3番目に注目されたシーンは20時03分で、注目度71.2%。失策続きの田沼意次が再び徳川治貞(高橋英樹)に激しく追及されるシーンだ。
「米穀売買勝手次第」の交付によって、米価の安定を図ろうとした田沼父子の目論見は、あえなく瓦解した。豊富な資金力を持つ商人たちが米を買い占め、市場に出回る米は減少。米価は下がらず庶民の暮らしをさらに圧迫し、市中は田沼父子への怨嗟であふれている。
「お触れはまったく効き目なし。米の値は今日も100文5合。加えて諸国からの流民。その者らを引き取るお救小屋もあふれ返っておると聞く。そなた、この責めをどう負うつもりじゃ」江戸城では、そのような状況を招いた意次を治貞が厳しく叱責する。「しばし…しばし」怒りをあらわにする治貞にさしもの意次もただ頭を下げるほかない。「しばし…」切れ者の意次であるが、この問題を解決するための糸口はいまだ見つかっていなかった。
米高騰が現代の問題とリンク「他人事とは思えない」
ここは、米の高騰などの現代の問題とリンクする内容に視聴者の関心が集まったと考えられる。また、高橋英樹の貫禄にも視聴者の視線が集まったと考えられる。
田沼父子にとって起死回生の策となるはずだった米穀売買勝手次第はまったく効果がなかった。豪商が金にものをいわせて米を買いあさり、市中から米が消えるという最悪な事態に陥る。
SNSでは「米の高騰に移民問題…現代で抱える問題ばかりじゃないか。他人事とは思えないな」「江戸にも米の転売ヤーがいたのか。今と変わらないな」「米騒動における庶民の政府批判は現在よりも旺盛に見えるな」と、現在にも通じる問題の描写に視聴者のコメントが集まった。
米穀売買勝手次第は、幕府が米の売買に関して従来の規制を緩め、誰でも自由に米を売買してよいとするお触れ。米の価格高騰により庶民の生活が困窮したため、意次は流通の停滞の打破を狙った。商人や農民が自由に米を売買できるようにすることで米の供給を増やし価格を安定させるはずだったが、商人たちが米を大量に買い占め、市場に出回る米は減少し、結果として米価は高騰し続け、庶民の生活はますます困窮するという悪循環にはまった。
また、浅間山の噴火や冷夏により農村が崩壊し、土地を離れて都市や街道に流れ込む人々が増加したが、これが流民と呼ばれる人々。幕府は救済策を行う一方で、治安の悪化を懸念して取り締まりも強化せざるを得なかった。
そういった流民を保護する役割を担ったのがお救小屋。飢饉や災害などで生活に困窮した人々を一時的に保護・救済するために設けられた仮設施設であり、現在でいう避難所や仮設住宅にあたる施設だった。単なる避難所ではなく、都市の治安や社会秩序を維持するための重要な役割も担っており、江戸市中では町奉行所が管理していた。炊き出しや一時的な宿泊場所、元手銭の支給による自立支援、職の斡旋や生活指導も行ったようだ。前回に引き続き激おこの治貞だったが、作中で笑顔を見せる日はやってくるのだろうか。