ドラマ『恋愛禁止』 (読売テレビ・日本テレビ系 毎週木曜23:59〜)で主演を務める、伊原六花の演技が素晴らしい。自ら望まない罪を犯し、追い詰められていく主人公・木村瑞帆の感情の機微を見事に表現している。なぜ、あのリアリティが生まれるのか。伊原本人に、撮影の裏側を教えてもらった。
主人公・瑞帆の見せ方で意識していたこと
――隆(※)、ちょっと怖すぎます。
本当に!
※瑞帆の元恋人・倉島隆
――ドラマのキャッチフレーズで、「“恋愛ホラー”サスペンス」と書いてあったので、オカルト的な怖さかと思っていたんです。
はい。
――そしたらもう、人間が怖くて!
そうなんです! 小久保(寿人)さんのお芝居が素晴らしくて。
――隆は最初、すごくいい先生だったので、そのまま良識のある大人でいてほしいと思っていたら、生徒の瑞帆にキスして、ああ……と。そして、このシーンもですが、瑞帆を演じる伊原さんの表情の表現がすごい。いろんな感情が見えるから、物語に没頭できました。
うれしいです。
――些細なやり取り一つひとつのリアクションもすごく自然といいますか。瑞帆が普通だから、DVやストーカー行為を働く隆の異常性が際立って見えたのかなと思って。瑞帆の見せ方で意識していたことはありますか?
まず台本を読んだときに、経験したことのないことばかりで、(自分のなかに)あまりにも引き出しがないなと思いました。映画やドラマでそういうシーンを見たことはありますが、なんて言うんでしょう……あまりにも程遠い出来事ではないじゃないですか。事実、事件としてある。
――報道で目にします。
絶対にダメなんですけど、(瑞帆が隆を)殺さざるを得なかったっていうふうに見える。少しでも、瑞帆の行動に、あの状況だったら仕方なかったかもしれないという説得力みたいなのを出せるようにしたいとは思っていました。小久保さんとは2度目の共演なのですが、本当に大信頼していて。隆役が小久保さんだとお聞きしたときから、瑞帆が巻き込まれ型なので、自分でこうしていこう、ああしてやってみようと考えるよりは、現場に行ったら(小久保さん演じる隆は)ちゃんと怖いだろうし、準備はし過ぎずに現場に行こうと。
あとは、周りのちょっと異常とも取れる濃い人たちに振り回される瑞帆でないと、「自分はこう」という意見が強い子だったら、そちらに流されないだろうなとも思いました。なので、周りの濃い人たちにしっかり巻き込まれていくべきだなと、撮影に入る前から思ってましたね。
台本の「・・・」が生んだリアリティ
――隆がナイフを取り出して、「殺せよ」と瑞帆に迫るシーンは息を呑みました。
隆が話しているとき、台本には、瑞帆「・・・」としか書かれていなくて、どうとでもできると言いますか。以前にも一度、脚本の遠山(絵梨香)さんとはご一緒したことがあるんですけど、余白をくださる台本が多いんです。モノローグは、「眉をひそめる」というようなト書きもなくて。基本的に「・・・」だから好きにやらせていただける。そこに楽しさとプレッシャーもあるんですけど。だからこそ、小久保さんのお芝居をただただ受けるだけで、本当に怖かったんですよね。
――伊原さん演じる瑞帆の感情に委ねられていたから、あのリアリティが生まれていたわけですね。ただ、受けのお芝居は難しいとよく聞きます。
逆に私は、自分発信の芝居が結構難しくて。例えば今回で言うと、石井(正則)さんやオフィスのメンバーは、何かアクションを起こすにしても、(攻めの芝居で)動いてくださる。どちらかと言うと、瑞帆も受けですし、私も受けの芝居が楽しいと思うタイプなので、役として自分にあっていたのかもしれません。
――個人的に、石井さん演じる会社の上司も怪しいなと思っていて。瑞帆に近づいてくるときのカメラワークも意味深でしたし……。
そうですね。
――石井さんは事前のコメントで、「初めて台本を読んだとき、もう何を信じていいのか? わからなくなりました」「でも、これだけは信じてください。私はなにもやってません。本当です。信じてください」とおっしゃっていて、ますます怪しく見えてきて……(笑)。
あはは(笑)。



