日産自動車はこのほど、「エコノミスト・インパクト」に都市部に住む若年層を対象とする「モビリティの選択に関する調査」を依頼した。調査は世界15都市で行われ、3,750人が回答。この世代が移動手段として電気自動車(EV)を支持しているという結果が得られたという。
調査は5大陸15都市の18歳から30歳までの都市居住者3,750人を対象に実施。 調査対象はバンコク、コペンハーゲン、ロンドン、ロサンゼルス、マニラ、メルボルン、メキシコシティ、ニューデリー、ニューヨーク、パリ、リヤド、サンパウロ、上海、東京、トロントの15都市で均等に割り当てた。日産は調査結果について、「変化し続けるユーザーのニーズにあわせてクルマの電動化を推進し、持続可能なソリューションの提供に取り組む自社の方向性に合致するもの」と考えているそうだ。
■回答者の約3分の1がEV所有を希望、新興国が需要を促進
主な調査結果は以下の通り。
・回答者の過半数(57%)が、カーボンフットプリントを削減するためなら自身の移動習慣を変えても良いとしている。特に新興国の都市では、移動手段を選ぶ際には環境への配慮が不可欠と考えている
・移動手段の選択肢としてEVが支持されている。今回の調査では、回答者のEV所有率は23%だったが、10年後には35%以上まで上昇すると予想される
・今後5年間で自分がEVを運転するようになると考えた回答者の割合は、新興国の都市では44%、先進国では31%。大気汚染に直面する新興国では、持続可能性を考慮する傾向が強いと考えられる
・若年層はエネルギー貯蔵、代替燃料、クルマとさまざまなモノをつなげる「V2X」などのイノベーションに高い関心を示しており、回答者の半数近く(40%以上)が、これらの技術が移動手段の選択時に影響を与えると回答している
今回の調査について、「エコノミスト・インパクト」でアジアパシフィックにおける持続可能性の責任者を務めるリトゥ・バンダリ氏は次のように述べている。
また、日産の常務執行役員でグローバル広報を担当するラバーニヤ・ワドゥガウカル氏は次のようにコメントしている。
■若年層はEVを移動手段として好む
調査回答者のうち、現在EVを所有している人の割合は23%だったが、全体の3分の1以上が10年後にはEVを自分のクルマとして考えると回答した。また、今後5年間でEVを運転するようになると考える回答者の割合は、新興国の都市で44%、先進国では31%だった。
上海、サンパウロ、メキシコシティといった都市では、大気汚染や渋滞といった環境への懸念が深刻化し、EVへの関心が高まっている。EVの普及を左右する要因としてバッテリー性能、充電インフラやコストなどが挙げられるが、新興国の都市ではバッテリー性能について、先進国では従来のガソリン車との比較で依然として高いEVのコストを懸念する声があった。
■EVに対する今後の期待はモビリティのその先へと広がる
調査回答者の40%以上が、新たなEV技術に高い期待を寄せており、EVが日々の生活を変えていく可能性を認識している。特にEVが移動手段にとどまることなく、再生可能エネルギー由来の電気を蓄電し、外部デバイスへ給電するなど、エネルギーマネジメントに貢献できることを調査回答者の半数が理解している。
また、緊急時の電力共有といった従来のモビリティを超えるEVならではの機能については、新興国の都市の回答者がより高い期待を寄せている。
今回の調査結果を受け日産は、以下のようにコメントした。
日産は、世界の移動やエネルギーへのニーズに対する現実的なソリューションを提供しています。今後も将来社会に向けたソリューションの開発に引き続き注力し、より持続的で強靭なモビリティの未来に貢献していきます」