女優の高石あかり(高ははしごだか)が主演を務める連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)が29日にスタート。初回の冒頭で、主人公トキと夫ヘブンの夫婦シーンが描かれたが、同シーンに込めた思いや裏話を制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサーとチーフ演出の村橋直樹氏に聞いた。

  • 連続テレビ小説『ばけばけ』第1回の場面写真

    連続テレビ小説『ばけばけ』第1回の場面写真

113作目の朝ドラとなる『ばけばけ』は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く物語。小泉セツがモデルのヒロイン・松野トキを高石あかり、小泉八雲がモデルの夫レフカダ・ヘブンをトミー・バストウが演じ、脚本はふじきみつ彦氏が手掛ける。

初回冒頭でトキ&ヘブンの“新鮮な夫婦関係”が伝わるように

初回は、トキの少女時代を描く前に、結婚して約10年経ったトキとヘブン夫婦が登場。トキがヘブンに怪談を聞かせるシーンが描かれた。夫婦の仲睦まじいトークも繰り広げられ、その中で、ヘブンがトキのおでこにキスする場面も。台本では「ヘブンがトキに口づけしようとして、結局、手の甲に口づけする」となっていたが、現場の判断でおでこに変わったという。

村橋氏は「手だと、(唇にいくように見えず)手にいっているように見えてしまう。ちゃんと顔と顔が近づいているように見えて、唇にいくのかしらと見えるのは、おでこかなということでおでこにしました。ほっぺただと生々しいですし」と説明。キスをされて赤面するトキの表情がかわいらしいが、「高石さんが本気で照れていますよね。手の甲だったらああいう芝居にならないというのもあって」と、おでこへのキスだからこそ生まれた表情だと語る。

また、このシーンでトキとヘブンがどんな夫婦なのか伝えたいという思いもあったと村橋氏は明かす。

「あのシーンはもう長年連れ添った夫婦で、トキちゃんも30代後半に差し掛かっていて、結婚して10年近い時間が経っているんですけど、この2人ってそんな時間が経っていても、ずっとこういう感じだったんだなって見えたかったんです。ずっと初々しいというわけではないですが、ある種、新鮮な夫婦関係が続いていったんだなと伝わるほうがいいと。キスされて、いつもしてますもんねという感じはよくないと思い、そういうところも狙ってああいう形にしています」

橋爪氏は、『ばけばけ』はラブストーリーであるという宣言の意味も込められていると語る。

「『ばけばけ』は大きく見るとラブストーリーだと思うんです。この2人のラブストーリーがずっと続いていきますという宣言として、頭でラブストーリー的なものを示せたと思います」

「怪談が2人の愛の言葉に聞こえるとうれしいな」という思いも

また、「怪談がたくさん出てきますが、怪談がただただ怖い話とか面白い話というだけではなく、2人の愛の言葉に聞こえるとうれしいなと思い、怪談とラブストーリーを最初に示して、進んでいくというようにしました」とも話した。

冒頭でセツが語った怪談は、小泉八雲の代表作である「耳なし芳一」。橋爪氏は「怪談が愛の言葉として通じたらいいなと思っていたので、どんな怪談だって通じたと思いますが、一番最初に聞きたいものって何だろうと思ったときに、小泉八雲さんの一番知られている話『耳なし芳一』にしました」と選んだ理由を説明した。

小泉八雲&セツ夫妻の描くにあたっては、セツの著書『思い出の記』をバイブルのように参考にしているそうで、橋爪氏は「役者さんには『思い出の記』を渡して読んでもらっています。私たちが描きたいドラマの空気感はこういうことですとお伝えしていますし、主題歌のハンバート ハンバートさんにもお渡しし、『思い出の記』の雰囲気を歌にしますと言っていただきました」と明かす。

村橋氏も「この本を読むと、小泉八雲夫婦はこういう距離感だったんだなということがわかるんです。べったりもせず、かといって愛情がにじみ出る文章で。それをベースに僕らは2人の関係を作ろうとしていて、そういうのがうまく出たファーストシーンだったと思います」と語っていた。

(C)NHK