金融庁の調査結果によると、20代ですでに投資をしている人と、まだ貯蓄がない人の二極化が進んでいます。金融資産がない状況が続くと、年齢を重ねた時に大きなリスクです。この記事では20代の投資割合・投資額などのデータを読み解き、初心者でも実践できる資産形成のポイントを解説します。
20代の投資割合・投資額はどのくらい?
金融庁が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」から、20代のデータをいくつか見てみましょう。
2人以上世帯の場合と、単身世帯の場合で分けながら紹介します。
金融資産を保有している割合や預貯金の金額は?
20代で金融資産を保有している人の割合は、2人以上世帯の場合は77.2%、単身世帯では63%です。2人以上世帯のほうが割合は大きくなっています。
資産を保有している人での預貯金残高に関しては、2人以上世帯の平均値は508万円、中央値は185万円です。一方、単身世帯の場合は平均値が260万円、中央値は100万円となっています。
株式や投資信託へ回している金額は?
2人以上世帯の場合、株式は79万円、投資信託は94万円です。単身世帯では株式は24万円、投資信託は31万円となっています。
データから読み取れる傾向とは
調査結果のデータから、20代の貯蓄や資産形成に関して見えてくる傾向を解説します。
20代ですでに二極化が進行している
2人以上世帯・単身世帯ともに、預貯金額の平均値と中央値に大きな開きがあります。平均値は高いほうに引っ張られる傾向があるため、貯金ができている人はかなり多くの金額である一方、できてない人もかなり多いということです。
このような二極化の現象はこれまで40代以降で目立っていましたが、最近では20代でも二極化が進んでいることが分かります。
投資している金額はかなり少ない
株式や投資信託への投資額は100万円以下と、他の世代よりかなり少なくなっています。別の調査結果ですが、SMBCグループの「20代の金銭感覚についての意識調査 2025」によると、現在投資をしている20代の方は26.8%と少数派です。
20代は預貯金を優先する人が多い、若いため投資の知識・経験が少ないことなどが原因と考えられます。
しかし、最近はやや上がってきたとはいえ、銀行の預金金利は年1%以下と低い水準で、資産を成長させるには不十分です。この先のライフステージも見据えて大きく資産形成をするには、投資も欠かせません。
若年層が今後資産形成を考えるうえでのポイント
20代のうちから、資産形成を進めるなら、無理のない金額で「つみたて投資」から始めるのが重要です。毎月数百円・数千円で、貯金感覚で投資ができるサービスが数多くあるため、「これならできる」と思える方も多いでしょう。
いきなり多くの資産形成を狙うのではなく、地道に続けていくことが大切です。20代の方の最大の強みは「時間がたっぷりあること」であり、長く運用できるメリットを活かして、長期の資産形成に取り組みましょう。
20代から身に付けたい投資の基礎知識
若年層の方が押さえておきたい、投資の基本的な知識を紹介します。
NISAやiDeCoなど初心者が始めやすい制度を利用する
資産形成を初めて行うなら、NISAやiDeCoの利用がおすすめです。投資で得られた利益に税金がかからないため、より効率的な資産形成が可能です。
どちらもメリットが大きいですが、20代の方はこれから途中でお金を引き出す場面もあると思われますので、資金を自由に引き出せるNISAから始めるとよいでしょう。
積立・分散・長期の三原則を理解する
NISAの「つみたて投資枠」やiDeCoは、「積立・分散・長期」の三原則を基に投資をする仕組みです。投資の初心者の方は、まずこの原則をしっかり理解しましょう。
毎月少しずつ、複数の商品に分散して、長期的に継続して投資をすることです。これにより、投資の価格変動のリスクをある程度抑えられます。
無理のない金額で始める
20代の方は、まだ貯金も十分でない方が多いと思われます。投資に回す金額は、最初は小さくしておくのがおすすめで、手取り月収の5%以下に設定しましょう。
NISAは月100円から、iDeCoも月5,000円からと、少額で投資を始められます。
20代からでも簡単に投資は始められる
NISAなどの制度を使えば、月に数百円・数千円で投資が可能です。少ない資金でも投資ができるため、20代の方でも貯蓄と並行で進められます。
若い頃から資産形成を進めれば、結婚や出産、子どもの進学など、ライフステージの変化における資金を用意できて安心です。まずは月に100円から、NISAでつみたて投資を始めてみてはいかがでしょうか。


