ZOZOTOWNの20周年を記念して、10月12日・13日にKアリーナ横浜で開催される「ZOZOFES」。ファッションサイトが大型音楽フェスを企画した意図は何なのか、そしてその見どころとは。株式会社ZOZOディレクターの中川氏とブロック長の西尾氏にお話を伺った。

  • ZOZOの中川氏と西尾氏に「ZOZOFES」の見どころとこだわりを聞いた

    ZOZOの中川氏と西尾氏に「ZOZOFES」の見どころとこだわりを聞いた

実は創業時から音楽と繋がりのあったZOZO

ZOZOが運営する「ZOZOTOWN」は、世代を問わず多くの方が利用している日本最大級のファッションECだ。そんなZOZOTOWNが20周年を記念し、これまでの感謝を込めたファッションと音楽のスペシャルイベント「ZOZOFES」を10月12日・13日に開催する。

  • 開催に向け新情報が続々と公開されている「ZOZOFES」のWebページ

    開催に向け新情報が続々と公開されている「ZOZOFES」のWebページ

ZOZOTOWNが音楽フェスを主催するというと少し不思議に感じるかもしれない。だが、ZOZO マーケティング本部 アライアンス部 ディレクターの中川龍氏は「ZOZOのルーツは音楽にある」と語る。

「当社の創業時の事業は、音楽だったんです。日本で売っていないようなパンクやハードコアなどのジャンルのCDやレコードをアメリカで買い付けてきて、カタログ販売をしていたんですよ。CDやレコードに代わり、アパレル商品を売り出したのがZOZOTOWNのはじまりです」(中川氏)

  • ZOZO マーケティング本部 アライアンス部 ディレクター 中川 龍 氏

    ZOZO マーケティング本部 アライアンス部 ディレクター 中川 龍 氏

実際、ZOZO社内には音楽好きも多いという。過去にはロックフェスの協賛したこともあるなど、創業時から音楽の繋がりを持ち続けているというバックグラウンドがある。

「そもそも音楽とファッションは、切っても切り離せない関係にあります。我々のターゲットとしているお客さまも当然音楽好きな方が多く、ファッションと音楽を組み合わせたイベントというアイデアは、20周年記念を最初に考え始めた2023年当初からありました」(中川氏)

手探りで進めてきた初めての大規模音楽フェス

最初から音楽イベントという方向性で進んできた「ZOZOFES」だが、「実際に興行としてやるのか」「どこで開催するのか」「どんなアーティストを呼ぶのか」など、その内容には紆余曲折があったという。

「我々の本社は千葉にあるので、当初は地元でやろうと考えていました。ただ、興行のキャパシティもあり、いろいろと変遷がありましたね。昨今は会場を確保すること自体が大変な状況で、運よく3連休のタイミングで『Kアリーナ横浜』を抑えられたのは幸運でした」(中川氏)

現在の形に固まったのは2024年の秋ごろ。ちょうど時を同じくして「ASEA 2025 Presented by ZOZOTOWN」(5月28日・29日に開催されたアジアのトップアーティストが出演した音楽アワード)などでエンターテインメントとの関係性も深まっており、「ZOZOFES」が音楽とファッションを繋げる必然性も明確になってきていた。

とはいえ、ZOZOTOWNにとっても大規模な音楽フェスの主催は初めての経験だ。音楽業界のスケジュールやルールについて知識のない状態で、手探りでイベントを作り上げていくのは非常に大変だったという。

「一番苦労したのは、時間軸がわからないことでしたね。例えば、“音楽コンサートをやる場合は、1年前から会場を押さえる”みたいな流れは、普段のファッションに関する業務の流れでは想像がつきません。しかも今回のイベントでは、洋服をつくるだけでなく音楽とリンクさせる必要があります。慣れない時間軸の中で複数の作業を同時進行しなければなりませんでした」(中川氏)

協力してくれる他者の助けを借りつつも、なんとか準備を進めていったZOZOTOWN。1年以上前から準備を始めたものの、時間はいつも足りず、途中からどんどん締め切りが迫ってくるという状態が続いたそうだ。中川氏は「何をいつまでに用意するのかという順番もわからないままやっていたので、つねに時間との戦いでした」と、この一年を振り返る。

