パナソニックインフォメーションシステムズ(パナソニックIS、以下PISC)は、大阪本社を2月3日に大阪市北区末広町の「Panasonic XC OSAKA」へ移転。これに伴い、同社の執行役員を含む、社員・組合執行部など合計約100名が参加する開所式が、3月13日に執り行われた。

  • パナソニックインフォメーションシステムズの新大阪本社「Panasonic XC OSAKA」

ワークスタイル重視の「行きたくなるオフィス」

新オフィス「Panasonic XC OSAKA」の来客エリア/共用エリアとなっている 9階で行われた今回の開所式。

大阪移転に関する意見交換やアイデア出しを行った移転ワークショップメンバー30名、この4月に入社予定の新入社員なども参加し、開所式のもようはオンラインでも配信され、多くの従業員が視聴した。

  • 開所式のテープカットの様子

開所式の冒頭、同社の玉置肇社長は「2020年からコロナ禍のパンデミック以降、私たちの働き方は大きく変わりました。2021年からPISCの社長に就任し、皆さんと一緒にPISCを力強いITの会社へと変える取り組みを始めました」と挨拶した。

パナソニックグループのIT中核会社であるPISCは、2022年に東京本社・東京オフィスを東京都品川区から東京都中央区へ、九州オフィスを2024年9月に福岡市中央区から福岡市博多区へ移転。

これまで大阪本社の従業員の多くは、大阪・門真市の8カ所のオフィス拠点へ点在していたが、この2月に大阪市北区末広町に大阪オフィスを開設し、その機能を新オフィスに集約した。

「皆さんが集うことで良い空気感と場の力が醸成され、今まで想像もしなかったような大きな力を生み出されていくことを期待して、私はこの移転プロジェクトを支援してまいりました」(玉置氏)

  • パナソニックインフォメーションシステムズの玉置肇社長

大阪オフィスの移転プロジェクトが始まったのは2021年。阿部裕副社長は、これまでオンラインによるコミュニケーションが部門間で多く発生していたことなども踏まえ、新オフィスへの期待を語った。

「新オフィスのコンセプトは、『行かなければいけないオフィスではなく、行きたくなるオフィス』です。働くシーンによってさまざまな場所を自由に選択でき、全部門がこのオフィスに集結することで、活発な部門間のコラボレーションが生まれやすい設計となっています。この新オフィスを通じて我々の総合力を高め、さらなる成長を遂げていきたいと思います」

  • パナソニックインフォメーションシステムズの阿部裕副社長

社員による移転ワークショップを実施

続いて登壇した労働組合代表執行委員長の松井正貴氏は、「PISCで働くすべての人が明るく元気に、生き生きと働ける環境を会社幹部の皆様と一緒に私たち組合員も整えていければと考えています」と挨拶。

  • パナソニックインフォメーションシステムズ労働組合代表執行委員長の松井正貴氏

その後は移転ワークショップに参加したメンバーを代表し、加納実樹氏がその取り組み内容を紹介した。移転ワークショップは各部署から社員32名が選抜され、Panasonic事業会社の協力を得て、2023年8月から約2ヶ月間、計4回にわたって実施されたという。

「4回のワークショップの中ではメンバーが意見を出し合いながら、風土や文化も含めた理想の働き方そのものをデザインし、それを実現するために必要なツールや設備をオフィス空間のデザインへと落とし込みました」(加納氏)

  • パナソニックインフォメーションシステムズの加納実樹氏

Panasonic XC OSAKAは多様な働き方を想定したオフィスとして、会議・会話禁止で防音仕様の半個室「集中ブース」など、その日の気分や業務に合わせて最適な環境で仕事ができるエリアを整えている。

また、9階の来客・共用エリアも新オフィスの注目ポイントのひとつ。カジュアルな打ち合わせスペースも豊富に用意し、対面ミーティングを気軽に行いやすくなったことも嬉しい点として挙げられた。

「今回のオフィス移転によって、いろんな部署の人と気軽に会ってコミュニケーションを取る機会が増え、出社が楽しく感じるようになりました。理想の働き方を本当の意味で実現していくためには、風土や文化をかたちづくる一人ひとりの意識改革が必要ですが、周りからも同様の声を耳にし、すでに少しずつ意識の変化が起きていると感じています。オフィス移転から間もない段階ですが、部署間の連携が深まっていくことで、問題解決スピードの向上などお客様への価値にもつながっていくと思っています」(加納氏)

移転プロジェクトの軸は"社員主体のオフィスづくり"

テープカットのセレモニー後、玉置社長と阿部副社長への囲み取材が行われた。4月から「パナソニック ホールディングス」副社長、「パナソニック オペレーショナルエクセレンス」社長に就任する玉置氏は、改めて新オフィスの第一印象や特徴を次のように語っていた。

「最大の特徴はアクセスの良さだと私は思います。単に社員が通勤しやすいだけでなく、ステークホルダーの皆様も足を運びやすい。とくにピスクはIT会社なのでさまざまなステークホルダーとの交わりの中で新しい価値を生み出していかなければならないんですが、そのプラットフォームになれると思っています」

移転にあたって最も注力した点を聞かれた際は、「私たちが注力したことは実はあまりないです。ワークショップなどを通じて自分たちが働きたい、通勤したくなるオフィスを社員が自由に考えるということなので。お金が掛かり過ぎる部分は相談しましたけど、私たちが注力したことは、なるべく経営幹部が口を出さないことだけ。カーペットの色とか、すぐ口を出したくなるから(笑)」とコメント。

この3月末で社長を退任する玉置氏に代わり、4月1日から新たにPISCの社長へ就任する阿部副社長も、「トップダウンで器をつくって現場の社員の声が反映されていないかたちは避けたかったので。最初から社員入れてワークショップ立ち上げて進めようと、全役員が合意して進めてきました」と説明した。

今回の移転を記念し、開所式では大阪本社の概要やオフィス周辺の地域情報などが掲載した「移転記念冊子」と、大阪本社のお膝元にある天神橋筋商店街に関連した「ミニギフト」が配布された。新しい拠点と地域のつながりを深める思いを込められたギフトとのことで、大阪本社の従業員にも翌14日に配られたという。

大阪市北区末広町は同社の社宅も近いエリアとのことで、阿部氏は周辺施設や企業などと連携しながら、地域貢献への取り組みにも積極的に取り組んでいく考えも語っていた。