石田さんは「変わった」と言われることに対し、複雑な思いを抱えていそうな様子も見受けられるが、あのは“変化”についてこう話す。
「例えば自分の環境を変えるとか、ずっとやっていたものを止めるとか、そういったことにぼくは躊躇(ちゅうちょ)がないし、怖いとも思わない。変わるというよりは、種類が増えるという感覚。変わるというより、もう一個の自分を見せるというだけ。だから、石田さんも、見ようによっては“変わった”と言われるかもしれないけれど、もともとそういうものを持っていたのかもしれない。それこそ、環境の変化で、新しい自分が出てきただけなんじゃないかな」
さらに、「環境や場所が変わったとしても、自分は自分。そこは変わらない、揺るがないから、怖くないと思う」と続けて、あのの持つ強さをのぞかせる。
そして、「なんか実際に関わっていない人たちでも、見えてくるものがあるし、石田さんの人柄だったり、出てくる人たちもめちゃくちゃ個性的で興味を持ったし、前回より今回のほうが、なんかぼくは好きでしたね」と語った。
自分が自分のことを好きになれる仕事
あの自身、今回の収録にあたり、前回とは変化を意識して挑んでいた。
「少し変えたいなと思ってやりました。声のトーンとか。今回はパブリックなイメージのところと、そうじゃないところを合わせてやろうと思いました」と振り返る。
聴いてすぐにあのだと分かる声が、あのの魅力のひとつだ。前回のナレーションしかり、パーソナリティを務めるラジオも人気、ボイスキャストで主演を務めた『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』も高い評価を得た。「声の仕事は好きなのでは?」と尋ねると、「好きです」と即答。そして思いを口にした。
「世間から“声が変だね”とか否定されることも結構あって。声のお仕事は、そういう自分の声を肯定できる場だと思っている。すごく救われる気持ちでやれるし、自分が自分のことを好きになれる、前向きな気持ちになれるから好きですし、今回も楽しかったです」
後編では、あのが「社会的なところも垣間見えて、ただの泊まりじゃないかも」「この映像を見てよかったなってすごく思った」と感想を漏らした、台湾編が描かれる。
●あの
2020年9月から「ano」名義でソロ音楽活動を開始。22年4月、TOY’S FACTORYからメジャーデビュー。同年10月、TVアニメ『チェンソーマン』エンディングテーマに「ちゅ、多様性。」が抜てきされた。23年末には『NHK紅白歌合戦』にも出場。24年3月、映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』で主演声優と主題歌を担当。映画『【推しの子】-The Final Act-』にもMEMちょ役で出演。音楽活動だけに留まらずタレント、女優、声優、モデルと多岐にわたり活動する。25年9月には自身初の武道館公演を開催予定。