ツインメッセ静岡で5月14~18日に開催された「第63回 静岡ホビーショー」。鉄道模型関連メーカーも出展し、各社とも試作品展示や新情報公開などを行った。今回はトミーテックの鉄道模型と、タカラトミー「プラレール」について見ていく。トミーテックのブースでは、5月14日に新情報も公開され、大きな話題となった。
トミーテック「TOMIX」発売予定製品をチェック
まずはトミーテック「TOMIX」から。3月から中央線快速・青梅線でグリーン車サービスを開始したE233系0番代が、グリーン車付きの編成で6月発売予定。新たに組み込まれたグリーン車はもちろん、普通車にトイレを設置したことによる変化、前面の花形LEDやホーム検知装置を設置した仕様を新規に再現している。
グリーン車2両を収めた6両基本セット(品番「98889」・価格2万9,700円)に加え、貫通編成となるT編成用の増結セット(品番「98890」・価格2万5,300円)または8両・4両で分割するH編成用の増結セット(品番「98891」・価格2万9,150円)のいずれかで12両編成を組む。
JR西日本関西エリアの新快速で活躍中の223系1000番代は7月に発売。リニューアル前の形態で、発売済みの2000番代とは異なる外観・ライト形状を再現している。交換用に登場時のスカートも付属。8両編成セット(品番「97600」・価格3万3,220円)と4両編成セット(品番「97601」・価格2万1,120円)に分かれ、2編成の連結で最大12両編成になる。1000番代同士だけでなく、2000番代や221系などとも組み合わせると楽しみが広がる。
「SLばんえつ物語」は6月発売予定。機関車は「JR C57形蒸気機関車(180号機)」(品番「2011」・価格2万460円)、客車は「JR 12系客車(ばんえつ物語・オコジョ展望車)セット」(品番「98892」・価格2万4,640円)としてそれぞれ発売される。
C57形180号機は、大型化されたATS発電機や通年取付けとなったスノープロウ、開いた状態のキャブ窓や肘掛けを再現。煙室扉ハンドル形状が変更され、煙突や給水温め器などから金色装飾が省略された2024年4月以降の形態となる。オコジョ展望車付きの客車編成は2020年代の仕様を再現し、換装後の発電エンジンは新規製作。TOMIXで発売済みのGV-E400系気動車、「鉄道コレクション」で10月発売予定のキハE120形、グリーンマックスなどのキハ110系などと並べて楽しみたい。
789系「スーパー白鳥」では、TOMIX初という試みを採用。グリーン合造車「クロハ789」で普通車は白色、グリーン車は電球色の室内灯をそれぞれ使用し、車内の光り分けが可能になった。基本・増結セットでの「クハ789」の違いや、キハ261系との台車や窓枠の違いなども再現している。6両基本セット(品番「98895」・価格2万7,830円)と2両増結セット(品番「98896」・価格8,580円)に分かれて8月発売予定。カプラー交換・調整が必要になると思われるが、マイクロエースですでに発売されている785系300番代(「スーパー白鳥」用増結改造車)を編成に組み込んでも面白そうだった。
その他の試作品もチェック。227系500番代「Urara」や、H100形(室蘭本線・日高本線ラッピング車両)、寝台特急「なは」など、5月中の発売が近づいている。227系500番代は、信号炎管のない屋根を新規製作しつつ、ロゴ、側面ライン、側面確認カメラの準備台を印刷で再現。2両基本セット(品番「98155」・価格1万4,080円)、2両増結セット(品番「98156」・価格1万10円)、3両基本セット(品番「98587」・価格1万7,050円)、3両増結セット(品番「98588」・価格1万4,300円)と展開し、組み合わせ次第で柔軟に編成を楽しめる。
「JR H100形ディーゼルカー(室蘭線・日高線ラッピング車)セット」(品番「98138」・価格1万8,810円)は、石炭列車をイメージした室蘭本線ラッピング、気動車一般色をベースにアイヌ文化と馬産地を表現した日高本線のラッピングをともに印刷で再現。動力は室蘭本線ラッピングの「H100-84」に搭載する。なお、同時に展示された根室本線・宗谷本線ラッピング車は10月発売予定となっていた。
