マイナビが運営するアルバイト情報サイト『マイナビバイト』は2024年4月より、高校生や専門学生向けに「アルバイト探しに関するセミナー」を開催している。
2月17日には、インフルエンサーなどを育成する「渋谷女子インターナショナルスクール」に通う在校生約10名を対象に授業を実施。
安全なアルバイト選びのポイント、闇バイトやブラックバイトに巻き込まれないための実践的な学びの機会を提供した。
PR案件のSNS発信、表記ルールは?
渋谷女子インターナショナルスクールに通う生徒を対象に実施された今回のセミナー。2コマ約90分にわたって、「SNS利用の注意点」「ブラックバイト・闇バイトの事例」「アルバイトの相談方法」が紹介された。
「渋谷女子インターナショナルスクールの皆さんの中には、SNSでの情報発信が身近で、利用頻度が高い方も多いと思います」とは、本セミナーで講師役を務めた林千尋氏。
SNS利用やインフルエンサーに多いトラブルとして、まず紹介されたのが消費者であるSNSユーザーに正しい判断をできなくさせる情報操作「ステルスマーケティング(以下、ステマ)」だ。
ステマは「利益提供型」と「なりすまし型」の2種類に大きく分けられるという。
「企業から金銭などを受け取りながら、広告であることを隠して宣伝するものが『利益提供型」。従業員など内部の人間が一般ユーザーになりすまして都合の良いレビューなどを発信する『なりすまし型』です。
商品サービスのカテゴリでは化粧品、サプリメントなどの健康食品に多い傾向があります。2023年10月からステマ規制が施行され、ステマは景品表示法違反に問われることになりした。違反した企業は社名が公表され、ペナルティが課されます」
ステマ規制は事業者のみを対象とするものだが、インフルエンサーなど情報発信側の信用問題にも当然つながる。
クチコミマーケティングの関係団体が定めたPR投稿の際の表記ルールである「WOMJガイドライン」では、「#プロモーション」「#PR」「#宣伝広告」などの関係タグを先頭に配置・明示することを推奨しているという。
「女子高生のアルバイトで多いトラブルには、過度な推し活などのための働きすぎや人間関係トラブルも少なくありません。中には高収入を求めるあまり、危険なアルバイトに足を踏み入れてしまったり、労働基準法に違反するブラックバイトと言われる環境で働き続けることで学校生活に支障をきたしたりする場合などもあります」
性別による採用後のポジション限定は労働契約法の違反。給与の未払い・遅滞や、売れ残り商品の買い取りの強制なども労働基準法の違反となる。
また、女子学生のアルバイトではセクハラなどの報告も少なくない。そうした事態に遭遇した場合は周囲の信頼できる大人へすぐに相談するようレクチャーされた。
携帯電話契約の名義貸しに注意
本セミナーでは女子高校生が陥りやすい事例をもとに、闇バイトの問題についても伝えられた。
マイナビ「高校生のアルバイト調査(2024年)」では、高校生の約2人に1人がSNSで怪しい求人を見かけたことがあり、3人に1人以上がSNSでアルバイトに応募したことがあると回答しているという。
特に学生が狙われやすい闇バイトの一つに、携帯電話契約の名義貸しがある。
携帯電話を携帯電話会社に無断で第三者に譲渡することは「携帯電話不正利用防止法」で禁止されており、特殊詐欺などに携帯が使われた場合などは、名義を貸した本人も罪に問われる可能性がある。
「SNSなどネット上で人を募る闇バイトは、『電話するだけ』『荷物を運ぶだけ(受け取るだけ)』など簡単な作業を思わせるものが募集内容としては多くあります。最近では埼玉県の女子高校生4人が『闇バイト』に応募して特殊詐欺に関わり警察に検挙されたニュースもありました。
携帯の名義貸しが入り口となって、個人情報を引き出して脅されるというかたちで『辞めたくても辞められない』状況に陥り、さらに重たい罪を重ねていってしまうことになります」
その後に行われたグループワークでは、闇バイトに関わった場合、家族や友人にどのような影響が及ぶのか、誰に相談するのが適切かについて、生徒同士で意見を交換した。
アルバイト探しなどでは、雇う側の法律遵守の意識やスタンスを見極めることが最も基本的で大切だ。
「SNS上の求人では、年齢や性別による制限が設けられていることが多く、また、採用前の応募段階で免許証や学生証の提出を求められる場合も注意が必要です。ときには自宅に入る動画や、自宅の表札前で撮影した顔写真を求められる場合もSNS上の求人募集ではあります。
また、アルバイトの求人では、面接を行う採用担当者が必ず存在しますが、採用担当者の人物とSNSなどのやりとりだけで完結する場合も注意してください」
闇バイトを疑ったとき、もしも関わりを持ってしまった場合は一人で抱え込まず、すぐに警察の相談ダイヤル「#9110」へ相談するように指南した。
「アルバイトに関する悩みの相談は、マイナビでもアルバイトサポートという窓口があり、LINEや電話などで気軽に相談していただけます。アルバイトでのお困りごとがあれば、気軽にご相談いただければ」
『マイナビバイト』では本取り組みを通じて、SNSを活用する高校生が正しい知識を身につけ、安全なアルバイト選びを行う一助となることを目指していくとする。