トレジャープロモートが運営する「株の学校ドットコム」は1月31日、2025年の株式相場への展望に関する調査結果を発表した。調査は2024年12月31日、全国の株式投資に取り組む個人投資家800人を対象にインターネットで行われた。
株式投資の経験年数
今回の調査に参加いした個人投資家800人の株式投資の経験年数は、最も多いのが「20~30年未満」の19.1%、次いで「10~20年未満」の18.6%、以下、年数が短くなるほど割合は減っていくが、「1年未満」の9.8%と「30年以上」の3.9%を除けば15%を超えており、おおむね均等に分かれている。
2024年株式投資の損益
2024年の株式投資の最終的な損益(プラスかマイナスか)を経験年数別で分析したところ、「1~3年未満」の人では実に91.9%がプラスと回答した。プラスの割合は経験年数が長くなるほど減っていき、「30年以上」の人では80.6%で、「1~3年未満」の人とは11ポイントもの差があった。
ただ、損益額を見ると少し様相が異なる。2024年の利益が「+1000万円以上」と回答した人の割合が最も高かったのは、経験年数が「30年以上」の人で16.1%だった。続いて「20~30年未満」の人では13.7%。これに対して、「1~3年未満」の人で利益が「+1000万円以上」と回答したのは4.1%に留まった。
経験年数が30年を超える人では、「+500万円~+1000万円未満」の12.9%とあわせて、約3割の人が年間利益500万円以上を達成していることがわかる。その一方で、多額の損失を出している人が多いのも「30年以上」の人たちで、「-1000万円以上」と回答した人は6.5%だった。
株式投資のストレス度合い
2024年の株式投資に対するストレスについて、「0(ストレスは全くない)」から「10(ストレスが極めて大きい)」までの数値で回答してもらったところ、「7」以上の比較的高いストレスだったと回答した人の割合は、経験年数「20~30年未満」の人が最も高く24.9%、続いて「3~5年未満」の人が24.8%だった。
ただ、どの経験年数でも20%前後の人が比較的強いストレスを感じており、経験を重ねてもストレスが大きく減るわけではないようだ。その反面、ストレスが「0」だったと回答した人は「1年未満」の人の23.1%に対し、最も少なかった「3~5年未満」の人では6.4%と3倍以上の差が開いた。
初心者ながら「0」と回答した人たちは、なぜストレスを感じずに済んだのか。反対に「7」以上を選んだ経験者は、具体的にどんなことにストレスを感じていたのか。それぞれ理由を尋ねた。
ストレス「0」の理由
- 「投資歴が短いのでまだ特にストレスはない」(51歳・女性/1年未満)
- 「それほど多額の投資をしていないため」(54歳・女性/1年未満)
- 「相場が良く、マイナスになることも少なかったから」(49歳・女性/1年未満)
- 「含み損はあるものの、目的はあるし、それなりに楽しいから」(56歳・女性/1年未満)
- 「自分のスタイルで投資をして結果を残せているから」(34歳・女性/1~3年未満)
- 「マイナスがほとんどないから。長期運用するので、現在の株価はほとんど気にしていないから」(29歳・男性/1~3年未満)
- 「株式を絞り込んでおり損失が出ても利回り的に得、あるいは配当がいい物を選んでいる」(64歳・女性/1~3年未満)
ストレス「7」以上の理由
- 「年の後半は予想が外れる事が多く、損益計算では損切りも多かった。通算ではなんとか+になった程度で苦戦させられた」(38歳・男性/10~20年未満)
- 「夏に投げ売りして大失敗した」(43歳・女性/10~20年未満)
- 「利益が出ると思って買った株が思いも依らない価格になってショック」(58歳・女性/10~20年未満)
- 「毎日株価の変動があるので、それに応じて心が揺れ動くので。特に8月のような暴落ではその揺れ幅が大きくなるので、ストレスを感じてしまう」(60歳・男性/20~30年未満)
- 「バブル期の日経平均を上回っても保有している株式は全く上がらないどころか下がっているから。配当はあるものの、全体的に持っているのが苦痛に感じる」(58歳・女性/20~30年未満)
2025年の展望
2025年の日本株の展望については、経験年数の長さにかかわらず、「横這い」と回答した人が最も多い結果となった。「上昇する」「大きく上昇する」という回答が多かったのは「5~10年未満」の人で40.5%。反対に、「下落する」「大きく下落する」が多いのは「30年以上」の人で32.3%だった。
そんな2025年の株式投資で、どんな利回りを目指しているのか。この質問に対する回答でも、経験年数による違いはあまり見られず、多くの人が「3%」「5%」と回答している。その中で、経験が最も浅い「1年未満」の人は、「3%」という回答が38.5%と特に多くなっている。
経験者ほど損をし、初心者ほどストレスがない理由
株式投資の経験年数が長くなるほど、2024年の株式投資で損失になってしまった人の割合が増える、という結果になった。ストレス度合いを見ても、経験を積んだ人ほど高いストレスを感じていたのに対し、特に経験年数が「1年未満」の人では、リスクの少ない投資手法を選んだり投資額が小さかったりすることもあって、経験を積んだ人よりもストレスを感じずに済んでいる傾向にあった。
この結果を受け、調査では以下のように分析している。
「これは、日経平均株価がバブル期以来34年ぶりに史上最高値を更新して4万円台に突入したかと思えば、夏場に急落が起きて、年末にかけて再び4万円をうかがうという激しい展開を見せた2024年相場だからこその結果と言えるのかもしれない。経験者ほど、過去の記憶も踏まえてあれこれと動いた結果、かえって損失になった人も多く、初心者はリスクを減らして見守ったことで、うまく利益を取れた……という見方もできそうだ。ただし、経験の長い人ほど大きな利益を得ていることも、今回の調査からわかる。経験だけに頼らず、目の前の相場をしっかりと分析して対応できた経験者は、より大きな成功を手にしたのではないだろうか。実際、経験年数に限らず8割以上の人は損益がプラスになっており、多くの人が株式投資に成功した1年だった」