JR北海道は19日、インバウンド増加の現状と、それに伴う対応策について発表した。昨年12月以降、新千歳空港を発着する国際線の便数増加と円安の影響を受け、12月と1月に道内完結型レールパスの売上が枚数・金額ともに過去最高を記録したという。
とくに中国からの訪問者数が大幅に増加し、札幌駅や新千歳空港駅のインフォメーションデスクでは中国人利用者が1月の来店客数の半数を占めた。「札幌~富良野エリアパス」の販売枚数は前年比235%増となり、夏のラベンダーシーズンを上回る需要を記録している。これにより、新たな観光トレンドが形成されつつあるとJR北海道は分析している。
主要駅におけるインバウンド旅客の動向としては、札幌駅や新千歳空港駅でのレールパス引換客の急増、札幌駅の券売機とホームの混雑、小樽駅と南小樽駅の利用者増加などを挙げた。札幌圏が小雪だった影響で、雪を求めて岩見沢や美唄を訪れる外国人観光客が増加したほか、札幌近郊の朝里駅、銭函駅も海岸での写真撮影を目的に、多くの外国人訪れている。札幌近郊以外では、登別駅と洞爺駅、富良野線沿線の美瑛駅と美馬牛駅も混雑しているという。
こうした状況を受けて、JR北海道はソフト面とハード面の両方で対応策を実施する考えを示した。ソフト面では、札幌駅と新千歳空港駅を含む9駅で通訳案内スタッフを増強し、朝里駅や銭函駅など9駅でホーム警備員を配置または増強する。ハード面では、富良野線と函館本線の普通列車で車両を増結し、倶知安駅にクレジットカード対応の券売機を新設する。
1月23日、朝里駅近くで線路内に立ち入った外国人観光客が列車にはねられ、死亡する事故が起きたことを受けて、多言語対応の注意看板の更新と増設も進めている。具体的には、朝里駅隣接の踏切2カ所に設置していた多言語の注意看板を更新し、「死亡する可能性」という表現を「死亡事故発生」に、「立入禁止」を「厳禁」にそれぞれ改め、違法であることを追記するなど、より強い注意喚起を行う内容に変更した。あわせて警備員の増員と多言語の車内放送による注意喚起、注意喚起ポスターの掲出も行うとしている。