  • ZOZOFESを開催するまでのこの一年間を「時間との戦い」と語る中川氏

    ZOZOFESを開催するまでのこの一年間を「時間との戦い」と語る中川氏

ここに注目!「ZOZOFES」の見どころ

さまざまな取り組みを展開する「ZOZOFES」だが、なんといっても注目は、Tokyo Coffee Breakが手掛けた LE SSERAFIM with YOASOBI「the NOISE (Contains a Samples of 夜に駆ける)」だろう。

「ZOZOTOWNの20年間の感謝を伝えるために特別に作っていただいた楽曲で、それを人気アーティスト同士が歌うという、我々の業界ではなかなか見られない取り組みとなっています」とブロック⻑の⻄尾氏は話す。

またイベントと並行して、アーティストとともにつくったオリジナルアイテムも用意されているそうだ。

  • ブロック長の西尾さん

    ブロック長の西尾さん

またイベントと並行して、アーティストとともにつくったオリジナルアイテムも用意されているそうだ。

「出演アーティストのLE SSERAFIMさんと超特急さんと一緒に、Y2Kをテーマにしたアイテムをつくりました。アーティストのみなさんのいつものアイテムとは異なるテイストを取り入れていますので、ファンの方にも楽しんでいただけると思います。また、YOASOBIさんに関しては、『doublet』さんとのコラボアイテムを当日会場で販売しますので、そちらも楽しみにしていただきたいです。公式グッズもY2Kというテーマに沿っていますので、ぜひみなさんにはそれを着用して楽しんでいただきたいと思います」(西尾氏)

なお、「ZOZOFES」の会場となるKアリーナ横浜では、屋内だけでなく、屋外にもさまざまなブースが出展予定。飲食ブースやオリジナルアイテムの販売はもちろん、コスメブランドやファッションブランドの展示など、ミュージックライブ以外の楽しみも数多い。イベント自体は夕方からスタートされるが、会場周辺のブースは昼ごろからオープンするので、ぜひ早めに足を運び、フェスの雰囲気ごと楽しんで欲しいとのこと。

  • 「ZOZOFES」に合わせてつくったさまざまなアイテムを紹介してくれるお二人

    「ZOZOFES」に合わせてつくったさまざまなアイテムを紹介してくれるお二人

ZOZOFESを通じて伝えたい思い、ファッションへのこだわり

音楽ファン、アーティストのファンでなくとも注目の「ZOZOFES」だが、ZOZOTOWNはイベントを通じてどんなライフスタイルを提案したいのだろうか。

「ファッションの入口はいくつもあると思います。『このパンツが流行っているから欲しい』のように直接ファッションを目的としている方のほかに、エンターテインメントやアーティストを入口にして、その先にあるファッションに興味を持つ方もいらっしゃるんですよ。それは音楽だけでなく、スポーツだったりアニメだったりすることもあるでしょう。ZOZOTOWNはファッションやコスメなど様々なアイテムを扱うのサイトなので、お好きなゾーンから入ってこられるよう、いろいろなきっかけを作りたいと思っています」(中川氏)

ZOZOTOWNでは、アーティストとのコラボする際にも、普段着として着回しが利くアイテムづくりを心がけているという。あくまでもファッションアイテムとしての一線は守りながら、ファンにも刺さるような商品を作ることを原則としているそうだ。

「グッズというよりはファッションアイテムとして見ていただいて、例えば『LE SSERAFIMが好きだから買ったけど、これは日常でも着られる』という形を理想としています。ライブ会場で売られているコンサートグッズは、イベント時に着ることが前提のものが多いですが、我々はファッションの会社ですから、アイテム一つひとつにこだわりたいと思います」(中川氏)

ZOZOTOWN20周年に込めた思いと「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という理念を、出演アーティスト、ファッションアイテム、オリジナル楽曲という三つの要素で伝えるという「ZOZOFES」は、これから10年のZOZOTOWNを象徴するイベントにもなりそうだ。

「今回の『ZOZOFES』は、我々にとっても初めての試みが多いイベントです。本格的にイベントに楽曲を絡めるのも初めてですし、アーティストさんとコラボして楽曲を作るのも初めて。我々ZOZOサイドもアーティストサイドも新しい取り組みを行っているので、ぜひ来場してその目で観ていただきたいと思います。そして楽曲を広く聴いていただき、それをきっかけにZOZOTOWNに興味を持っていただけたら嬉しいですね」(中川氏)