JR西日本と日本旅行、京都鉄道博物館は、新たな観光列車「はなあかり」(キロ189系)の先行見学会と車両展示を京都鉄道博物館で実施する。8月29日、先行見学会に先立ち報道公開が行われた。10月5日から敦賀~城崎温泉間で第1弾の運行を開始する予定となっている。
「はなあかり」は特急「はまかぜ」などに使用されるキハ189系を改造した3両編成・全車グリーン車(1号車から「キロ189-8005」「キロ188-7005」「キロ189-7005」)の観光列車。特急「やくも」の新型車両273系や「WEST EXPRESS 銀河」などを手がけたイチバンセン代表取締役、川西康之氏がコンセプトとデザインの監修を担当した。
コンセプトは「地域の華を列車に集め、お客様と地域の縁を結ぶ列車」。エリアを変えながら西日本各地を運行し、全席グリーン車以上のハイグレードで優雅な旅を届ける列車となる。第1弾として、「北陸デスティネーションキャンペーン」(10~12月開催)に合わせ、10月5日から敦賀~城崎温泉間(JR小浜線、京都丹後鉄道宮舞線・宮豊線など経由)で約5時間かけて運行する。
「はなあかり」のエクステリアは、袴などの紋付き染めで最高級とされる「檳榔子染め(びんろうじぞめ)」の色をベースとし、沿線の自然と風景、駅舎に映えるデザインに。車両周りに金色のツタをあしらい、「地域とのつながり」「お客様との縁」が結ばれることを表現した。
インテリアは日本の四季を彩る草花をモチーフに華やかな和の色彩を展開し、優雅な旅を楽しめる空間としている。1号車の「スーペリアグリーン車」は、2名用の個室を10室配置し、快適な「籠」のような車内空間に。グリーン車よりグレードの高い設備で、広くゆったりと過ごせる。特別な座席も用意しており、ゆったりとした本皮シートで、座る位置によってさまざまな姿勢で過ごすことも可能。大きなテーブルとコンセント等を設置するほか、飾り棚のさまざまな演出や沿線各地の工芸品・アート作品等で旅の時間を盛り上げるという。
2・3号車はグリーン車で、快適な「広間」のような車内空間に。360度回転する独立した座席(1列+1列)を配置するほか、ゆったりくつろげる広いボックス席(2名用、3~4名用)も用意した。2号車にサロンも設置。2号車は誰でも利用できるフリースペースとして活用され、特産品販売・イベント等でも使用されるとのこと。グリーン車においても、「一期一会の対話」がはずむように、大きなテーブルや沿線各地の工芸品・アート作品等をそろえた。
車内の調度品に関して、「スーペリアグリーン車」(1号車)に「出雲たたら製鉄一輪挿し」(島根県)、グリーン車(2・3号車)に「高岡銅器一輪挿し」(富山県)、各号車に「京織物おじゃみ座布団」「京組紐タッセル」(京都府)を常設。第1弾の運行区間に合わせた調度品も用意し、スーペリアグリーン車の飾り棚に「越前和紙フラワーアート」(福井県)と「丹後テキスタイルアート」(京都府)、各号車に「越前和紙フラワー」(福井県)を配置する。地元ならではの食材を使用した弁当とスイーツのセットを事前予約限定で販売し、駅や車内でおもてなしも予定しているとのこと。
報道公開は8月29日の午前中に行われ、京都鉄道博物館の本館1階「車両のしくみ / 車両工場」エリアへ「はなあかり」が入線するシーンを公開。入線の際、童謡「ちょうちょう」のメロディも披露され、停車駅でおもてなしを行った後、車内へ戻る際に流れる曲とのことだった。
「はなあかり」の落成を記念したセレモニーに続いて、外観と車内(1・2号車のみ)を撮影。限られた時間ではあったが、273系や「WEST EXPRESS 銀河」などに通じる川西康之氏ならではのデザインを体感できた。10月からの敦賀~城崎温泉間だけでなく、西日本各地の海沿いを走る区間や山間部のローカル線など、どの路線を走っても似合う列車になるのではないかと感じた。