いよいよ残り2週となった連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)。このたび脚本を手掛けた吉田恵里香氏にインタビューし、全130回を書き終えた心境や本作に込めた思いを聞いた。

  • 『虎に翼』主人公・寅子役の伊藤沙莉

連続テレビ小説(朝ドラ)第110作となる『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした主人公・佐田(猪爪)寅子の人生を描く物語。伊藤沙莉が寅子を演じている。

脚本を手掛けた吉田氏は「最後までずっと楽しく書けました」と話し、「終わらないでほしいという気持ちと、やっと最後まで書き切ったという気持ち。役者さんスタッフさん含め、すごく恵まれた現場で、ストレスなく楽しく書けました」と脱稿した心境を説明。

もっとこの物語を書きたい気持ちがあるそうで、「もう1クールぐらい書けたらよかったなと思っています(笑)。やり切ってすごく満足しているし、出し切ったんですけど、やれなかったこととか、あの人のこともうちょっと深掘りできたなという気持ちがあるので、あと3カ月ぐらいあってもよかったなと思って書きました」と語った。

第1回の冒頭にも登場するなど、日本国憲法第14条の「法の下の平等」に重きを置いて描かれている本作。山田よね(土居志央梨)と轟太一(戸塚純貴)の法律事務所の壁にも憲法14条が書かれている。

吉田氏は「日本国憲法を最初から最後まで読んで心に響いたのが私は14条で、これが公布されたら当時の方は宝物のように感動するだろうなと思いました。今の私たちにとってもすごく大事なことだけど、本当にこれが世の中、果たされているのかなというか、横に置かれていないかなと気持ちが大きかったので、14条だけでも覚えて帰ってください、14条だけでも思い出してくださいという気持ちで、冒頭など、ことあるごとに出しています」と14条を強調した理由を説明。

「週を重ねて、様々な題材を取り扱っても、そこに戻るんですよね。ここまで14条を最後まで扱うとは自分でも予想外でしたが、話を書いているとそこに来てしまうので、人らしく生きるための根底、スタートラインにあることなのではないかなと思っています」と14条の大切さを述べ、「せめてこれだけでも守られる世の中になったらいいなという思いを込めて書きました」と語った。

よねが壁に14条を書くという演出は吉田氏もお気に入りだそうで、「私は『壁に貼ってある』と書いたんですけど、まさか壁に描くとは(笑)。よねなら書くか! と思ったので、すごくいい演出だなと思いました。あれがずっと残っていることで象徴として使われているのですごく好きな美術です」とうれしそうに話した。