「未来ちゃんってどんな子なんですか?」と聞くと、川島氏は「あのままですよ」と教えてくれたという。それを思い返して、上戸は「あのままが難しいじゃないですか」と改めて目を丸くする。けれど、撮影を終えた今は納得感がある。柔らかくて、優しくて、マイペース。川島小鳥という写真家だから撮れた写真。

「(肌を見せた)このカットも、撮り方によってはどうしてもセクシー寄りになっちゃうところなんですが、小鳥さんが撮ってくれるから、自分もできたことかもしれないですね。すっぴんで朝イチで撮ったんですよ。起きて、時間が経ってから、すっぴん風なメイクをして撮ってもいいじゃないですか。でも、メイクする前の朝イチの写真が、普通に自分の部屋で撮られてるっていう(笑)」

「私的には、もうちょっと顔がシュッとした時間帯で撮影して欲しかったんですけど(笑)」と冗談っぽく口を尖らせるが、その表情はとても満足そうだ。

15年間で変わらないもの

15年が経ち、結婚、出産とプライベートにも大きな変化があった。この期間がどんな時間だったか尋ねると、「そうですね」とひと呼吸おき、こう続けた。

「結婚して出産したら、育児が落ち着くまで仕事はなくなるんだろうなと思ってたんです。育児優先でと公言させてもらっていて、時間が制限される私よりも、もっと選ばれる役者さんはたくさんいるはずですし。だから、育児をしながらでも自分の居場所を用意してもらえていることは、もうただただ感謝しかないですね」

自身を取り巻く環境が変わっていくなかで、変わらないものも見つけた。

「第一に家族という考え方が軸にあって、仕事をさせてもらってる。その考え方はブレていない気がします。たぶん、ちょっとでも仕事のほうに自分の気持ちが寄っていくことがあったら、どんな生活スタイルで、何を大事にして、どういう時間を過ごしたらいいかが分からなくなっちゃう。今は子どもが成長してこういう状況だから、こんな仕事ができるかもって。そこは本当に、マネージャーさんとも相談して、マメにやってますね」

これから15年経つと、長女と長男は成人していて、末っ子も高校を卒業するくらいの年齢になる。

「(子どもと)一緒にお酒が飲める! うれしいですね。仕事に使える時間も増えてるだろうし、今とは全く違う生活になってると思いますね。15年後がどうなってるかは想像がつかないんですけど、また15年先も自分の居場所を用意してもらえてたら、最高に幸せな人生だなって思います。……が、あんまり高望みしても落ち込んじゃうから、もうその日が幸せであればいいです(笑)」

上戸彩という役者は、これまで積み上げてきた実力や知名度はさることながら、その人柄もとても魅力的だ。居場所を用意してもらっている。そう謙虚に言うが、限られた時間や条件の中でも、上戸彩と一緒に仕事をしたいと思う人がたくさんいるから、仕事が絶えないのではないだろうか。

撮影:川島小鳥

■プロフィール
上戸彩
1985年9月14日生まれ、東京都出身。1997年に「第7回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞し芸能活動を始め、2000年にテレビドラマ『涙をふいて』で女優デビュー。2003年には主演映画『あずみ』で第13回日本映画批評家大賞 新人賞、第27回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を受賞。以来さまざまな作品に出演し、近年の主な出演作にドラマ『半沢直樹』シリーズ(13、20)、ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(14)、『アイムホーム』(15)、『となりのチカラ』(22)、映画『昼顔』(17)、『シャイロックの子供たち』(23)、『沈黙の艦隊』(23)など。2025年9月26日公開予定の映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』に出演する。