東日本旅客鉄道は2026年春、高付加価値型ホテル「AZUMA FARM KOIWAI」を岩手県小岩井農場に開業する。

宿泊施設を基点とした価値創造事業へのチャレンジ

JR東日本グループは、移動の新たな価値創造としてクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の運行により、四季折々の鉄道ならではの上質な旅の提供を通じて、地域の様々な魅力を発信してきた。

今回、地域固有の風土・文化を活かした高付加価値な旅や観光を体験できる「一人ひとりの移動の目的(地)づくり」として、新たに宿泊施設を基点とした価値創造事業を展開することで、グループとしての取り組みを加速させる。小岩井農場での本事業を1つのモデルとして、国内の他のエリアでの展開も目指す。

  • 新たな日本の価値を創出

新ホテルブランド「AZUMA FARM」

本取り組みの推進にあたり、世界的ホテリエであるAdrian Zecha(エイドリアン・ゼッカ)氏が率いるAzumi Japanと協業し、新しいホテルブランド「AZUMA FARM」を2025年1月に立ち上げた。同ブランドは、東方の地を表す、日本語の「東(アズマ)」に由来し、日本に残る山々や森を守り、生かし、次代に残していくため、今後益々重要となってくる食や農を軸とした「ファームライフ(FARM LIFE)」の体験を提供する新たなリゾートブランド。

「AZUMA FARM KOIWAI」の計画地

小岩井農場は、日本の鉄道の父と言われる井上勝らが、未開の原野に広大な農牧場を拓いた。そして約130年にわたり、酪農や林業により、美しい風景が形作られてきた。このように人々の営みによって大切に守られてきた大自然の魅力と、岩手山の圧倒的なランドスケープを持つこの土地を、小岩井農牧との連携により、新ブランドホテル第1号の計画地とした。

  • 岩手山を望む計画地(小岩井農場)

  • 位置図・配置図(Z17LE第1040号、Z17LE第1041号 (C)Mapbox (C)OpenStreetMap (C)LY Corporation)

コンセプト

同ホテルのコンセプトは「A Down To Earth Farm Stay」(大地を感じるファームステイ)。本来の「A Down To Earth=地に足のついた」という意味から派生し、「エコ」、人や社会、地域、環境に優しい選択をすることを意味し、自然と人の営みが調和する豊かな時間を過ごすためのファームステイを小岩井農場で提案する。24室の宿泊棟に加え、敷地内には地域の豊かさを最大限感じられるレストラン・ラウンジ棟のほか、自然に包まれた空間で心身の充足を満たす薪ストーブを備えたプライベートサウナ棟を備える。また、農場で産出された木材を建築に活用し、ランドスケープに溶け込むデザインとする。

  • AZUMA FARM KOIWAI

新たな体験価値創造

農場の豊かな自然や文化を体験するアクティビティや、新鮮な乳製品の提供に加え、周辺エリアや東北各地とも連携し、自然・食・産業・伝統等様々な地域の魅力を提供する。

あわせて、新しいモビリティ体験として、SkyDriveが早ければ2026年に機体の型式証明(国による安全及び環境基準の合格証明)を取得し、その後準備を経て商用化をめざしている「空飛ぶクルマ」を活用し、盛岡~ホテル間の送迎、ホテル・周辺観光のツアーを行うことを検討している。

  • 「空飛ぶクルマ(SKYDRIVE SD-05型)」の飛行可能範囲(イメージ) Z17LE第1040号、Z17LE第1041号 (C)Mapbox (C)OpenStreetMap (C)LY Corporation)

新会社の設立

JR東日本は、Azumi Japanとの共同出資により、ホテルブランドの創設および、ホテル運営を行う会社を設立し、あわせて、JR東日本グループの仙台ターミナルビルは、ホテル経営会社「JR STB小岩井開発」を設立する。

  • 新会社の概要