大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で老中首座・松平武元を演じた石坂浩二にインタビュー。武元のトレードマークである長い白眉毛の裏話や10回目の出演となった大河ドラマへの思いなどを聞いた。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』松平武元役の石坂浩二

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。

石坂が演じた松平武元は、吉宗、家重、家治(眞島秀和)の将軍三代に仕え、家治からは「西の丸の爺」と呼ばれ信頼された老中首座。第15回「死を呼ぶ手袋」で家治の長男・家基(奥智哉)が謎の死を遂げ、事件の真相を追う中で武元も命を落とした。

二科展に入選するなど画家としても評価されている石坂。蔦重の物語と聞いて絵師の役だと思ったそうで、「残念ながら幕府の方で、がっかりしたんです(笑)」とぶっちゃけて笑いを誘った。

演じた武元は長い白眉毛がトレードマーク。森下佳子氏の脚本で「白眉毛」との記載があり、それに従ってビジュアルを作っていったと振り返る。

「『白眉毛』と言われるんだったら、言われるぐらいのものをつけないといけないんじゃないですかねという話になり、チーフ演出の大原(拓)さんが『大胆にやったほうがいいです』とおっしゃって、かつら担当の方に作っていただきました」

そして、完成した眉毛を装着してから長さを調整したという。

「扮装合わせのときに、かつらをかぶって眉毛もつけたら、前が見えないんです。すごく視界が狭くなって。『片目だけ控えめに』『左右同じじゃない方がいいですよね』とか、長いのを少しずつ切って完成した形です。左を向くときに(視界が悪くて)不安で。今思うと懐かしくて、記念に持って帰ろうと思います(笑)」

映像で見たときに白眉毛のインパクトに自分でも驚いたようで「『これは大げさなんじゃないかな』と反省しましたが、周りが『いい』と言うので、まあいいかと」と回顧。「まめに手紙をくださる方たちから『あの眉毛はちょっとやりすぎじゃないですか?』という声もありましたが、面白いと言ってくださった方がけっこういて、模型仲間にもウケました」と笑顔で反響を明かした。

自身としては演じていく中で次第に馴染んで違和感がなくなったそうで、「かつらなどは自分の一部になっていくんです。最初にかつらをかぶったときに合わなくても、2カ月ぐらいすると不自然さがなくなる。かつらが変わるわけはないので、顔が変わっているんだなと思います。だから眉毛も」と語った。