日本のパウダースノー"JAPOW(ジャパウ)"が堪能できる、ニセコエリアのスキー場。

なかでも長い歴史を誇るニセコ東急グラン・ヒラフは「Value Up NISEKO 2030」というスローガンのもと、2030年に向けて施設のリニューアルや、地域の課題解決などに力を入れ、アジアNo.1の国際的リゾートを実現するべく、さまざまな取り組みをしています。

  • ゴンドラの上からスノーボーダーを望む

数多くのゲストを一気に運んでくれる快適ゴンドラ

ハード面としてまず更新されたのが、ゴンドラです。

1985年に運行を開始した、日本最古の4人乗り高速リフト「エース第2センターフォーリフト」が、最新鋭の10人乗りのゴンドラ「エースゴンドラ」に生まれ変わりました。2024年11月から運行を開始しました。

  • 速度もゆっくりで、ゴンドラ内も広々していて乗り込みやすい

以前と比べて、輸送力は1時間あたり約1.5倍。混雑もかなり緩和され、利用者の評判も上々です。

家族や友達と大人数でスノースポーツを楽しむ際もゆったりとしたキャビン内には、スキー板の持ち込みが可能。

全キャビンにシートヒーターが完備され、束の間、冷えた体を温められるのもうれしいところです。なんとWi-Fiも完備。快適な乗車時間を過ごすことができます。

  • この日も多くのスキーヤー、スノーボーダーで賑わっていたものの、ほぼ待ち時間なくゴンドラに乗車

  • 晴れていれば絶景も楽しめる

また、すべてのゴンドラの床面と、山麓・山頂ゴンドラ乗り場の一部床面には、夏スキーの際にゲレンデに敷かれる「PIS-LAB(ピスラボ)」と呼ばれるスノーマットを採用。

チェアスキーヤーも介助やギアの着脱なしで乗り降りできて、全ゲストへの配慮も抜かりありません。

  • 乗客が降りる位置の下に敷かれている黒いマット=「PIS-LAB」が、乗り降りの際の安心材料に

エースゴンドラの駅舎上のレストランも開業準備中で、2025年冬シーズンにオープン予定。こちらも楽しみです。

地元の食材を使ったメニュー豊富なレストラン・バー

その他、キングエリア マウンテンセンター2階のレストラン・カフェも、今年度「sanshoku」と名前を変更してレストラン・バーにリニューアル。

朝は8時から夜は19時まで(ラストオーダー18時30分)、朝食、昼食、アプレスキー(スキー後)と、すべての時間に対応しています。

現在は一部リニューアル済みですが、今後、2025年の夏シーズンにかけてフルリニューアルを目指すとのこと。

  • ノン・スキーヤー/スノーボーダーを含む、すべてのゲストに楽しんでもらえる、利用しやすい施設に

北海道ならではの「道産ザンギプレート」から、ベジ対応の「ファラフェルプレート」、チーズたっぷりのピザ、サイドディッシュには近隣で採れた羊蹄産フライドポテトなど、バラエティ豊かなメニューのなかから満足できる一品が選べます。

