2歳で芸能界入りし、第一線で活躍し続けている女優・安達祐実(43)。現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で吉原の女郎屋・大黒屋の女将・りつ役を好演中だが、2月27日からはAmazonオーディブルで安達が朗読を担当した『霧をはらう』が配信開始された。安達にインタビューし、本作のタイトル『霧をはらう』にちなみ、本来の自分とは違うイメージを払拭したいと思ったエピソードを聞いた。

  • 安達祐実

    安達祐実 撮影:蔦野裕

2021年に刊行された雫井脩介氏の小説『霧をはらう』は、小児病棟で起きた点滴殺傷事件で物証がないまま逮捕された母親が勝算のない裁判に挑む物語。娘を懸命に支えていた母親は冷酷な殺人犯なのか、弁護士の信念を問う法廷サスペンスを、安達の迫真の朗読で届ける。

――『霧をはらう』というタイトルにちなみ、世間のイメージとのギャップを感じて、「本当の自分はこうなのに」とイメージを払拭したいと思ったことがありましたら教えてください。

小さい頃から芸能界にいると「生意気そう」「怖そう」と思っている人がけっこういるなと感じていて、最近は少なくなってきましたが、「そんなにしゃべってくれる人だと思いませんでした」と言われることもあって、誤解を解いていくというのはしょっちゅうありましたし、ずっと子役のイメージを持って見てくれる方も多かったので、そこを払拭していく作業は時間がかかって大変でした。

――払拭できてきたなと思えたタイミングがあったのでしょうか。

私の心が自由になったというのが大きいんだろうなと。受け入れることができるというか、若い頃は「もう子供じゃないのに、まだ子供のイメージで見られてしまう」ということがすごくコンプレックスになっていたんですけど、「そういう人もいるよね」と思えるようになったし、「今の私をちゃんと知ってくれる人もいる」とわかるようになってきたのかなと思います。

――いつ頃からそういう風に思えるようになりましたか?

30代ですね。なかなか役をもらえない時期があって、そこをどう打開していくかというときに、それは今の私を知ってもらうことだなと思い、仕事への取り組み方もどんどん変わっていきました。

――その時期を乗り越えて、役の幅が広がっていったということでしょうか。

そうですね。いつも不幸な人みたいな役が多かったんですけど、コメディもやれるようになっていったり、普通の人もやれるようになったり、役の幅が広がったなと感じます。

  • 安達祐実

――「生意気そう」と思われがちだったということや、不幸な人の役が多かったというのは、『家なき子』(1994・1995)の影響が大きかったのでしょうか。

そうかもしれないですね。でも、未だに言っていただくこともあるので、代表作があることはすごくありがたいなと思うようになりました。

――今はそう思えるようになったとのことですが、『家なき子』のイメージからの脱却はかなり大変でしたか?

そうですね。イメージがどうしても固まってしまって、なかなか新しい役をいただけず、起用を考える方も難しかったんだろうなという時期はありました。