東急電鉄は、目黒線と東急新横浜線を中心に活躍する3000系のリニューアル車両お披露目式を9月29日に開催した。3000系のリニューアル車両は10月2日から運行開始予定。「2020系シリーズ」(2020系、3020系、6020系)に近いデザインで、外観に目黒線のラインカラーである水色を配し、グラデーションも取り入れた。車内も「2020系シリーズ」に準じた空間に一新した。
3000系は「すべてにやさしく美しい車両」をコンセプトとして、1999年に導入された車両。吊り手の一部と荷棚を低く設計し、車内外の気温を検知して最適な温度に制御する冷房を東急で初めて採用した。目黒線の目黒駅から東京メトロ南北線および都営三田線へ直通し、東急新横浜線の新横浜駅から相鉄線に乗り入れている。登場からすでに20年以上が経過しており、内外装をリニューアルすることとなった。
リニューアルの1編成目は「3812」~「3112」の8両編成。「2020系シリーズ」と同様の「INCUBATION WHITE」(インキュベーションホワイト。新しい時代へ孵化する色)を基調としたカラーリングで、目黒線のラインカラーである水色を前面下部から側面上部へ上がっていくようにデザイン。水色と白・黒の境目にグラデーションも。前面は黒色をベースとしつつ、車両が微笑んでいるようなイメージとし、やわらかく、親しみやすい雰囲気を持たせた。
このエクステリアデザインは社内公募(3000系41件・5000系45件)から選定した上で、「2020系シリーズ」のデザインを担当した青丹社の監修により決定したという。車体にはラッピング、スカートには塗装を施した。
内装も「2020系シリーズ」に準じたデザインで、壁・床・座席を更新。座席は緑色の濃淡のモケットを使用し、床は木目調、壁面も「2020系シリーズ」と同様のデザインに変更している。リニューアル前と比べて、東急線沿線をイメージした落ち着きのある色合いとなり、親しみやすさと心地良さを感じられるデザインに。加えて、冷房の風道が火災対策適合品(対溶融滴下性)に更新されている。
フリースペース・車いすスペースは増設され、全車両に1カ所ずつ(2号車のみ2カ所)設置された。既存のフリースペースのうち、先頭車両のフリースペースは窓を固定化したが、異常時には開閉可能だという。2・7号車は既存の車いすスペースで、手すりを2段に増設。他のフリースペースも手すりが2段になり、新設のフリースペースに新しい吊り手も設置された。先頭車両以外のフリースペースに壁ヒーターも設置されている。
ちなみに、フリースペースと車いすスペースに関して、設備としては同じだという。他社線との乗入れの関係で、車いすスペースの位置が指定されていることから、2・7号車を車いすスペースとして案内しているとのことだった。
なお、4・5号車として増結された新造車両は、運行開始時からこの内装になっているため、外観のみリニューアルされた。その影響で、吊り手や窓形状、袖仕切りなどが他の号車と異なっている。もっとも、リニューアル工事によって既存車両も「2020系シリーズ」に準じた内装となったため、車内の統一感はリニューアル前より高まった。
9月29日に行われた3000系リニューアル車両の報道公開では、車両のお披露目となる除幕セレモニーや、デザインが選ばれた社員の表彰なども行われた。冒頭、東急電鉄の取締役専務執行役員で鉄道事業本部長を務める伊藤篤志氏が、「調和、多様性、新しさ、美しさを表現する新たなデザインを通して、お客様の移動価値の向上へ寄与できれば」と挨拶。伊藤氏ら6名によって3000系リニューアル車両の除幕が行われた。
エクステリアデザインの社内公募では、長津田駅に務める嵯峨野正人氏(鉄道事業本部 運輸部)のデザインが採用された。鉄道事業本部の門田吉人氏(車両部統括部長)から表彰状と記念品が授与された後、「まだ1本目なので物珍しさが勝るとは思いますが、より早くお客様にご乗車いただき、沿線の景色に溶け込むような車両になってくれれば」と嵯峨野氏は語った。
門田氏は、25年前に自身が3000系をデザインしたと紹介した上で、「四半世紀の歳月を経て新車のように生まれ変わり、(3000系が)お客様の日常に寄り添い、より豊かな時間をお届けできるものと期待しております」と述べた。
車両の概要説明は車両部車両設計課の及川晶央氏が行い、報道関係者からの質疑応答では門田氏と嵯峨野氏も加わった。新デザインを社内公募にした理由について、コロナ禍明けの時期でもあったため、「皆で盛り上げよう」というねらいで実施したという。3000系・5000系合わせて86件の応募数は、門田氏にとっても想定以上だったとのこと。
応募に至った理由についても質問があり、「周りがやっていたから自分もやってみようと思った」と嵯峨野氏。スマホアプリでデザインを作成し、「やり始めたら楽しくなった」と話した。白色に水色が溶け込んでいくグラデーションを意識しており、「電車といえば3000系」と思ってもらえるデザインをめざしたとのことだった。なお、このリニューアルでは、機器類は更新されない。インテリアは「2020系シリーズ」に準じたデザインで改修を行うため、社内公募はエクステリアのみ実施された。
東急電鉄は今回の3000系に加え、東横線の5050系(8両編成)、田園都市線の5000系をリニューアルの対象としている。5050系リニューアル車両は2025年冬頃、5000系リニューアル車両は2026年春頃から運行開始する予定。3000系もあと12編成をリニューアルする予定であり、門田氏によれば5年ほどかけて行っていくとのことだった。



















