三井住友信託銀行が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」は4月16日、DC/iDeCoとNISAに関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2025年1月、全国の18~69歳11,435名(関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く)を対象にインターネットで行われた。

1年あたりの資産形成額

現在資産形成に取り組んでいる人は、年間どのくらいの金額の資産形成を行っているのか。年代別に分析すると、どの年代でも「1年あたり1万円~50万円」が最多になっている。

一方で、平均額を見ると、全年代の平均は年間123万円であり、単純計算で月額10万円程度が資産形成に回っていることになる。これは年代が上がるにしたがって若干増加していく。

  • 1年あたりの資産形成額(対象「資産形成に向けての取り組みあり」との回答者)

税制優遇制度は、およそ4人に1人が利用

続いて、資産形成に関する税制優遇制度の代表格である、DC制度(企業型DC、個人型DC (iDeCo))やNISA制度の利用状況を確認した。

資産形成に関する税制優遇制度を何らか利用している割合は26.6%となり、およそ4人に1人の割合であることが分かった。制度別では、DCが12.6%、NISAが21.5%となっており、NISAによる資産形成実践者が相対的に多いことが分かる。また、DCとNISAを両立している人は全体の7.6%となった。

  • 税制優遇制度の利用状況・両立状況

制度の利用・両立状況は、この1年間でどのように変化したのか。

1年前の2024年1月に調査したデータと比較したところ、どの年代でも「未利用者」が減少しており、税制優遇制度を活用した資産形成が進んでいることが分かる。特に、「DC・NISA両立」の割合がどの年代でも増えていることも特徴だった。

  • DC・NISA利用者割合の時系列比較(2024年-2025年)

DC利用者は約6割がNISAも利用

DCを利用している人・利用していない人のNISA利用率を確認した。特にDCは、会社が運営する企業型DCと、個人で加入するiDeCoがあり、加入の動機や利用の自由度なども異なることから、「企業型DC・iDeCoのいずれか加入」「企業型DCに加入」「iDeCoに加入」の3ケースで比較する。

すると、DCを利用していない人のNISA利用割合が15.9%にとどまるのに対し、「企業型DCまたはiDeCo」利用者は60.1%がNISAも利用していた。また、会社の制度である「企業型DC」の利用者では、約5割がNISAを利用、自ら能動的に申し込む「iDeCo」利用者では約7割と更に高いことが分かった。

  • DC/iDeCoの加入状況別、NISA利用状況

NISA利用者のiDeCo関心も若年層を中心に高い

続いて、NISAを利用している人のDC利用率や利用意向を確認した。なお、企業型DCは会社が用意している制度であるため、自ら申し込むiDeCoに関する利用率・利用意向を分析している。

NISAを現在利用している人におけるiDeCoの利用割合は、50代までは年齢が上がるにしたがって増える傾向にある。iDeCoは所得控除などの税制優遇があるものの、60歳まで途中引き出しができない制度であり、資産を引き出す自由度が低いことが若年層の利用率に影響しているかもしれない。

一方で、「 (現在利用していないが、)利用意向がある層」も含めると、一転して若年層の方が高い傾向になっていた。18~29歳でNISAを利用している若年層において、「iDeCoを利用している/利用意向がある」人の割合は51.9%に上る。 iDeCoの注目の高まりは、法改正なども契機になっていると推察できます。

2024年11月までは、会社員や公務員の方がiDeCoを始める際に、企業・団体に「事業主証明書」という書類を準備してもらう必要があったが、2024年12月からは本証明書の提出が原則不要になったため、iDeCoの申し込みが手軽になった。また、同時期の法改正により、iDeCoに拠出できる掛金額の上限が見直されるなど、税制優遇の効果を享受できる規模も大きくなったといえる。

2024年12月には、前年同月比200%を超える72,000人がiDeCoに加入するなど、iDeCoの注目度もより高まっているといえる。

  • NISA利用者のiDeCo利用意向