夜の東京国立博物館に巨大恐竜の群れが現れて、二夜限りの大行進をするんですって。意味がよくわからないかもしれませんが、本当です。9月27日と28日、つまり今夜と明晩、超リアルな恐竜型メカニカルスーツ「DINO-TECHNE」による体験型恐竜ライブショー「恐竜大夜行」が開催されるのです。筆者はこのイベントの開催を知った7月から秘かに心待ちにしていたのですが、念願が叶って本番前日の公開リハーサルを取材することができました。

  • 東京国立博物館で「恐竜大夜行」が開催される

トーハクの中庭で、恐竜と一緒に原始の雄叫びを!

日本を代表する博物館を舞台に、巨大な恐竜たちが大パレードし、観客と恐竜が共に“未来に向かって野生の雄叫び”を上げるイベント、「恐竜大夜行」。前代未聞のこの企画の発端は、2022年に東京国立博物館(以下トーハク)が創立150年記念で開催された「150年後の国宝展」で、“150年後まで伝えたい現代の国宝候補”に、今回のイベントの主役となる「DINO-A-LIVE(ディノアライブ)」の恐竜たちが選ばれたことでした。

  • トーハクの庭の巨木「ユリノキ」の妖精が、恐竜たちを黄泉の国から呼び招す……というストーリー

この日のリハーサルは、恐竜たちの生みの親でありトーハクの公式アンバサダーも務めるON-ART社の金丸賀也さんが本館前に設置されたステージに登場し、“野生の雄叫び”をあげる練習からスタート。「共に原始の雄叫びを、えーい、えーい」というかけ声に、リハーサルの招待客たちが「おー!」と雄叫びで呼応します。「太古の音とユリの木によって恐竜たちが呼び覚まされます。摩訶不思議な夜を楽しんでください!」という金丸さんの挨拶の後、ステージでは和太鼓のパフォーマンスが始まりました。

  • 「HA・YA・TO PROJECT」による和太鼓パフォーマンスで、会場のボルテージが徐々にあがっていく

中庭に響き渡る和太鼓のリズムが体の奥まで振動のように届き、太鼓のリズムと重低音が心臓の鼓動に呼応するように、こちらもだんだんトランス状態になってきます。太鼓の音で太古の記憶を呼び覚ます……という狙いにまんまとハマってしまったみたい。

やがて東洋館の方から一頭、また一頭、恐竜たちの姿が現れると、観客席から歓声が。「もし恐竜が目の前に現れたら、私たちはどんな風に感じるだろう?」というコンセプトのもと開発された恐竜型メカニカルスーツは、本物の恐竜が生きて動いているとしか思えないほどのリアルさです。

ダイナミックに動きまわり、尻尾を自在に動かし咆哮をあげながら、咬みついてやるぞとばかりに眼前に迫ってくる恐竜たちは、目も歯も質感も動きも、頭からしっぽの先まで何もかもがあまりにリアル。もし「恐竜型メカニカルスーツ」という前情報なしで恐竜を見た人は、ジュラシックパークに迷い込んでしまったか、あるいは中生代白亜紀からタイムスリップして本物の恐竜が現代に蘇った!? と錯覚してしまうかもしれません。この日登場したのは全長8メートルのティラノサウルスやギガノトサウルス、全長7メートルのトリケラトプスやステゴサウルスなど10種類、21頭の恐竜たち。

初めてみる光景に興奮し、あちこちから歓声や悲鳴が聞こえてきます。最初は遠慮がちだった「おー」の声が、会場のボルテージが高まるにつれ、恐竜たちの咆哮に共鳴して「オーーーー!!!」という熱狂的な雄叫びに。リハーサルながら、トーハクの中庭が興奮のるつぼと化したのでした。

この「恐竜大夜行」、雨天の場合は中止または「雨天強風バージョン」での開催となることが事前に告知されており、当日の天気が気がかりですが、DINO-A-LIVE(ディノアライブ)の公式Xによると、27日の上演の中止はないそうで、ひとまずホッ。ただ、リハーサル同様に中庭でパレードを行う「晴れバージョン」になるか、恐竜たちが博物館の軒下に「行動展示」される「雨バージョン」となるかは、直前の決定になるとのこと。

どうかどうか、中庭での大パレードが実現しますように。そして願わくば近いうちにまた、トーハクの中庭を闊歩する恐竜たちに会えますように……。