フルスルチアミンの睡眠の質改善効果の検証に本格的に取り組む。具体的には、疲労度が高く、かつ睡眠の質が低下し得る運動、すなわち高強度の有酸素運動を実施した日に、同成分を服用した際の、抗疲労および睡眠の質改善効果を臨床試験により検証する。研究は2025年10月からスタートし、2026年度に結果が得られるスケジュールで進められるという。