――お二人が演じるマックス・ミッチェルとコール・エリスは、「変幻自在でキュートな天才詐欺師と左遷された元刑事」という役どころですが、お互いの役に対する印象は?

早見:木島さん演じるエリスは、何事にもまっすぐ真摯に向き合う誠実な人なのですが、アツいがゆえに、空回りしてしまうというか……周りから浮いてしまうような不器用さも持ち合わせているんですよね。ですが、天真爛漫なマックスの影響もあってか、ストーリーが進むごとにだんだんとノリがよくなってきているのを感じています(笑)。

木島:そうそう! いきなりビーチを走っていって、サーフィンをし出す場面とかね。

早見:そうなんですよ! てっきり堅物キャラなのかと思いきや、意外と遊び心もある人なのかもしれないなと(笑)。

木島:ジャンニオッティさん自身もたしか音楽をやられたりもしていて、遊び心に長けている人のような気がするので。そういった面を、マックスが徐々に引き出してくれているのかもしれないですね。

――エリスから見たマックスはどんな人物ですか?

木島:エリスにしてみれば、最初は、とんでもない貧乏くじを引いてしまったというか。「なんでこの俺が、こんな詐欺師の女とバディを組まなきゃいけないんだ!」というところからスタートするんです。第一印象は、もはや"最悪"と言ってしまっても差し支えがないくらいのものだったと思うのですが、でもだからこそ、これ以上マックスに対する評価は下がりようがないというか(苦笑)。「あとは上がるだけ」みたいなところもあったりして。

――確かに(笑)。そうかもしれません。

木島:そもそもエリスはお父さんも刑事で、警察官になるべくしてなったような人なので、マックスに対して「そうは言っても、こいつは犯罪者だしな」って身構える瞬間が、芝居の端々にもあったりするんです。でも、マックスはいつもそこを超えてくるんですよ。マックスいわく、彼女は"カナダ版ねずみ小僧"というか。悪いところからしかお金を引っ張ってこない"義賊"的なところがあるらしく、自分のファミリーに対してものすごくプライドを持っている。とはいえ、現に彼女の父親ジョージも収監されていて服役中ですし……(笑)。

――刑務所の中にいるのに、マックスのお父さんは"頼りになるアドバイザー"みたいな立ち位置なんですよね。

木島:そうそう! 海外のドラマや映画にでてくる刑務所って、なんであんなに自由がきくのか不思議ですよね(笑)。エリスとしては、特殊な環境下でマックスがどんな育ち方をしてきたのか、その辺りも気になってるみたいですが……きっとそれぞれの心の内にはお互いに簡単には明かせない思惑があるのでしょう。今のところ、「マックスはエリスに本性を見せていないように見えるけど、もしかしたら"見せていない"わけじゃなくて、そういう風にしか振る舞えないところも含めて、全部マックスなんじゃないかな……」なんてことを思いながら、僕は二人を見守っている感じですね。

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――エリスはなぜ猫のマークと一緒にボート暮らしをしているのか。その切ない理由も、物語が進むにつれて明らかになります。

早見:そうですね。マックスは、あくまでも"自分は自分"と割り切っていて、あまり他人のプライベートには踏み込まない性格なのかと思っていたら、実はすごく思いやりに溢れている人で、「バディを組むからにはしっかりと相手のことを知っておきたい」と、エリスのパーソナルな部分にも興味を示して、彼女なりに力になろうとしていくんですよね。

木島:各話のラストはボートの上でエリスとマックスが2人きりで話すシーンで終わることが多いのですが、「今回もいろいろあったけど、まぁもう全部水に流そうぜ」「次の事件に向けてまた頑張ろう」みたいに、とてもさっぱりしていてすごく雰囲気がいいんですよ。あのシーンは、この作品ならではの良さが感じられる場面じゃないかと思いますね。

――個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、特にお二人が注目している人物は?

早見:私は、エリスの上司のリー課長(滝知史)が気になります。エリスの過去についてマックスがリー課長に探りを入れるシーンもあるのんですが、きっといろいろな考えがあってこその"あの動き"なんだろうなというのがセリフの端々から伝わってきて……

木島:僕が気になるのは、新納慎也さんが吹替えを担当されている謎の執事のリッキー。あとは、同じ署内にちょっといじわるな同僚コンビがいるんですが、彼らは彼らなりに刑事としてのプライドがあって仕事に臨んでいて、なんだかんだ言いながら協力してくれるんですよね。彼らに注目して観るのも面白いんじゃないかと思いますね。

――では、改めて本作の見どころを!

早見:とにかく物語のテンポ感がいいですし、登場人物のキャラの濃さもピカイチです。1話ごとの長さもしっかりとあり、とても見ごたえのあるドラマなのですが、見始めたら一瞬で終わってしまうので、どんどん続きが観たくなるのではないかと思います。日本語だからこそ、スムーズにスッと入ってくる吹替え版ならではの面白さもあると思うので、ぜひ最後まで楽しんでご覧いただけると嬉しいです。

木島:僕はカナダ制作の作品の吹替えを担当するのは初めてだったのですが、「カナダの人たちってみんなこんなに陽気なんだ!」と、ちょっとカナダに行ってみたくなりました(笑)。果たして、これからこの物語がどう展開していくのか、僕ら自身もワクワクしながら、吹替えチームみんなで息を合わせて頑張りますので、ぜひ放送・配信を楽しみにしていてください。