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岡山エリアで勢力を拡大しつつある225系500番代「Urara」がNゲージに
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H100形の室蘭本線・日高本線ラッピング車(写真手前)。根室本線・宗谷本線ラッピング(同奥)は10月発売予定
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他にも多数の試作品を展示。寝台特急「なは」も5月中に発売予定
寝台特急「なは」は、485系から改造・転用されたレガート車を収録し、「あかつき」と併結運転を行う前の単独運転時代を再現。「JR 24系25形特急寝台客車(なは)基本セット」(品番「98858」・価格2万6,070円)に8両、増結セット(品番「98859」・価格6,710円)に2両を収録する。本州区間での牽引を行った「JR EF65-1000形電気機関車(下関地域鉄道部)」(品番「7189」・価格9,680円)と、九州区間を担当した「JR ED76-0形電気機関車(後期型・JR九州仕様)」(品番「7190」・価格1万230円)も5月中に発売される。
阪急電鉄2000系を製品化、会場で発表
80分の1(HO)スケールでは、電気機関車のEF64形1000番代が5月発売。前期型・国鉄仕様、前期型・JR貨物更新車、後期型・復活国鉄色の3種類ともに価格4万3,780円。前期型・国鉄仕様はプレステージモデル(価格6万4,460円)も発売される。
「国鉄 14系14形特急寝台客車」も発売予定。2段寝台へと改造され、乗降ドアの白帯が省略された仕様を再現した。4両基本セット(品番「HO-9117」・価格5万5,220円)、3両増結セット(品番「HO-9118」・価格3万9,600円)、単品販売を組み合わせて編成を組む。EF64形1000番代と組むことで寝台特急「北陸」を再現でき、7月発売予定のEF66形0番代と組むことで寝台特急「さくら」「みずほ」も楽しめる。
会場で発表された新情報として、阪急電鉄2000系の製品化が決定した。2025年内発売予定とのこと。KATOから阪急京都線の2300系が6・7月発売予定となっていたが、2000系は神宝線系統の車両のため、実車において車体幅に若干の違いがある。2300系との違いを出しつつ、TOMIXでは初という阪急電車をどう再現するか、続報に期待したい。会場では、先頭形状のテストショットと阪急マルーンの塗装サンプルも展示されたが、どちらも監修中となっていた。
「鉄道コレクション」も試作品多数、新情報はショーティー車両!?
次は「鉄道コレクション」(ジオコレシリーズ)を見ていく。発表済みの新製品の多くが、塗装済みの状態で展示された。これまで発売したことのある車種に新しいラインナップが加わる。南海電鉄6000系は過去に事業者限定品で販売されたこともあるが、今回は「なつかしのステンレス無塗装」として一般販売され、近隣の専門店・量販店で入手しやすくなる。
中でも注目は、8月発売予定の「一畑電車5000系 ありがとう5010編成 2両セットA」「一畑電車5000系 5009編成(オレンジカラー) 2両セットB」(ともに価格8,580円)と、9月発売予定の「秩父鉄道6000系急行秩父路 3両セット」「秩父鉄道6000系 旧300系リバイバルカラー 3両セット」(ともに価格1万3,200円)。一畑電車5000系は京王電鉄旧5000系から改造、秩父鉄道6000系は西武鉄道新101系から改造された車両で、ともに譲渡前の状態から改造された車体・内装を新規製作で再現する。展示品は未塗装だったので、今後の進展を待ちたい。
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「鉄道コレクション」今後発売予定製品の試作品。「ノス鉄」第5弾のシルエットも
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一畑電車5000系、秩父鉄道6000系は新規製作で模型化
