いよいよ残り2週となった連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)。このたび脚本を手掛けた吉田恵里香氏にインタビューし、主人公・寅子の口癖「はて?」が生まれた経緯や狙い、主演の伊藤沙莉の魅力について話を聞いた。

  • 『虎に翼』主人公・寅子役の伊藤沙莉

連続テレビ小説(朝ドラ)第110作となる『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした主人公・佐田(猪爪)寅子の人生を描く物語。伊藤沙莉が寅子を演じている。

吉田氏は寅子の口癖「はて?」について、「寅子が何か疑問を口に出すときの決まりというか、この子は今何か疑問に思ったんだな、おかしいと思ったんだなということをわかりやすく提示できる言葉がほしいと思って考えました。誰かを否定したり攻撃したりしたくて使っている言葉ではないので、『それどういう意味ですか?』とか『は?』とか言ってしまうと、そこで会話が終わってしまう。この作品のテーマとしても、対話をする、思ったことを口に出していくというのがあるので、それができる導入になればいいなと思いました」と説明。

「世の中の人たちも、冗談交じりでもいいので、ちょっと思ったことがあったときに『はて?』と言ってもらって、この人何か思っているんだなというワードになれたら素敵だなと思います」と期待を寄せている。

本作では、寅子の口癖である「はて?」と「スンッ」の劇伴も誕生し話題に。吉田氏は「『はて?』と『スンッ』の曲ができるなんて思ってなかったです。セリフから劇伴ができるというのはなかなかない体験なので、いい経験をさせていただいたなと思います」と喜んでいる。

ちなみに「はて?」は吉田氏の口癖ではないそうで、「使わないです」と笑っていた。

伊藤沙莉の演技や人柄を絶賛「立っているだけでも感情が見える」

また、日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ女性を力強く、そして表現力豊かに演じている寅子役の伊藤について、「本当にお芝居が素晴らしい。しゃべりの演技も素晴らしいですし、立っているだけでも感情が見えるし、喜怒哀楽の表現が芸に達するぐらい表情筋が発達されているなと思います」と絶賛し、「伊藤さんならやってくれるだろう、伊藤さんなら嫌われずにいけるだろうという気持ちを込めて書いていた部分があります」と明かす。

また、年齢を重ねた寅子の演技にも魅了されているそうで、「泣きの演技も素晴らしいですが、大人になった寅子の演技がすごくいいなと。18歳から演じているので、やろうとするともっと大人っぽい演技になりがちなのかなと思いますが、やりすぎず、話し方は若々しいけど所作や眼差し、微笑み方で年齢を演じ分けていらっしゃるので素晴らしいなと思っています」と褒め称えた。

伊藤の人柄も称賛。「私はNHKさんでけっこう執筆していたので、割りと現場に顔を出させてもらったほうかなと思いますが、いつ行っても伊藤さんはにこにこしていて、伊藤さんの笑い声がして、伊藤さん今日も元気だなと。話をしても『楽しいです』『このシーンすごくよかったです』とおっしゃってくださって。もちろん座長だからそういう風に演じていることもあると思いますが、ピリピリしていることが1回もなかった。多くのものを背負いながら戦っていらしたはずなのに、本当にすごい人だなと思っていますし、お話させていただいても私が元気になるので、周りを笑顔にしてくれる才能のある人だなと思っています」と語っていた。

■吉田恵里香
1987年11月21日生まれ、神奈川県出身。脚本家としての代表作はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『花のち晴れ~花男 Next Season~』『君の花になる』、映画『ヒロイン失格』『センセイ君主』『ホリック xxxHOLiC』など。小説『脳漿炸裂ガール』シリーズは累計発行部数60万部を突破するなど、映画、ドラマ、アニメ、舞台、小説等、ジャンルを問わず多岐にわたる執筆活動を展開している。ドラマ『恋せぬふたり』で「第40回向田邦子賞」を受賞した。

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