今回、初めてドラマの吃音指導を行った滝澤さん。これもやはり大きな挑戦となった。大勢の人がいる場所や緊張感が生まれると症状が出る傾向があるだけに、「最初のご挨拶の時が、一番どもってしまいました!(笑)」というが、その後に富田と1対1になるとスムーズに話せたことから、富田は「人と対した時の感覚やシーンとした空気が、すごく影響するんだと感じました」という。

また、滝澤さんは「“テレビで見たことある俳優さんだ!”、“目が合っちゃった!”という感じがまずありました(笑)」と、ミーハー心からテンションが上がりながら、「それだけ世の中に対して訴えかける力も大きいのだと思い、吃音というものを広く認知していただけるチャンスになるかもしれないと感じました」とモチベーションに。

さらに、「言友会という吃音の当事者団体での活動が、今回ドラマに参加させていただくきっかけだったので、言友会の皆さんのためにも“やり切らねば”という思いがあります」と使命感を持って挑んでいる。

ドラマを通して伝えたい「楽しく生きて過ごしていける」

マネージャーとタレントの「2人で1人」という関係性を描いていく今回のドラマだが、富田と滝澤さんも、まさに「2人で1人」で沙紀というキャラクターを作り上げた。そんな役を通して、どんなことを視聴者に伝えたいのか。

富田は「吃音があって、好きなお芝居ができないという単純なお話ではなくて、一歩踏み出すことはもちろん大変だけど、それをずっと続けていくことの大変さ、そしてマネージャーさんとタレントという関係性の中で、誰かと一緒に取り組んでいくことの幸せも描いています。私自身、人と人のつながりをものすごく感じながら撮影しているので、日曜の夜に自分自身の一歩踏み出すパワーと、ともに頑張っていく誰かに対してのパワーを同時に受け取りながら、月曜日を迎えられる作品だと思います」と語る。

この思いを聞いて、「日曜の夜、見ようと思いました(笑)」とまっすぐ受け止めた滝澤さんは「ドラマで吃音を取り上げていただいたことが、まずうれしいです」と、当事者としての思いを紹介。その上で、「私自身、高校生くらいの時から、“自分は社会でちゃんと生きていけるだろうか”と不安を抱いていたので、今回のドラマを通して“吃音でもちゃんと楽しく生きて過ごしていけるんだ”ということ、そして“こういう人がいたっていいじゃないか”ということも伝えられたらうれしいです」と期待を込めた。

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