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静岡鉄道のラッピング電車「CENOVA TRAIN」、福井鉄道770形などの製品化も決定
今後の製品化決定情報としては、静岡鉄道A3000形のラッピング電車「CENOVA TRAIN」や、「ノスタルジック鉄道コレクション」の第5弾を製品化するとのこと。第5弾はボギー台車の車両がラインナップに入る。「鉄道コレクション」20周年記念アイテムとして、福井鉄道770形も発表された。10周年の際に200形が発売され、10年越しに770形も製品化が実現する。
「鉄道コレクション」ではもうひとつ、大きな新情報があった。「ますこっとれいん」(SHOPねこまた)との公式コラボプロジェクト「鉄コレポケット」が始動する。過去にバンダイが展開していた「Bトレインショーティー」をほうふつとさせるスケールショーティーモデルで塗装済み組立キットとなっている。第1弾はE235系1000番代・225系100番代・5100番代を収録。7種類+シークレット1種、1BOX10個入りの販売形態になるとのこと。2025年秋に向けて製品化が進められている。
会場では、未塗装試作品の部品構成や、ミニレイアウトでの展示も実施。ディスプレイ用の車両はボギー台車として車輪4軸を使用し、走行展示している車両は2軸車両として走行していた。これほどの小ささなら、テーブルサイズで、ミニカーブレールを使用して走行させたり、手軽にジオラマを作ったりしながら、自宅でも鉄道模型を楽しみやすくなるだろう。詳細については続報を待ちたい。
「プラレール」にホグワーツ特急!?
最後にタカラトミー「プラレール」「プラレール リアルクラス」の展示を見ていく。「プラレール」は『ハリー・ポッター』シリーズに登場する「ホグワーツ特急」を製品化。「プラレール ハリー・ポッター ホグワーツ特急」として7月19日発売予定で、価格7,700円。作中でホグワーツ魔法魔術学校の生徒を運ぶ同列車に「プラレール」らしいデフォルメを加え、車体モールド、エンブレム、カラーリングも再現する。「9と3/4番線プラットホーム」や、ハリー、ハーマイオニー、ロンのプラキッズも付属し、客車に乗せることもできる。
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「ホグワーツ特急」がプラレールに
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余談だが、現在、西武池袋線の池袋駅で英国ロンドンのキングス・クロス駅をイメージした装飾が施されている。それにちなんで、本品付属の「9と3/4番線ホーム」に西武線のプラレールを発着させてみても面白いかもしれない。
「プラレール リアルクラス」に113系横須賀色も
「プラレール リアルクラス」では、湘南色に続いて横須賀色の113系がラインナップに加わり、「プラレール リアルクラス 113系近郊電車(JR東日本・横須賀色)」として6月28日発売予定で、価格7,700円。4両編成のセットとなっているが、実車にも4両編成がいたため、この製品を入手するだけでフル編成に見立てることができる。車体はクリーム色と青色の外観を再現し、屋根・機器類も塗り分けている。内装パーツは淡緑色。パンタグラフはハイタイプ・ロータイプで交換可能となっている。走行している車両は2軸車両として走行していた。さらに、TOMIXのパンタグラフを「鉄コレポケット」に使用することもできる。
前面の行先表示はステッカー式で、試作品では懐かしい「横須賀線-総武線」を表示。パッケージや公式サイトを見た限り、房総エリア各線の行先も収録されているようなので、好みで選ぶと良いだろう。113系も「ホグワーツ特急」も、走行には単3形乾電池を1本使用する。
掲載の都合上、詳しく紹介することのできなかった新製品も多数存在する。各種新製品についての詳細は、メーカー公式サイトもあわせて参照してほしい。E233系中央線、227系500番代「Urara」、789系「スーパー白鳥」についてはTOMIX公式サイト内「N情報室」、14系特急寝台客車については「HO情報室」にも詳しく掲載されている。