2番目に注目されたのは20時23分で、注目度77.0%。蔦重一派が昼夜を問わずブレインストーミングを行うシーンだ。

鱗形屋の没落によって鶴屋に移籍した恋川春町は、鶴屋喜右衛門(風間俊介)とそりがあわず悩んでいた。紆余曲折の末、春町を耕書堂に移すため、蔦重と鱗形屋孫兵衛は、春町が書きたくなるような案思をともに考えることになる。蔦重は朋誠堂喜三二(尾美としのり)をはじめ、きく(かたせ梨乃さん)やりつ、志水燕十(加藤虎ノ介)など多くの仲間たちと思案を重ねるが、青本が世にあふれているこのご時世に、誰も使っていない案思というのはなかなか見つかるものではなかった。

あきらめの雰囲気が漂い始めたその時、「あのさいっそ、絵から考えるってなぁねえの?」と、喜多川歌麿(染谷将太)が口走った。歌麿が詳しく説明すると、「それだ!」と一同は口をそろえて膝を打つ。「100年先の江戸」という想定外の案思が生まれた瞬間であった。

「編集会議マジで楽しそう」

このシーンは、耕書堂のミーティングからどのような案思が飛び出すのか、視聴者の注目が集まったと考えられる。

仕事にこだわりのある春町を鶴屋から引き抜くには、春町が書きたいと思える案思を土産にするしかなかった。そこで蔦重は、アイデア出しため関係者を集めてミーティングを行ったが、このミーティングは和気あいあいとみんなが建設的な意見を述べ合う理想的なものだった。

SNSでは、「『それだ!』がめちゃくちゃ楽しそう」「編集会議マジで楽しそう」「色んな立場の人たちがいるおかげで創作にはいい環境だな」と、楽しそうな職場をうらやむコメントが集まった。

どさくさに紛れて北川豊章改め志水燕十も取り込んでいるあたり、さすが蔦重。燕十は歌麿をゴーストとして扱うなどしていたため、視聴者のイメージはあまり良くないと推察されるが、燕十はその名が示すとおり、鳥山石燕(片岡鶴太郎)の弟子だ。春町も石燕の弟子であるため、今回のミーティングの参加者としては適任と言える。

そんな志水燕十を演じる加藤虎ノ介は、アルファエージェンシーに所属する大阪府出身の50歳。母方の先祖は、戦国時代に加藤清正に敗れた堺の武将・小西行長に当たるそうだ(なぜ芸名が敵方を連想させるものなのか、とても興味深いです)。大河ドラマは2010年『龍馬伝』、2012年『平清盛』、2013年『八重の桜』に続いて4度目の出演となる。

恋川春町は本名を倉橋格という。駿河小島藩・滝脇松平家の年寄本役を務め、その石高は最終的には120石だった。文・挿絵ともに自らしたためた黄表紙を多数残し、他の作家の洒落本や滑稽本などの挿絵を提供している。歌麿や燕十と同じく鳥山石燕に浮世絵を学び、勝川春章をリスペクトしていたようだ。また、朋誠堂喜三二とは公私ともに仲が良く、再婚相手は喜三二に紹介してもらったと伝わる。