もちろん、地ビールも含めたアルコールメニューも豊富。

  • 醤油だれにしっかり漬け込まれたザンギで、ごはんが進む道産ザンギプレート

  • ニセコエリアを中心とした、道内産の地ビールもそろう

また、春シーズンのスキーを気軽に楽しめるよう、25時間券の販売や、レンタルの割引の実施も開始。

グラン・ヒラフをきっかけに、スノースポーツに親しむ人が増えるようにという願いも込められています。

  • グラン・ヒラフはコース総数22、総面積135ヘクタールと、ニセコエリアでも圧倒的な広さを誇る

寄宿舎を建設し、ニセコで働くスタッフの住居不足に貢献

また近年、ニセコのリゾートエリアはスキー場だけでなく、飲食店スタッフや交通事業者などの住まいが少ないことも地域の課題となっています。

そこで、自社だけでなく、ニセコエリア全体で働くスタッフの住居不足を解消するべく、スキー場近くに寄宿舎「NATURE NISEKO HIRAFU」を建設。

  • トレーラーハウスを利用することで工期を短縮し、12.5平方メートルの部屋が100部屋、25平方メートルの部屋が10部屋の、計110部屋を用意

全住戸内にトイレ、シャワー、テレビ、冷蔵庫、ベッドなどを完備。12.5平方メートルの部屋は、ちょうどホテルのシングルルームのようなイメージです。

  • リビングルームの窓から見える冬景色はとても幻想的

共用部にはキッチンや、利用者がくつろげるリビングルームのほか、洗濯乾燥室も。24時間レジレス完全無人売店も導入されているため、生活上、困ることはほぼありません。

  • 奥にキッチン、手前は食事ができるスペース

リビングルームには、役目を終えた「エース第2センターフォーリフト」をリメイクしたソファーベンチが置かれているのもユニーク。インテリアになじんでいます。

  • リフトを再利用したソファーベンチ

観光需要のめざましいニセコエリアでは、ホテル建設などさまざまな開発がおこなわれているため、春シーズン以降は工事事業者にも多く使ってもらう予定とのこと。

さらに通勤による渋滞の緩和にも寄与するべく、寄宿舎の居住者を対象に、倶知安観光協会が実施する"パークアンドバスライド"(自宅から駐車場まで車を利用し、駐車場からバスに乗り換えて職場に向かうシステム)の実証実験にも協力しています。

豪雪地帯だからこそできる、驚きの「雪発電」

そして驚くべきは、再生可能エネルギー技術の実証実験として、2023年度から、国内初・積雪を活用した発電事業にも取り組んでいること。

スキー場にはたくさん降ってほしい雪ですが、屋根や道路に降りすぎると事故の原因にもなります。

ニセコエリアには融雪システムが入っている道もありますが、大量のエネルギーを使うこと、そして国内の融雪装置は化石燃料由来のものであることから、環境負荷が高いところも問題視されていました。

  • 実証実験中の雪発電施設は、倉庫内にボイラー、スターリングエンジン、不凍液などを搭載

雪発電は、木質チップを燃やすバイオマスボイラーが「高温熱源」となり、その熱で溶けた雪によって冷やされた不凍液が「低温熱源」となって、両者の温度差でスターリングエンジンが上下運動をおこない、発電するという仕組み。

「温度差」で発電するという観点から見ると、雪も立派なエネルギー源。さらに、発電しながら雪自体を溶かすこともできる、とても画期的な技術なのです。

東急不動産は倶知安町と包括連携協定結び、サステナブルリゾート形成に向けた取り組みの一環として、廃校になった小学校跡地を借りて実証実験をおこなっています。

  • 東急不動産と共同で実証実験をおこなっている、電気通信大学の武内知也さん(左)と、福井紀彰さん

2024年度はエンジン容量を7.0kWにして、24時間最大出力で稼働したところ、168kWの発電ができました。

これは、冬季の一般家庭の使用電力約12軒分の電力量にあたります。実装できれば、豪雪地帯の電力をまかなう冬場の再生可能エネルギーとして、大いに期待されることでしょう。

さらに、この実験設備を設置している倉庫の屋根部分にも、融雪設備を設置。ニセコエリアは冬季、スキー客が多く来訪するため、水が不足しがちといった問題がありました。

そこで融雪水をろ過することで、雪解けを待たずして速やかに利用できる水を潤沢に確保する方法も検討されています。

  • 屋根の上の雪を溶かして、水を再利用

  • 発電施設の手前の土間にも融雪設備を設置し、屋根同様に融雪水を収集・ろ過実験中、温度も細かく計測

こちらもまだ実験中。最適なエネルギーの活用方法について、今後はオペレーションの自動制御化も含め、実装に向けて準備をしているところです。

スキー場とともに、この町を盛り上げていきたい

「ニセコの素晴らしい雪の恩恵にあずかりながら事業をさせていただいているので、この雪の素晴らしさをより多くのゲストに体感してもらい、『楽しかった』と思ってもらえるような環境整備を進めていきます」と話すのは、東急不動産の白倉弘規さん。

  • ゴンドラを降りて、滑る準備をする人たち

スキー場に活気があふれるということは、その町にも活気があふれるということ。

環境に配慮しながら持続可能なスキー場を整備し、スノースポーツファンのみならず、地元の人々とも一緒に冬のニセコエリアを盛り上げていきます。

●information
ニセコ東急 グラン・ヒラフ
北海道虻田郡倶知安町ニセコひらふ1条2丁目9-1