川栄李奈演じる新人マネージャー・神田川美和が、TOYOプロダクション4部所属の崖っぷちタレントたちを再生させていく日本テレビ系ドラマ『ダメマネ! ―ダメなタレント、マネジメントします―』(毎週日曜22:30~)。27日放送の第2話では、富田望生演じる新人俳優・後藤沙紀が、吃音(きつおん)がありながら一度は挫折した役者の道に一歩踏み出す姿が描かれた。

吃音とは、「音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せずに間があいてしまうなど、一般に“どもる”と言われる話し方の障がい」(国立特別支援教育総合研究所ウェブサイトより)。この症状に真摯(しんし)に向き合った富田は、当事者であり、ハウス食品開発研究所に勤務する滝澤美紅さんとともに、今回の役を丁寧に作り上げて撮影に臨んでいた。

吃音監修を務める慶應義塾大学医学部の富里周太助教が、同年代の女性の感覚を生かしたほうが良いという判断から白羽の矢が立ち、富田とともにインタビューにも応じてくれた滝澤さん。彼女のコメントは通常の記事と同様にスムーズな話し言葉で表記しているが、初めて取材を受ける緊張感から所々詰まりながらも、沙紀というキャラクターに込めた思いを一生懸命伝えてくれた――。

  • 富田望生(左)と滝澤美紅さん

    富田望生(左)と滝澤美紅さん

正しい知識を身に付けることからスタート

富田は今回の役に挑むにあたり、吃音の正しい知識を身に付けるべく、「自分の中で“吃音ってこういうものなのかな”というのが本当に合っているのかを含めて、滝澤さんにたくさん質問させていただきました」という。それに対し、滝澤さんは「どもる時にどういう気持ちになるかとか、どういう場面でどもりが出やすいというところまで話を聞いていただきました」と、自身の経験を伝えた。

そこから実際に吃音の演技に進むことになるが、これを表現するにあたっては、単に話し方を真似るのではなく、「口の中の動きがどうなっているのかを聞いていきました」と物理的なメカニズムを理解。また、滝澤さんと会話をする中で、「このワードは出にくいのか…というのをキャッチしていく感覚でした。どの文字が出にくいということもありますが、ワードとして詰まってしまうこともあるんです」と知識を深めていく。

こうして表層的ではなく、内面的な部分から吃音を捉えることで、自然に言葉が詰まる演技ができるようになったという富田。その姿勢に「すごいと思って見ていました」と驚いた滝澤さんは「“少しずつどもるほうがいい”と言っただけで、自然な感じになりますし、2回目にお会いした時には富田さんのほうから“この言葉はたぶんうまく出ないですよね?”と聞いてくれて、私が“たしかにそうです!”と思うこともあって。当事者の立場に立って真摯(しんし)に向き合っていただいているのを、すごく感じていました」と感激したそうだ。

このため、滝澤さんから話し方自体の指導することはほとんどなく、沙紀と美和、沙紀とTOYOプロダクション4部の所属タレントとの関係性がストーリーの中で変化することで、「今こういう距離感なら、そんなに強く出なくても大丈夫だと思います」と、加減の部分を助言していったのだそう。撮影は劇中の時系列通りの順番で行われるわけではないため、2人でそれぞれの時点の周囲との関係性を確認しながら、演技を作っていったという。