日産自動車が商用バン「NV200バネット」に車中泊特化モデル「マイルーム」を追加した。このクルマ、既存の「キャラバン マイルーム」とは何が違うのか。どんな人におすすめの1台なのか。「ジャパンキャンピングカーショー2025」(会場:幕張メッセ、会期:1月31日~2月3日)で実物をじっくり確認してきた。
NV200バネットがマイルームシリーズに選ばれた理由
日産のマイルームは「お気に入りの部屋ごと自然の中に持ち込んでリラックスできる、新たな車中泊のカタチ」がコンセプトだ。
「NV200バネット マイルーム」のベースとなる「NV200バネット」は5ナンバーサイズの商用バン。高い積載性に加え、「インテリジェント DA(ふらつき警報)」や「踏み間違い衝突防止アシスト」など安全装備が充実しているのが特徴だ。ビジネスユースからアクティブユースまで人気が高い。
なぜ「NV200バネット」をマイルームのベース車両に選んだのか。日産担当者によると「(キャラバンと比べて)乗降性が良く、駐車しやすく、運転しやすいサイズ」であることが理由だという。
「キャラバンのサイズ感だと、乗車する際によじ登るような形になってしまう方もいらっしゃいますし、都市部での運転に困る方もいらっしゃるはずです。その点、NV200バネットは普通に乗降できますし、都市部であっても乗りやすいので、女性でも使い勝手のいいサイズ感だと思います」(以下、カッコ内は日産担当者)
「NV200バネット マイルーム」のボディサイズは2WDモデルが全長4,400mm、全幅1,695mm、全高1,860mm、4WDモデルが全長4,410mm、全幅1,695mm、全高1,870mm。「キャラバン マイルーム」と比べて一回りコンパクトなサイズ感だ
一方、サイズが小さいことにより、荷室(居室)の広さを確保する上では難しさもあったという。
「キャラバンは後部のスペースに余裕があるので、思うままに使えました。しかしNV200バネットは、全長に対して運転席部分が長く取られているので、乗り降りがしやすい分、後部スペースはキャラバンに比べて余裕がありませんでした」
実際に「NV200バネット マイルーム」と「キャラバン マイルーム」の荷室内側寸法(長)を比較すると、NV200バネットが965mmであるのに対し、キャラバンは1,765mmとなっている。これだけ違えば使えるスペースに差が出て当然だ。
そこで「NV200バネット マイルーム」には、広さのハンデを克服する工夫を随所に盛り込んだ。
キャラバン マイルームとの違いは?
実際に実車を見ながら、「NV200バネット マイルーム」に施された工夫を確認していきたい。
担当者がポイントのひとつに挙げたのが、スライドドア内側に配された「スライドドアトリムボード(木目調)」だ。これにより、ドアを閉めた時に木目調フロアから続く一体感を演出するとともに、「キャラバン マイルーム」と同等の木の伸びやかさを表現できたという。
「NV200バネット マイルーム」ではコンセントをむき出しにせず、車体後部に備わる「配線付サイドボックス」内に格納しているのもポイントのひとつ。限られたスペースを有効活用するとともに、移動する際などに配線が引っかからないようにする工夫だ。
バネット? キャラバン? マイルームの選び方
2車種に増えたマイルームシリーズだが、ユーザーはどのように選べばいいのか。聞いてみたところ、「何日も車中泊をするようなヘビーユースを想定しているのなら、車内が広く余裕のある『キャラバン マイルーム』がおすすめです。日帰りや車中泊をしても1泊程度であったり、普段使いも充実させたいというライトユースが目的なら『NV200バネット マイルーム』がいいと思います」とのことだった。
「NV200バネット マイルーム」の価格は「ベッド架装タイプ」が464.31万円、「平置きベッドタイプ」が497.76万円。現在はベース車両の在庫が確保できており、早期注文の場合は2025年5月下旬ごろが納車の目安になるとのことだった。