私たちの身近にひっそりと存在する昆虫たち。その小さな体の中には、驚くべき能力や独特の生態が秘められています。彼らの世界を覗いてみると、思わず目を見張るような不思議な現象や、驚きの行動が待っています。さあ、昆虫たちの魅力に迫る冒険に出かけてみませんか?

夏こそ満たしたい“大人の知識欲”シリーズ。今回は『知ってる虫のひみつがすべてわかる! すごすぎる身近な昆虫の図鑑』(KADOKAWA)より虫のニオイの話をお届けします。

■知ってた? じつはいいニオイのカメムシがいる

  • 写真提供:平井文彦

カメムシ=臭い、と嫌われがちですが、中には〝いいニオイ〟のカメムシがいます。キバラヘリカメムシ、オオクモヘリカメムシという種のカメムシは青リンゴに似た甘いニオイを出します

一般的なカメムシのニオイは、おもにアルデヒド類などの化学物質の混合物ですが、オオクモヘリカメムシのニオイがどんな成分なのか探索したところ論文が存在しませんでした。そこで、友人の協力で分析計測器で分析した結果、青リンゴと同じニオイ成分が検出されたのです。

  • 写真提供:法師人響

カメムシがニオイ物質を放出するのは、脚の付け根にある穴(臭腺開口部)からです。でも、ずっとニオイを出し続けるわけではありません。ニオイを出す理由は、鳥などの外敵から攻撃された際に食べられないように防衛するためなのです。そう考えると敵かもしれない人間に嫌われることは、カメムシの作戦としては大成功。でも、なぜ人間にとって〝いいニオイ〟と感じさせる種が存在するのかは謎です。

<カメムシ豆知識>

カメムシは種数が多く、色や形、大きさ、模様はさまざま。おもしろいのは地域によって呼び方が変わること。ヘッピリムシ、ヘクサムシなどと呼ばれることもあります。

知ってる虫のひみつがすべてわかる! すごすぎる身近な昆虫の図鑑(KADOKAWA)

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著者:平井文彦、監修:丸山宗利、イラスト:しらかわあすか・貴木まいこ・トガシユウスケ