第19話「鱗の置き土産」では、1780(安永9)年から1781(天明元)年の様子が描かれた。市中では人気作家である恋川春町の争奪戦が行われ、幕府内では次期将軍をめぐって暗闘が繰り広げられた。

注目度トップ3以外の見どころとしては、十代将軍・徳川家治(眞島秀和)と田沼意次(渡辺謙)の強い主従の絆が描かれたシーンが挙げられる。知保の方(高梨臨)の狂言をきっかけに、家治は実子をあきらめ他家の子を次期将軍にと決意するが、その思いには別の理由もあった。

「十代家治は、凡庸なる将軍であった。しかし1つだけ素晴らしいことをした。それは田沼主殿頭を守ったことだ。主殿がおらねば今日の繁栄はなかったのだから。余は、後の世にそう評されたい」と胸の内を打ち明ける家治と、「田沼主殿頭意次、この身を捧げ終生上様にお仕えしとう存じます!」と涙ながらに誓う意次に、「どれだけ家治が父・家重と同様に意次を信頼していたかが分かってよかった」「田沼意次、男泣き。忠義が報われるってこういう事だよね」「家基も武元も失ったけど、意次だけは失いたくなかったんだろうな…」と、SNSでは2人の関係性に視聴者のコメントが集まった。家治のこの決心は今後にどのような影響をもたらすのだろうか。

また、蔦重と鱗形屋孫兵衛の関係にも注目が集まっている。須原屋市兵衛(里見浩太朗)の仲立ちもあり、鶴屋で心が折れかかっている恋川春町を耕書堂に引き抜くため、再び手を組むこととなった蔦重と孫兵衛。かつてのよきビジネスパートナーだった2人は、あうんの呼吸で春町を耕書堂に移らせることに成功し、過去のわだかまりも水に流すことができた。さらに孫兵衛は、蔦重に『塩売文太物語』の版木を贈るが、これは蔦重にとって思い入れの深いシロモノだった。

SNSでは、「鱗形屋さんと蔦重、わだかまりが解けただけでなく、そんな縁があったなんて…こっちも泣けてきたよ」「今でも初めて自分で買った漫画とかCDとかゲームとかって思い出に残るもんね」といった、2人をつなぐメモリアルアイテムにコメントが寄せられている。

きょう25日に放送される第20話「寝惚けて候」では、蔦重が『菊寿草』の作者である大田南畝を訪ねる。一方、幕府では一橋治済(生田斗真)の長男・豊千代を次期将軍とする動きが出てくる。

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