続々と新勢力が登場する特定小型原動機付自転車(特定小型原付)の世界にまたまたニューモデルが加わった。次世代モビリティの開発・販売を行うFutureの「FUTURE board 2」という商品だ。キックしないキックボードとのことだが、どんな乗り物? 実車を確認してきた。
航続距離はフル充電で最大200km!
「FUTURE board 2」はバイクのように座って乗る着座タイプの電動キックボードだ。Futureの販売代理店がオンラインで販売する。価格はオープン価格だが、予約販売が始まっているFutureの販売ページでは43.78万円~となっていた。
シートが付いているので、キックボードというよりは簡素な原付といったスタイルの「FUTURE board 2」。大きな特徴は長い航続距離だ。
搭載するモーターは48V(600W)のブラシレスモーター。使用するスーパー大容量バッテリーの出力は48V/30Ahだ。バッテリー1個あたりの航続距離は100kmで、2個同時に搭載できる。つまり、最大航続距離は200kmとなる。ちなみに、郵便配達などで活躍している三菱自動車工業の軽商用電気自動車「ミニキャブ EV」の航続距離は180kmだから、バッテリー走行で200kmといえばかなりの距離だ。
物流のラストマイルでの活躍にも期待!
なぜ、着座タイプで航続距離の長い「FUTURE board 2」を開発するに至ったのか。Future代表取締役CEOの井原慶子さんの説明によれば、背景には社会課題も大きく関係しているようだ。
脱炭素が大きな社会テーマになるなかで、営業や配達などで使うモビリティをEVに置き換えて脱炭素に貢献したいと考える企業が増えている。しかし、これまでに出ている特定小型原付は航続距離が短いタイプが多く、1日を通して仕事で運用するのはなかなか難しかった。
また、配達業務の求人においては、自動車の運転免許を持たない人からの応募が増えているとのこと。16歳以上であれば免許不要で乗れる特定小型原付を配送に使えれば、そうした求職者たちを雇い入れることが容易になる。
とはいえ、よくある立って乗るタイプの電動キックボードで荷物を運ぶのはかなり大変。走り出す際に地面をキックしなければいけないので、女性や年配者からは「バランスが取りづらく乗るのが難しい」との意見もあるそうだ。
こうした課題を踏まえて開発したのが、着座タイプで航続距離の長い電動モビリティ「FUTURE board 2」だ。
例えばバッテリーを2つ載せて200kmの走行距離を確保してもいいし、1つは充電しておいて、午前の業務が終わったらバッテリーを交換して午後のルートを回るという使い方も可能だ。着座して安定した状態でアクセルを開ければ誰でも安全にスタートできるから、乗る人も選ばない。
肝心の乗り味は? 都内で試乗
ここからは試乗してわかった乗り味も交えながら車両を紹介していきたい。
モーターの起動方法は、ハンドル右に備わるスイッチを長押しするだけ。非常にシンプルだ。モーターが起動したら、走行モードを選択すれば準備はOK。
今回はバッテリーを1個搭載した「FUTURE board 2」で30分ほど都内を試乗してきた。
実際の走り出しも説明の通り、着座しているため安定感が抜群。ただ、車両重量の関係なのか、少々パワー不足のように感じられた。試乗後、伊原さんに確認してみると、「地域によって走り出しに不安を覚える方もいることから、(加速は)あえて抑えている」とのこと。原付のようなスタイルもあって期待が高かった分、少々残念に感じられたポイントだ。
残念といえば、シートの問題なのか少し走ったらお尻が痛くなった。仕事で長時間使うことも想定される乗り物なので、オプションでクッション性の高いシートを用意してくれれば喜ぶ人も多いのではないだろうか。