大正製薬は9月11日、「秋バテ」についての調査結果を発表した。調査は2025年8月、全国の20代以上の男女1,000人を対象にインターネットで行われた。
「秋バテ」の症状、約6割が実感
調査によると、約6割(59.1%)の人が、少なからず"秋バテ"の症状を感じていることがわかった。
具体的な症状としては、多い順に「疲れが抜けない、だるさや身体の重さが続く(356人)」、「やる気が出ない(240人)」、「肩こりや頭痛がひどくなる(170人)」、「集中力が続かない、ボーッとする(167人)」、「寝つきが悪い、眠りが浅い(155人)」と続いた。
秋に向けて万全な体調で生活を送るために、夏の終わりに意識すべきポイントについて、医師の谷口英喜氏が解説する。
秋バテとは?
秋は朝晩の気温差や湿度・気圧の変化が大きくなる季節であり、この時期に起こる体調不良のひとつが"秋バテ"。「疲れが抜けない」「食欲がない」「寝てもスッキリしない」「気分も晴れない」といった症状が続く場合、秋バテのサインかもしれない。
そもそも「バテ」とは、心身がストレスにさらされたことでエネルギーが不足し、回復が追いつかない状態を指す。これは病名ではなく、はっきりした原因が見つからないまま不調が続く"未病"のひとつとも言える。
秋は特に、夏の間に消耗した体力が回復しきらないまま気温が下がり、自律神経のバランスが乱れやすくなる。これが、体温調節や内臓の働き、睡眠・ホルモン分泌などにも影響を及ぼし、疲労感や頭重感、気分の落ち込みなどの不調を引き起こす。また、秋口は消化機能が低下しやすく、食欲不振や栄養吸収の効率低下にもつながる。その結果、ビタミンやミネラル、たんぱく質が不足し、エネルギー代謝がうまく回らなくなることで、「疲れが取れない」状態が続いてしまう。加えて、現代の生活環境では空調や照明の影響で季節感が薄れ、体が本来持っている「季節に順応する力」が働きにくくなっているとも言われている。
秋バテ対策に取り入れたい重要な栄養素
秋バテ対策に取り入れたい栄養素と、それらを含む食材を紹介する。
アミノ酸の一種「タウリン」
アミノ酸の一種であるタウリンは、代謝を助け、自律神経のバランスを保つ働きがある。肝臓や心臓の機能をサポートする働きもあり、全身の"回復力"向上に寄与する。イカ、タコ、ホタテ、アサリ、サザエ、しじみ、カツオ、ブリなどの魚介類に豊富に含まれており、水溶性であるためお味噌汁やスープなどで取り入れることが勧められている。
血中の酸素運搬に重要な鉄分(特に動物性のヘム鉄)
鉄分は、全身に酸素を運ぶ赤血球の材料として不可欠。不足すると、倦怠感や立ちくらみ、冷え、集中力の低下、さらには気分の落ち込みにもつながる。夏の疲労を引きずっている秋は、特に鉄の消耗に要注意。鉄には動物性食品に含まれている「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があるが、体に吸収されやすく効率よく鉄分を補えるのはヘム鉄。レバー(鶏・豚)、赤身の牛肉、カツオ、マグロ、あさり、しじみ、卵黄などに豊富に含まれている。
脳と心を守るオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
オメガ3脂肪酸は、青魚に豊富に含まれる必須脂肪酸。細胞の炎症を抑え、血流を改善し、脳と神経の働きを助けることで、自律神経の乱れや気分の落ち込みを和らげる。サバ、イワシ、サンマ、アジ、マグロ、鮭、亜麻仁油、チアシード、エゴマ油などに含まれている。
38~40度のぬるめ入浴で自律神経の切り替えを
寝つきが悪い、眠りが浅いといった不調は、秋バテの代表的なサインのひとつ。就寝1~2時間前に体温より少し高い温度38~40度のぬるめのお湯に浸かることで、日中優位になっていた交感神経の緊張が緩み、副交感神経が穏やかに働き始める。自律神経の切り替えがスムーズになることで、心身が深い休息状態に入りやすくなる。入浴2時間後が、深部体温が適度に下がり、入眠がスムーズになるとも言われている。
軽い運動で"血流と自律神経"を活性化
長時間同じ姿勢が続くと筋肉のポンプ機能が低下し、全身の血流が滞る。特に、第2の心臓と言われているふくらはぎには、汚れた血液が貯まりやすくなる。これが慢性的な疲れや自律神経の乱れを引き起こし、"秋バテ"の原因になることも。1日10分程度の軽いウォーキングやストレッチを習慣化するだけでも、体と心の巡りは大きく変わるという。
起床後すぐに太陽光を浴びて、体内リズムを整える
秋は日照時間の減少により、体内時計が乱れやすくなる季節。朝起きたらすぐにカーテンを開けて光を取り入れることで、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、幸せホルモンであるセロトニンが分泌され、交感神経のスイッチが自然と入る。朝からしっかり活動モードに切り替えることで、秋特有のだるさや疲労感を軽減することができる。
オフィスバテ・エアコンバテへの対処
空調環境によって引き起こされる"オフィスバテ"や"エアコンバテ"のリスクもある。「エアコンの冷風を浴び続けている」「足元が冷える」「頭痛や肩こりが取れない」などの症状がある場合は、自律神経が過度に反応している可能性も。快適な空調環境のはずが、実は"慢性的な疲れ"の温床になっているかもしれない。強い冷房は自律神経の乱れを招き、だるさや不調の原因に。また、お腹や足元の冷えは、内臓の働きにも影響する。腹巻きやストールの活用など、体を冷やさない工夫が必要とされる。
スマホやPCから距離をとる
画面から絶えず情報を受け取っている状態が続くと、脳は緊張し続け、休息モードに切り替わりにくくなる。こうした"情報疲れ"は、眠りの質の低下や慢性的なだるさにも直結し、秋バテをおこす。1日30分でも意識的に画面から離れる時間を設けることが、秋バテの予防と回復に有効とされる。

