一方で、日本語にも文化にもなじめない日々が続く母・マーヤさん。「なかなか思いや本音を聞き出すというのが難しかったです」(草なぎD)、「通訳の方に間に入ってもらってのインタビューでは、どうしてもマーヤさんも硬くなってしまいます。関係性を築くのが難しかったですね」(井本)と苦戦を強いられたが、「仕草や表情から、マーヤさんの本音をくみ取るように取材を続けました」(蔵本P)と、寄り添ってカメラを回した。
これまでのシリーズで、危険なウクライナに戻りたい意向を何度も示し、実際に一時帰国もしたマーヤさん。SNSでは、その思いに共感できない投稿も目立ったが、草なぎDは「もし自分が母国を離れて3年も子どもに教育を受けさせていたら…と想像すると、彼女の焦りや葛藤も理解できる気がしました」という。
マーヤさんが子どもたちに、ウクライナの歌のレッスンを必ずリモートで受けさせていた姿に、「“子どもたちに故郷を忘れさせない、いつか必ずウクライナに帰るんだ”という強い意志を感じました」という井本D。また、「日本に避難させることができなかった、マーヤさんの兄で障害のあるジェニャさん(60)や、彼の面倒を見ている義母のサーシャさん(81)への申し訳ないという気持ちも強く感じました」と受け止める。
今回の放送では、ジェニャさんが失踪してしまう場面も。「ジェニャさんが“自分が家出をすれば、マ-ヤが帰ってくると思った”と話していたというのを聞いて、マーヤさんの帰りを待つジェニャさんもつらい思いをしているというのが強く響きました」と心を痛めた。
回答に窮した和真さんからの質問
シリーズ最新作となる「たどりついた家族4」では、ジェニャさんの件に加え、生活の支えであった財団からのウクライナ避難民への支援金が、3年を機に打ち切られることになり、帰国を模索するマーヤさんに対し、アナスタシアさんと和真さんが必死に引き止めようとする。繰り返される家族会議の中で、それぞれの思いがすれ違う姿に、井本Dは「取材していても心が苦しくなりました」と打ち明ける。
特につらかったというのは、それまで和真さんとマーヤさんの間で通訳に徹し、自分の思いを表に出してこなかったアナスタシアさんが、家族会議で感情を爆発させた場面。「以前、彼女は“マーヤだけが帰国して、子どもたちを夫婦2人だけで育てるのはとても大変なので難しいと思う”と話していました。その覚悟を持った上で、母を説得する姿に胸を打たれました」(井本D)
マトヴェイくんと同じくらいの子どもがいる草なぎDは、和真さんに「命の危険があっても、子どもをウクライナで育てたいというマーヤの気持ち…私は子どもがいないから、マーヤの真意は分からないけど、草なぎさんは分かりますか?」と聞かれたことがあったのだそう。
これに対し、「うまく答えることができませんでした。和真さんが、レギナちゃんとマトヴェイくんを本当に自分の子どものように大切にしていたことを知っていたので、和真さんの立場に立つと、帰国は危険だと思いながら取材していましたが、父親としての視点で問われると、マーヤさんの気持ちも理解できる部分があり、本当に難しい選択だと思いました」と痛感する。
蔵本Pは「ぶつかり合う大人たち。その一方で、幼いレギナちゃんとマトヴェイくんは、お母さんの思いに引っ張られるのは当然。仲の良い家族が戦争によって引き裂かれていきました。誰が正しいかということでないと思うんです。家族にもそれぞれの価値観がある。ただ、その違いを簡単には受け入れられない状況に追い込まれてしまった。命に関わる問題ですから」と、戦地から遠く離れた日本における悲劇を実感した。
